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福田正博 フットボール原論
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■再開されたヨーロッパ各国リーグも終わりを迎えた。今季も多くの日本人選手がヨーロッパでプレーしたが、その活躍ぶりを振り返る。福田正博氏に、今季注目された選手たちの評価をしてもらった。
岡崎慎司の2019-20シーズンは、「すごい」の一言に尽きる。新型コロナウイルスの感染拡大の影響によってパフォーマンスを発揮しにくい面があるなか、スペイン2部のウエスカで37試合に出場して12ゴール。FWが得点を決める難しさを考えれば、2部リーグであろうとチーム内最多得点を記録し、来季の1部昇格に貢献したことを評価したい。

岡崎にとって難しいシーズンとなったものの、最終的には12ゴールの活躍でウエスカに貢献した
岡崎は昨夏にプレミアリーグのレスターから、スペイン2部のマラガへ移籍。しかし、クラブのサラリーキャップ制度違反が発覚して選手登録ができない事態になり、わずか1カ月で契約解除となってウエスカでプレーすることになった。つまり新天地で十分な準備期間がなかったのだが、最後はしっかり適応して結果を残したわけだ。実に岡崎らしいと思う。
ブンデスリーガとプレミアリーグでプレーした岡崎が、スペイン2部でプレーする決断をしたのには驚かされたが、新たなチャレンジで結果を残せたのは、試合に勝つために自分の特長を最大限に出せたからだろう。
岡崎もゴールを決めたいという、FWならではのエゴを当然持っている。しかし、彼がほかのFWと違うのは、得点にかかわるところだけを一生懸命やるのではなく、ほかのプレーも全力で泥臭くやれることだ。だから、どこのリーグやチームであっても出場機会を与えられ、成績を残せるのだろう。
34歳になった岡崎だが、かつての中山雅史(現アスルクラロ沼津)がそうだったように、年齢を重ねるごとにうまくなっている。これは自分が試合に出るために足りないものとしっかり向き合い、努力してきた日々の成果だ。サッカーに対しての飽くなき向上心と謙虚さを持ち併せている人柄も、彼の成功を支えていると言っていいだろう。
岡崎は来シーズンもウエスカでプレーする。これほど楽しみなことはない。初挑戦となるスペイン1部リーグでも、岡崎らしいプレーで評価を高めてくれるのを期待している。
海外でプレーする日本選手のなかで、今シーズンもっとも話題になったのは久保建英だが、サプライズだったのは? と問われれば、フランクフルトの鎌田大地の名を挙げたい。
ブンデスリーガと国内カップ戦、ヨーロッパリーグ(EL)合わせて、43試合出場10得点。とりわけELではアーセナル(イングランド)戦で2得点、ザルツブルグ(オーストラリア)戦でハットトリックを決めるなど、計6得点を挙げる活躍だった。
鎌田はサガン鳥栖から2017年6月にフランクフルトに移籍したものの、2017-18シーズンは出場わずか3試合。思うような成績を残せなかったのは、シャイな部分が影響したのかもしれない。
昨シーズンはベルギーのシント・トロイデンにレンタル移籍。24試合で12得点を挙げたことが評価されて、フランクフルト復帰が決まった。一度目のチャレンジは失敗したものの、ベルギーで結果を残せた自信が、二度目の挑戦となった今季の飛躍につながった部分もあるだろう。
フランクフルトは、シーズン前半はチーム状態も悪く、鎌田も思い描くパフォーマンスは発揮できなかった。それでも粘り強くプレーしたことでゴール前では得点以外のところでも存在感を示し、最終的に評価を上げる要因になった。
鎌田に成長を感じたのが守備への意識だ。もともと攻撃に関しては技術が高く、得点力を持ちながらラストパスも出せる。だが、今季は守備への意識と強度が高まったのが目を引いた。まだファウル気味に当たるシーンが多いのは改善の余地があるが、相手に対して激しく当たれるようになっている。
ヨーロッパでは守備ができなければ、リオネル・メッシのようなスーパーな選手でない限り、試合に出られない。それだけに、守備のクオリティーをもっと高めていきながらステップアップしてほしいと思う。
南野は冬にリバプール(イングランド)へ移籍したが、その後は予想していたとはいえ、厳しいシーズンになった。ユルゲン・クロップ監督の傾向として、1月に獲得した選手はチームに慣れるまでは慎重に起用されるところがある。南野にもそれは当てはまった。
それでも南野はザルツブルグ時代にもベンチスタートを何度も経験してきたこともあって、少ない出場機会のなかでもゴール前でチャンスをつくり出せていた。あとはゴールを決めるだけだったのだが、決め切れなかったのが悔やまれる。
ゴールという目に見える結果が出れば、味方や監督からの信頼は高まり、道は拓けていく。こればかりは自分の力でしか変えられないもので、南野自身もよく理解しているはずだ。リバプールというビッグクラブに身を置く南野には、移籍後1年になる来季1月頃までにはコンスタントに出場できるようになっていてもらいたい。
今季のブンデスリーガ2部では、シュツットガルトの遠藤航が21試合1得点。評価を高めて4月には完全移籍を勝ち取った。
昨季はベルギーのシント・トロイデンでプレーし、今季序盤にレンタル移籍でシュツットガルトに加入した遠藤だったが、最初はアグレッシブな守備ができずに苦労していた。
ヨーロッパの主要リーグでは、ボールを持っている相手から「ボールを奪う」プレーを強く求められる。しかし日本では、一歩引いたところで相手に「抜かれない」とか「プレーを遅らせる」という対応をする選手が多い。ヨーロッパでプレーする多くの日本選手が、最初にこの違いに戸惑う。
遠藤もそこで苦戦したが、若い頃から自分を客観視できる彼は、環境にアジャストする能力の高さを発揮して、シーズン中盤からはアグレッシブな守備でチームを支えた。チームの信頼を勝ち取ったことが、完全移籍につながったのだろう。
また攻撃面では、中盤のアンカーの位置から縦パスを入れたり、自らがゴール前へ出ていくシーンが増えたのにも、成長を感じさせた。なにより戦術理解度が高く、気が利いたプレーができている。
彼のこうした能力は、長谷部誠に近いものがある。来季は1部を戦うシュツットガルトで攻守の要として躍動してくれるはずだが、日本代表でも長谷部のような存在になることも期待している。
コロナ禍で来季も難しいシーズンになる可能性がある。そのなかで日本選手たちにはそれぞれの置かれた環境で、万全の準備をして目の前にあるサッカーに向き合ってもらいたい。そして、その姿をしっかりと見届けたい。