7月19日、フランスで外洋ヨットレースの「ドリームカップ」が開催されました。ドリームカップはシェルブールをスタートし、トリニテ・シュル・メールにフィニッシュするヨットレースです。コースは400、700、1100マイルの3つが設けられてお…

 7月19日、フランスで外洋ヨットレースの「ドリームカップ」が開催されました。ドリームカップはシェルブールをスタートし、トリニテ・シュル・メールにフィニッシュするヨットレースです。コースは400、700、1100マイルの3つが設けられており、100フィートトライマランのULTIMやClass40、Mulch50、フィガロ3、IRCクラス、そしてクラシックヨットが、艇種によってコース分けされて参加します。(レポート/鈴木晶友、写真/アン・ボージ)

550マイルドリームカップを完走したTeam MILAI/チームミライの鈴木晶友、アン・ボージ

 隔年開催のドリームカップはフランスの人気レースの1つで、通常、レース会場はかなりの盛り上がりを見せるそうです。今年は新型コロナウイルスの影響で規模を縮小し、エントリー数も制限しての開催でしたが、それでも合計100艇がエントリーするビッグレースとなりました。

 私はClass40でアン・ボージとダブルハンドでエントリー。アンは昨年のミニトランザットを一緒に走ったセーラーで、今はMILAI AROUND THE WORLDセーリングチーム(Team MILAI)のチームメイトです。

 彼女とは、来年6月にスタートするGlobe40(Class40でのダブルハンド世界一周ヨットレース)の出場を目指して、一緒に活動しています。ミニトランザットをフィニッシュした直後に「次なにかできるなら、ダブルハンドでもっと長距離を走りたいね」と共に話していたことが、いま実現に向けて一歩ずつ前進しています。

MILAI/ミライ号(Class40/クラス・フォーティー)は2021年6月にスタートする世界一周ヨットレース「Globe40/グローブ・フォーティー」出場を目指して準備しています
ドリームカップ出場艇が集まるシェルブールのハーバー。スタートの様子はライブ中継されました

◎ドリームカップは2年に1度開催されるお祭り外洋ヨットレース

 ドリームカップには11艇のClass40がエントリー。アイルランド沖に張り出している高気圧の影響で、レース前日に700マイルから550マイルにコースが短縮されました。

 5月末にチームボートの〈MILAI〉がホームポートのロリアンへ到着しました。そこから約1カ月半かけて整備と練習を進めてきた私たちにとって、これがClass40での初レースです。緊張とワクワクが半々のスタートとなりましたが、スタート直後は他のClass40よりも私たち〈MILAI〉の方がパフォーマンスが良く、2人ともテンションが上がりました。

 というのも〈MILAI〉は船齢10年で、一世代前のClass40になります。世界一周に向け、壊れにくく安全にセーリングできる船を選考した結果、このPogo S2となりました。吹いても安心、とにかく頑丈です。

 対して最新のClass40は、強風域のリーチングに特化してデザインされた、バウ先が丸まったスコウタイプです。今回スタートは軽風域だったため、水船長の長い私たちの艇の方が良いパフォーマンスを発揮したのでした。

 軽風が続くなかコード0を上げて、最初のウェイポイントのイギリス南海岸を目指しました。イギリス海峡を渡り終わる頃から風が上がり始め、マーク直前では20ノット前後が吹き始めました。

 ここからはアイルランド沖のウェイポイントまで、250マイルのリーチングです。

ドリームカップのスタート。期間中は風が弱いことが予想されたため総航程が700から550マイルに短縮されました
快走するMILAI。リーチングでウェイポイントを目指します
レース中にあらわれたイルカと並んで走りました
軽風から一転、風が吹き上がる予報のためひと回り小さいジェネカーを選択しました

◎Class40で初めてのレースは試行錯誤。2日16時間で安全にフィニッシュ

 真夜中のマーク回航では最大28ノットが予想されていたため、アンと話し合い、ワンサイズ小さいジェネカーをホイストし、次のウェイポイントを目指しました。セールチョイスと船の特性もあり、リーチングでは他の艇に比べて少しずつ遅れる展開となり、6位でアイルランド沖のウェイポイントを回航。

 その後はタイトリーチで270マイル先のフィニッシュラインを目指しました。そしてスタートから2日16時間、スタートした10艇中8位でフィニッシュラインを切ることができました。

 Class40に乗り始めてから最初のレースは、色々試行錯誤しながらのセーリングとなりました。特にセールチョイスでは反省が残りましたが、船の特性をかなり理解することができた、有意義なレースとなりました。

 またアンとのセーリングはとても相性が良く、お互いの考えを尊重しながら、良い雰囲気でレースを楽しむことができたのも良かったです。何よりClass40が、昨年まで乗っていたMini6.50とは比べものにならないほどパワフルで速く、楽しい船だということを実感できました。

 今回のドリームカップ出場者の中には、昨年ミニトランザットに出場したセーラーが多くおり、レース会場は、さながら同窓会のようでした。レース中もVHFで情報交換しながら、楽しい時間を過ごしました。

 改めて、ミニトランザットに出場できて本当に良かったと日々感じています。私のことを応援してくださった、沢山のセーラーの方々に心から感謝しています。

 Team MILAIは今後、夏のトレーニングと、9月に開催されるノルマンディ・チャネルレースに向けて調整していきます。Globe40がスタートする2021年6月まで、やることはまだまだ山積みですが、目標を達成するために、一歩ずつステップアップして行こうと思います。

 FacebookのTeam MILAIのページ、そして私のページで進捗や現地の様子を報告しますので、是非これからも応援頂ければうれしいです。

As we are along Rance coast already, we share you moments of this beautiful day at sea, from light winds to good medium breeze, doing our best and enjoying a lot !! Go Milai !!! レース3日目、沢山の収穫がある最高のセーリングになっています。明日の明け方にフィニッシュ予定です。最後まで楽しもう!@drheamcup #musto

MILAI Around The Worldさんの投稿 2020年7月21日火曜日
フィニッシュまであと10マイル!
550マイルを2日16時間でフィニッシュ。成績は8位/10艇中でした。チームMILAIはロリアンに戻り9月の外洋ヨットレースに備えます