F1ドライバーの中からも新型コロナウイルスの初感染者が出た。レーシングポイントに所属するセルジオ・ペレス(30)=メキシコ=がコロナに感染し、31日に開幕するF1第4戦イギリスGP(8月2日決勝、英シルバーストーン)を欠場すると30日にチ…

 F1ドライバーの中からも新型コロナウイルスの初感染者が出た。レーシングポイントに所属するセルジオ・ペレス(30)=メキシコ=がコロナに感染し、31日に開幕するF1第4戦イギリスGP(8月2日決勝、英シルバーストーン)を欠場すると30日にチーム側から発表された。

 

コロナ感染が確認されたレーシングポイントのセルジオ・ペレス(鶴田真也撮影)

 

 

 同じサーキットで2週連続で開催される第5戦「F1開催周年記念GP」も欠場するとみられ、チームは昨季までルノーの一員だったニコ・ヒュルケンベルグ(ドイツ)を代役に立てることを決めた。レーシングポイントがフォースインディアの名称だった2012、14~16年に所属した経験があり、白羽の矢を立てたという。

 チームは「ペレスは心身ともに良好。保健当局のガイドラインに基づいて自主隔離を続けている」との声明を出した。感染経路については分かっていないが、前戦ハンガリーGP(19日決勝)終了後に母国のメキシコを訪れたことを本人は認めており、そこで感染した可能性はある。中南米ではパンデミック(感染爆発)が続いており、メキシコでも累計の新規感染者数が40万8000人を超えている。

 ペレスは31日、自身のツイッターで感染について説明する動画を公開し、「本当に悲しい。僕の人生の中で一番悲しいことの一つ。われわれがウイルスにどれほど弱いかが示された」とコメント。メキシコ訪問の理由については「母が大きな事故に遭遇して入院したので、ハンガリーからプライベートジェットでメキシコに飛び、2日間滞在した」とした。

 ペレスは2011年にF1デビューし、決勝での最高位は2位。昨季は年間ランク10位だったが、今季についてはメルセデスの昨年型車をコピーしたとのうわさもある新型車両で上位争いを続け、開幕戦から6位-6位-7位の成績を残していた。

 

レーシングポイントのプレスリリース

 

 F1は3月に開幕戦オーストラリアGPが予定されていたが、現地入りしていたマクラーレンのスタッフらがコロナに感染したことが判明。大会も最初の公式セッションとなるフリー走行開始2時間前に中止が急きょ発表され、結果的にシーズン開幕が4カ月近く遅れた。

 新たな開幕戦となったオーストリアGP(7月5日決勝)は無観客で開催され、パドックでも徹底した感染対策が施された。選手やチームスタッフらはマスクの着用が義務付けられ、ソーシャル・ディスタンスを保つためにレース終了後の表彰式もホームストレート上で実施された。トロフィーのプレゼンターは無線で遠隔操作された無人搬送ロボットが務めた。

 F1はレーシングドライバーだけの個人競技ではなく、エンジニア、メカニックら多くの裏方に支えられている団体競技の一面もある。ペレスが大事なシーズン中に感染の危険があるメキシコを訪問した行為は軽率だったし、チームに迷惑をかけたことも間違いない。

 ただ、事故で入院した母親を見舞いに行かなければならないという事情があったことを鑑みれば、同情の余地はある。

 ハンガリーGP後の感染であれば、チームスタッフらがウイルスをうつされた可能性は低い。世界各国を転戦するF1だけにクラスターが発生することだけは避けたいところ。パドック内で集団感染が起きていないことを祈りたい。

[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)

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