大音量で響き渡るジャパンの戦いに、道行く人々が振り返り、足を止めた。 11月5日、日本代表×アルゼンチン代表のパブリックビューイングが、東京・府中のけやき広場でおこなわれた。 並木道に沿って特設された応援会場に、大型ビジョン、ステージ、客…

 大音量で響き渡るジャパンの戦いに、道行く人々が振り返り、足を止めた。
 11月5日、日本代表×アルゼンチン代表のパブリックビューイングが、東京・府中のけやき広場でおこなわれた。
 並木道に沿って特設された応援会場に、大型ビジョン、ステージ、客席が仮設された。試合前にはトークイベントがおこなわれ、東芝ブレイブルーパスからはWTB/FB宇薄岳央、PR知念雄、サントリーサンゴリアスからは、HO青木佑輔、PR垣永真之介が登場。“4者4様”のトークで、イベントに華を添えた。

 主催した東京都・(公財)東京都スポーツ文化事業団は、府中市、三鷹市、調布市の協力を取りつけ、3市合同のPRブースも出展。
 東京都オリンピック・パラリンピック準備局の原陽一郎担当課長は、「(ワールドカップ日本大会まで)あと3年をきっていますので、去年のイングランド大会の盛り上がりをそのままつなげていこうということで、いろんな機会を捉え、盛り上げていこうと考えています」。
 今後もトップリーグやスーパーラグビーの会場でブースを設置するなどして、機運醸成に取り組む。

 イベントの開場は12時45分。並んでいたファンは、数えるほどだった。しかしゲーム開始直前になると、係員の積極的な呼びかけもあって、用意されていた座席の多くが埋まった。
 ただ6-21で折り返したハーフタイムをきっかけに、空席が目立つようになったのも事実だ。さらに後半22分、25分の連続トライで敗色濃厚になると、客席の穴はさらに広がった。後半40分のレメキのトライへの拍手喝采ならば、大きかった。
 
 ゲスト出演の4選手は、客席の最前列で20-54の敗戦を見届けた。試合後、ステージに再登壇した4人は――。前向きだった。
 代表30キャップを数えるHO青木は、ステージ上からファンに語りかけた。
「まだジャパンもツアーが始まったばかりですし、初戦だったので課題もいっぱい見つかりました。修正して、どんどん良くなっていくと思います。僕らと一緒に、皆さんで日本代表を応援して、力を与えられたらいいなと思います。よろしくお願いします」
 PR知念は前半戦の戦いについて「コンタクトの部分では互角というか、ジャパンが押している場面もあったと思います」と振り返ると、自身の抱負についても、力強かった。
「2019年に日本代表としてワールドカップに出ることが目標になっているので、そこに出て、応援してもらえるように頑張ります」

 目下、怪我の治療中の身で、代表復帰を目指しているPR垣永はアルゼンチンとのスクラムバトルについて尋ねると、顔色を変えずに答えた。
「悪いことばかりじゃなくて、耐えた部分もありました。他のチームの選手達と組むというのは、すごく難しいこと。これからの3試合は、もっと良くなると思います」
 そして、2011年ワールドカップ戦士のWTB/FB宇薄は、会場のファンへメッセージを求められると、ラグビー人気の持続・発展のために、お願いをした。
「選手はもちろん頑張るんですけど、(ラグビー人気は)ファンの方と一緒に作っていくものだと思います。ファンの方々も2019年まで、頑張って応援して頂ければと思います。よろしくお願いします」

 みんなで、「ONE TEAM」を作り上げていく。
 ジョージア代表戦(11月12日、トビリシ)のパブリックビューイングは、東京・秩父宮ラグビー場での開催が発表されている。(文/多羅正崇)