10回無死満塁。打席に立った乙坂智(DeNA)の思い切りのいい力強いスイングが接戦に終止符を打った。■スーパーR初戦の韓…

10回無死満塁。打席に立った乙坂智(DeNA)の思い切りのいい力強いスイングが接戦に終止符を打った。

■スーパーR初戦の韓国戦、10回裏に決勝犠飛で勝利を呼び込む

 10回無死満塁。打席に立った乙坂智(DeNA)の思い切りのいい力強いスイングが接戦に終止符を打った。

 3日(日本時間4日)に行われた「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」スーパーラウンド初戦で日本は韓国と対戦。投手戦となった試合は両チームともにソロ弾で1点を挙げただけ。試合は1-1の同点のまま、大会規定によりタイブレーク方式の延長戦に突入。後攻だった日本は10回表を無失点に抑えると、裏の攻撃で無死満塁の絶好機を作り、乙坂のセンターへの決勝犠飛につないだ。

 この日まで5試合中4試合に先発出場し、3番打者を任された。代打出場だった第3戦も含め、出場した全試合で安打を記録。オープニングラウンドは打率.353、出塁率.409で5打点と結果を残していたが、「正直僕の中では問題だらけ。やらなきゃいけないことがたくさんあって…」と話す。

 思いの外、長く時差ぼけに悩まされ、「朝グラウンドに来てから全部。足を着いた時の感覚も違っていた」という。当然、打席や守備での感覚も「ぼやけるというか、自分のやりたいことが表現できない感じ」だったそうで、「調子がいい悪いを抜きにして、環境に適応する部分で、もっと成長しないといけないと思いました」。だが、こういった感覚がぼやける経験もメキシコ遠征に来たから得られたもの。「こういうことも含め、新しい収穫を求めていた」と、どんなことであれ、今までにない経験は大歓迎だ。

■昨オフは筒香とドミニカ共和国へ、「記憶が自分の感覚とマッチするようになった」

 昨年のオフは、高校の先輩であり、DeNAのチームメイトでもある筒香嘉智と一緒にドミニカ共和国へ武者修行に出掛けた。“練習生”待遇だった乙坂は、試合には出られなかったが、午前中は宿泊ホテル近くにある公園で練習。午後はチームの練習に参加しながら約1か月を過ごし、現役メジャーリーガーやマイナーリーガーのプレーを間近で見る貴重な経験を積んだ。

 この時の経験が、スッと自分の頭と身体に入ってきたのは、今季開幕直前だったという。

「今年の初めの頃、打撃でメチャクチャ悩んでいる時があった。朝起きてから夜寝るまで、ずっと考えていたんですよ。3月中旬くらいですかね。身体を動かしていたら『あ、これかも』って、自分の中でスイッチが入った時があった。そうしたら、今まで見えていなかったことが、いろいろ見えるようになって、『ドミニカの選手はこういう身体の使い方をしていたな』とか、そういう記憶が自分の感覚とマッチするようになって」

 その直後に1軍昇格を果たすと、3月と4月には12試合出場で1本塁打を含む打率.393を記録。スタートダッシュに成功したものの1軍に定着しきれず、最終的に1軍では55試合に出場し、打率.270という成績に終わった。もちろん、結果に満足はしていない。1軍に定着しきれなかった原因は、自分が目指すべき姿を決め切れていなかったことにあると考えているようだ。

■ヒットを多く打てる打者に…国際大会経験は「これからの自分にとって財産に」

 だが、試行錯誤のシーズンを終え、侍ジャパンU-23代表メンバーとして訪れたメキシコの地で、海外の選手のプレーに刺激を受ける中で、自分の目指すものがはっきり見えてきた。

「自分の目標としては、ヒットを多く打てる選手になりたい。ボールにコンタクトする確率を少しでも上げていきたいなって思います。だから、こうやって慣れない環境で野球ができるのは、メチャクチャいい経験。去年のドミニカと違って、今回はこっちで感じていることや学べていることが多くて、チームに帰ってからも、オフの過ごし方もまた変わってくるんじゃないかと。これからの自分にとって財産になると思います」

 いろいろな刺激を受ける中で、勝利を決める思い切りのいい犠打を放てたことは、日本代表にとっても乙坂自身にとっても大きな意味を持つ。

「優勝するに向けて、こういう試合も経験できたことはよかったかなって思います。苦しい場面でチームが全員が1つになって、勝ちという同じ方向を向いていた。そういう意味では、また結束が強まりました」

 メキシコでの試合は残り3試合。感覚を研ぎ澄ましながら、できるだけ多くの経験を積み、成長のために必要な課題を収穫として日本へ持ち帰りたい。