メジャーリーグベースボールのカブスが108年ぶりにワールドシリーズを制して興奮冷めやらぬシカゴ(アメリカ)で、今度はラグビーのアイルランド代表が歴史的勝利を遂げた。11月5日、「ラグビーウィークエンド」と銘打たれた祭りの最終日、世界最強軍…

 メジャーリーグベースボールのカブスが108年ぶりにワールドシリーズを制して興奮冷めやらぬシカゴ(アメリカ)で、今度はラグビーのアイルランド代表が歴史的勝利を遂げた。11月5日、「ラグビーウィークエンド」と銘打たれた祭りの最終日、世界最強軍団のニュージーランド代表“オールブラックス”とアイルランド代表が中立地であるシカゴのソルジャーフィールドでテストマッチをおこない、熱きアイリッシュが40-29で歓喜の瞬間を迎えた。1905年の初対戦から111年、ついにアイルランド代表が初めてオールブラックスを倒したのだ。

 昨年のワールドカップチャンピオンであるオールブラックスは、今年10月22日のオーストラリア代表戦勝利で18連勝となり、ティア1国(強豪国)におけるテストマッチ連勝の新記録を樹立したばかりだったが、それもアイルランド代表が止めた。

 5トライを挙げた果敢なアタックも光ったが、アイルランドの勝因は魂のこもった激しいディフェンスだった。
 序盤にニュージーランドのWTBワイサケ・ナホロにラインブレイクされ、CTBジョージ・モアラにトライを奪われたが、前半にアイルランドがゴールラインを割られたのはその1回だけだった。
 黒衣のPRが危険なタックルでイエローカードをもらうと、すぐに流れを引き寄せ、ラインアウトからのローリングモールで逆転した。10-5で迎えた17分、数的有利のアイルランドはFBロブ・カーニーがゴールに迫ると仲間のサポートも早く、FLのCJ・スタンダーがインゴールにねじ込み追加点。その後、互いに1本ずつPGを決め、34分、アイルランドはSHコナー・マレーがダミーから抜け出してゴールに持ち込み、25-8で前半を終えた。

 48分(後半8分)にはゴール前のラインアウトからモールで前進したあと、すばやく外に振り、WTBサイモン・ゼボがトライ、30-8と大きくリードした。
 しかし、史上最強ともいわれるオールブラックスはここから挽回する。52分、HOデイン・コールズからのオフロードをうまくキャッチしたSHのTJ・ペレナラがトライを奪うと、56分には敵陣でのラインアウトスチールから連続攻撃し、FBベン・スミスがゴール右隅に飛び込んだ。その後、アイルランドがPGを追加してリードを広げたが、ニュージーランドは63分、初代表のLOスコット・バレットがFLリーアム・スクワイアのショートパスを受けて抜け出し、33-29と4点差に迫った。

 満員となったスタジアムの約6万2000人が熱狂するなか、オールブラックスは逆転可能な点差としたが、勝利への執念が上回ったのはアイルランドだった。74分、アイルランドは相手にプレッシャーをかけてゴール前でスクラムチャンスとなり、持ち出したNO8ジェイミー・ヒースリップから、クロスに走り込んできたCTBロビー・ヘンショウへとボールは渡り、防御網を切り裂いて決定的なトライが生まれたのだった。

 シカゴにラグビーフィーバーをもたらした両チーム。11月19日、今度はアイルランドのダブリンで再戦する。

 なお、「ラグビーウィークエンド」の初日(4日)はシカゴのトヨタパークでアメリカ代表とマオリ・オールブラックスが対戦し、54-7でマオリ・オールブラックスが勝っている。