野球日本代表「侍ジャパン」は、今月10~13日にメキシコ代表、オランダ代表との強化試合(東京ドーム)に臨む。現役時代、1996年に中日で本塁打王(39本)、39歳シーズンの2007年に楽天で本塁打(43本)、打点(108打点)の2冠王に輝く…

野球日本代表「侍ジャパン」は、今月10~13日にメキシコ代表、オランダ代表との強化試合(東京ドーム)に臨む。現役時代、1996年に中日で本塁打王(39本)、39歳シーズンの2007年に楽天で本塁打(43本)、打点(108打点)の2冠王に輝くなど、通算403本塁打を放った山崎武司氏に独自の視点で来春のWBCへ向けて侍ジャパンのメンバーを自由に選出してもらった。

■山崎氏も「すごい打線」と自画自賛、来春WBCへ元大砲が描く理想メンバーは?

 野球日本代表「侍ジャパン」は、今月10~13日にメキシコ代表、オランダ代表との強化試合(東京ドーム)に臨む。この4試合が終われば、いよいよ世界一奪回を目指す来年3月の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)へ、調整を進めていくことになる。

 今回は初選出組も多く、特に投手陣はフレッシュな顔ぶれとなったが、本番にはどのようなメンバー構成で臨むべきなのか。現役時代、1996年に中日で本塁打王(39本)、39歳シーズンの2007年に楽天で本塁打(43本)、打点(108打点)の2冠王に輝くなど、通算403本塁打を放った山崎武司氏に独自の視点で来春のWBCへ向けて侍ジャパンのメンバーを自由に選出してもらった。

 まずは野手陣について、山崎氏は「打線の軸はだいたい筒香(DeNA)や、(山田)哲人(ヤクルト)になってくるんだろうけど……」としつつ、捕手の人選から着手。「問題はキャッチャーだよな。キャッチャーは(日本代表にとって)悩みのタネ。小林(巨人)も悪くないけど、リードがちょっとな……。でも、小林を入れよう。あとは炭谷(西武)を入れておいたほうがいいかな。1人ベテランが必要。もう1人は誰だろう。打撃のいい田村(ロッテ)にするか」。若手2人を含む3人で固まった。

 内野には「山田、坂本(巨人)、菊池(広島)、松田(ソフトバンク)、内川(ソフトバンク)、中田翔(日本ハム)かな。(坂本)勇人は今年の調子なら入るでしょ。内川は勝負どころでも今年は十分に使える。バッティングの内容も、また良くなっている。翔がファーストで内川がDHという使い方でもいい。哲人と菊池はポジションが重なるけど、哲人がサードに回って、菊池がセカンドでもいい」とした。では、今年台頭した若手はどうか。

「広島の田中や楽天の茂木もいいけど、WBCでどこで使えばいいかというと、ちょっと難しいかな。使うところがない。あとは代打か守備固めになってくる。野手はいい選手が多い。小久保監督がどういう野球を目指すかで変わってくると思う。でも、それだけ色々とバリエーションを考えられる選手がいるから、何とでもなる。『こいつしかいない』ということではなくで、ディフェンス重視で行くのか、足を使いたいのか、というので選手は代わると思うから。

 レギュラー陣は変わらないかもしれないけど。絶対的に守備ということだったら、中日の堂上を入れるかもしれないし。守備だけだったら、堂上を使ったら絶対に堅いから。そういうところをどう判断するか。ただ、レギュラー陣がそつなく守れる選手が多いからな」

■投手陣では真っ先に大谷の名前、「ピッチャーだけど、代打もできるな」

 山崎氏は田中、茂木、堂上らの力を認めつつ、WBCを戦うメンバーとしては“選外”との見方を示した。

 外野については「筒香、柳田(ソフトバンク)は鉄板」。そして、「鈴木誠也も決定」と広島で大ブレークした22歳を入れた。山崎氏は「まだ鈴木誠也は信じてない。絶対に良くなるけど、まだ信じてないんだよな。まだ筒香や哲人くらいの安定感は出ていない」としつつ、「振れる力を前から持っていた。こんなにブレークするとは思わなかったけど、レギュラーを取って20~30本打つ選手にはなると思って見ていた。トリプルスリーもできそうな雰囲気の選手だから。漠然とバットが振れるというのは大きな魅力」と高く評価した。

 さらに、今季改めて圧倒的な能力の高さを見せつけた糸井(オリックス)もメンバーに入れておきたい選手だという。「ベテランの糸井を使ってもいいと思うね。状態がいいわけだから」。さらに、守備力とスピードを買って、「西川(日本ハム)を入れておきたい」と山崎氏。日本ハムで日本一の立役者の一人となった24歳もポテンシャルは高い。

 一方で、惜しくも“選外”となった選手も。「平田(中日)は今年は成績があまりよくなかったんだよな。長野(巨人)もめちゃめちゃいい選手だけど、もう少ししっかりしてくれれば……」。右の強打者2人は山崎氏の中では決め手に欠くという。「梶谷(DeNA)もいい選手だけどな。足も速いし、守備もいいし。あとは角中(ロッテ)も入れたいけど、左が多くなっちゃうんだよな……」。山崎氏は悩みつつ「内野に浅村も入れておこうか。右だしな」と西武で功績を残した25歳を推した。

 投手陣は、まず真っ先に大谷(日本ハム)の名前を挙げた。「ピッチャーだけど、代打もできるな」。そして、その他の先発候補としては「千賀(ソフトバンク)、則本(楽天)、あと俺なら有原(日本ハム)なんだよな。馬力がある。あと菅野(巨人)はいれないといかん」。昨季の新人王で、今季はさらに躍進した有原については「キャンプを見た時にすごいなと思った。むしろ大谷よりもいい投げ方をしてたし、今年はやるなと思った。未知なるものがあるけど、潜在能力は高い。ボールに力があるね」と高く評価しているという。

■坂本1番、山田3番、柳田6番…山崎氏が組んだオーダーは?

 WBCでは球数制限があるため、各試合で「第2先発」を用意する必要もある。短期決戦では先発と中継ぎをどちらも出来る選手は重宝される。則本はその筆頭格だろう。そして、日本ハムで転身を遂げた右腕も、そんな役割が期待される一人。山崎氏は「増井もいいと思う。中継ぎでも投げてくれる」とした。

 さらに、「左も欲しいんだけど、石田(DeNA)が最後に少し落ちちゃったからな……。いいボール投げてるんだけど。今永(DeNA)は入れておこう。面白い。(力は)間違いない。あと、普通だったら大野(中日)を挙げるんだけど、故障しちゃっていたから。あとは、岸(西武)かな。(国際大会では)まずストライクが入らないと」と、今永、岸の2人をピックアップした。

 中継ぎでは「宮西(日本ハム)は入るな。左だし、欲しいな。あとは松井裕樹(楽天)はやっぱり入れないといけないんじゃない? 中崎(広島)も入れたい。中崎と松井で、どちらかがセットアッパーで、どちらかが抑えで。秋吉(ヤクルト)も変則的だからいいな」と4人を選択。そして、「あともう1人、本当は左が欲しい。山口(巨人)にしておくか」と、今季は不調に終わったものの、WBCを2度経験している左腕を加えた。

 これで28人のメンバーを選出。山崎氏が組んだオーダーは以下の通りだ。

1(遊)坂本
2(二)菊池
3(三)山田
4(左)筒香
5(DH)内川
6(中)柳田
7(一)中田
8(右)鈴木
9(捕)田村

 山崎氏は「筒香の4番は決定。右左があるから糸井もあるけど、一応、ライトは鈴木で。柳田は6番。すごい打線だよな。1、3番は迷うけど、坂本は出塁率があるから1番で哲人が3番だな。このくらいのバッターが揃えば、なかなか(打者として)大谷も入ってこられないよ。いいメンバーだな」と選考に満足げ。「打線としては世界に行けば重量打線じゃないわけだから、決して空中戦で戦うメンバーじゃない。でも、内川はいいところ、ランナー三塁ではほぼ返してくれそうだなと。その中で哲人は走ることもできるし、柳田も足があるし、鈴木も足がある。糸井だって三拍子揃っているわけだし、どっちかというと外野は盤石だよね」と戦い方について説明した。

 さらに、ブルペン陣の起用法についても「松井、中崎のどちらかが抑えで、2人体制でいってほしい。宮西は対左、秋吉は対右でいってもらう。今永もワンポイントでいける。後はきっちり決める必要はないもんね」とイメージを明かした山崎氏。「小久保ジャパン」とどのような違いが出るのか、興味深いところだ。