キシコで開催されている「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」は1日(日本時間2日)に大会5日目を終え、侍ジャパンU-23代表は5戦全勝でオープニングラウンドのグループB1位通過を決めた。■7回途中9奪三振2失点の先発・笠原、2死からの…

キシコで開催されている「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」は1日(日本時間2日)に大会5日目を終え、侍ジャパンU-23代表は5戦全勝でオープニングラウンドのグループB1位通過を決めた。

■7回途中9奪三振2失点の先発・笠原、2死からの2失点に「甘さが出ました」

 メキシコで開催されている「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」は1日(日本時間2日)に大会5日目を終え、侍ジャパンU-23代表は5戦全勝でオープニングラウンドのグループB1位通過を決めた。1日のオーストラリア戦を前に、斎藤雅樹監督は「非常に緊張する試合になると思った」と警戒したが、蓋を開けてみれば11-2と快勝。投打のヒーローが見せた、負けず嫌いがゆえの向上心が、勝利への原動力となった。

 投のヒーローは、文句なしに先発を務めた笠原大芽(ソフトバンク)だ。伸びのあるストレートと変化の違う2種類のスライダーを駆使しながら、3回から7回にかけて12者連続凡退を記録。7回2死から1四球をはさんだ3連打で2点を奪われたが、米マイナーリーガーもいるオーストラリア打線から9奪三振。試合後、斎藤監督は開口一番、勝利の要因として「やっぱり笠原が相手の攻撃をきっちり抑えてくれた」と称えたほどだった。

 だが、当の本人はといえば「勝利につながったので、監督の期待に応えられたと思います」と言いながら、口を突く言葉は反省ばかり。7回2死からの失点が堪えたようで「2アウトから点を取られることがシーズン中にもよくあった。甘さが出ました」「最後にセンター前に抜けたの(打球)も、ピッチャーゴロで終わらないといけないのをスルーした。反省しています」と神妙な面持ち。6回2/3を5安打2四球9奪三振で2失点。先発の役割をしっかり果たした好投だったが、それに満足しない厳しさの表れだ。

 大塚晶文投手コーチは、この日好投した要因の一つは「悔しさ」にあると分析する。

「エース格で(代表に)入ってきたのに、初戦、2戦目と先発を任せてもらえなかったことは悔しかったと思いますよ。その思いをぶつけた部分もあるんじゃないかな」

 先発起用は決まっていたが、3戦目のアルゼンチン戦には「余裕があったら1イニング投げさせて下さい」と志願してリリーフ登板。試合勘を鈍らせないように意識を高く持つことで、この日の存在感あふれる投球につなげた。

■先発2試合は8打数5安打4打点の吉持「毎日試合に出られないことが悔しい」

 打のヒーローは、指揮官が「今日は一番泥臭く粘り強いバッティングをしてくれた」と褒める9番・吉持亮汰(楽天)だろう。先頭打者だった3回に中前打で出塁し、2点目のホームを踏むと、5回には右犠飛で1打点。6回には2死一、三塁からレフト前適時打で1打点を挙げ、続く武田健吾(オリックス)の打球処理に相手野手が手間取る姿を見るや、快足を飛ばして一気に一塁から本塁まで駆け抜けた。7回にも1打点を挙げ、3打数3安打3打点。“恐怖の9番打者”としてオーストラリア投手陣に襲いかかった。

 5戦のうち先発出場はわずか2試合だが、試合に出れば8打数5安打4打点と勝利に大きく貢献。少ない出場機会を無駄にしないコツを聞かれると、「メチャクチャ難しいんですけど…」と考え込んでから、一言「悔しいんです」と、大きな声で言い切った。

「毎日試合に出られないことが悔しいんで、練習は人一倍死ぬ気でやってます。自分が出た時に、どういう仕事をしたらいいのか、ずっと考えながらやっています」

 悔しくて腐るのではなく、悔しさをバネにした。この日は本来の二塁ではなくDHでのスタメンだったが、「出るからには、思い切って打って、思い切って走って、それを心掛けていました」という言葉どおり、全打席で持ち味を存分に発揮。斎藤監督も「今日は本当にヤツが一番泥臭く粘り強いバッティングをしてくれた。思い切りもいいじゃないですか」と目を細めた。

 代表チームに選ばれた。侍ジャパンのユニフォームを着られた。その事実だけに満足する選手は1人もいない。代表の中でも負けたくない。代表の中で一番になりたい。常に上を目指す負けず嫌いの向上心が、日本を勝利へと突き動かしている。