4日(日本時間5日)に迎えた「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」スーパーラウンド2日目。全勝優勝を目指す日本は、今大会最大のライバルと目されるグループA1位通過のパナマと対戦し、接戦の末、2-3で敗れた。■チーム初黒星の責任背負った…

4日(日本時間5日)に迎えた「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」スーパーラウンド2日目。全勝優勝を目指す日本は、今大会最大のライバルと目されるグループA1位通過のパナマと対戦し、接戦の末、2-3で敗れた。

■チーム初黒星の責任背負った安樂、「負けたら意味がない。負けに偶然はない」

 4日(日本時間5日)に迎えた「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」スーパーラウンド2日目。全勝優勝を目指す日本は、今大会最大のライバルと目されるグループA1位通過のパナマと対戦し、接戦の末、2-3で敗れた。両チームともに先発投手が力投し、打線はなかなか得点のチャンスを見つけることができなかった。だが、同点で迎えた8回、先頭打者の四球に突破口を見出したパナマが勝ち越しに成功。日本は悔し涙を飲むことになった。試合後、この敗戦の責任を1人で背負ったのが、先発マウンドを任された安樂智大(楽天)だった。

 この日の安樂は、7回まで1イニング14球を超えることなく、球数少なくテンポいいピッチングを見せた。だが、毎回走者を背負う展開で、7イニング中4イニングで先頭打者を安打か四死球で出塁させた。走者を背負ってからは、初回に出たレフト真砂勇介(ソフトバンク)の強肩スローや内野陣が3度見せた併殺プレーなどで脱したが、結局、8回に許した勝ち越し点も、先頭打者に与えた四球がきっかけとなってしまった。

 侍ジャパンのエース番号を背負いながらも、チームに初黒星をつけてしまったことが、よほど悔しかったのだろう。試合後の安樂は、8回を6安打4四死球4奪三振で3失点だった投球内容について、自ら一刀両断した。

「先頭打者の四球だったり、ヒットっていうのが目立った。皆さんにいいピッチングだったって言ってもらったんですけど、負けたら意味がないと思います。勝つことに偶然はあっても、負けに偶然はないと思う。8回も僕の先頭の四球(が敗因)でしょうし、(廣岡)大志のエラーの後で、ピッチャーが抑えてあげるべきだった。そこでしっかりアウトを取れなかった、三振を取れなかった僕の不甲斐なさというか、僕の今の実力が目立ってしまった。チームのみんなに申し訳ないと思います」

■試合前にはチーム全員からサプライズで誕生日を祝ってもらうも…

 斎藤雅樹監督は、先頭打者を出塁させることが多かった右腕について「その辺は反省すべき点でしょうけど、でもゲッツーを取ったりしている。打たせて取る粘りのピッチングができていた」と決して責めることはなく、8回を104球で投げきった安樂を評価しているが、安樂の反省の弁はまだまだ続く。

「ここの球場は長打も出ますし、相手も(力のある)パナマ。真ん中高めの真っ直ぐやスライダーだと、どうしてもホームランになってしまうと思うので、簡単に長打を許さないようにって慎重になりすぎた部分がある。もっともっと真っ直ぐでファウルが取れたらよかったんでしょうけど、そういう風なボールが、今日はなかった。自分で自分を苦しめていた部分はあると思います」

 奇しくもこの日は20歳の誕生日だった。楽天のチームメイトでU-23代表にも選ばれた吉持亮汰も同じ誕生日(23歳)で、球場に向かう前にはチーム全員からサプライズで誕生日を祝ってもらっていた。祝福してもらった感謝の気持ちを示すためにも、20歳という節目の年齢を迎えた日に先発するという巡り合わせに感謝するためにも、やはり勝利にはこだわりたかったようだ。

 確かに、両手を挙げて笑顔で勝利を喜ぶことはできなかったが、今後の野球人生を考えた時、国際大会で投げるという貴重な体験を通じて見えた課題は、かけがえのない宝物になる可能性がある。かわいい子には旅をさせよ、とはいうが、野球の神様はさらなる成長を期待するからこそ、少し酷な形で克服すべき課題や進むべき道を示してくれたのかもしれない。今後、この経験をどうに生かすか。そこでこそ、安樂の真価が試されるのだろう。