戦前まで1敗と、全勝中の2チームを追う神戸製鋼。優勝戦線に絡むにはさらに白星が欲しかった。しかしこの日、前年度は入替戦に出場したNECに3勝目を与えた。

 前半6分に先制するなど序盤こそ快調も、その2分前の交代劇が歯車を狂わせたか。7試合連続先発中のSOイーリ ニコラスが肩を痛めて退場し、攻撃網の構成は激変する。エラーが重なる。

 対するNECは、まず序盤の防御で魅せる。
 司令塔のSO田村優が、鋭い出足のタックルでCTB山中亮平を押し返す。攻守逆転して間もなく、ペナルティゴールを決める。前半20分のことだ。13-12と勝ち越す。

 攻めては、敗れた神戸製鋼のFL橋本大輝主将いわく「よく神戸製鋼を研究されて…」とのことだ。

 タッチライン際のラインアウトから中央に攻撃を仕掛けるや、一転、ラインアウトの地点へ球を振り戻す。万事、接点から見て横幅の広い「順目」ではなく、狭い「逆目」を突くイメージか。SO田村が「動けなさそうな人のところを狙いました」と言うなか、CTB釜池真道はより具体的に話した。
「相手バックスリーが順目に動きがちで、その逆が空く」

 悔やむのはその「バックスリー」。WTBで先発して途中からFBに回った山下楽平は、固めたはずの「逆目」をえぐられたと感じた。
「外側からのコールに反応して立っているだけのディフェンスになってしまった。1人ひとりが前を見て、相手の位置を見ながら立たないと」

 29分には敵陣深い位置からのキックを、ハーフ線付近やや左で捕る。「逆目」を駆ける。視線の先の神戸製鋼のFW陣に、防御の網を張り直す間を与えなかった。
 WTB後藤輝也が左端を駆け抜け、CTB釜池はこう続ける。
「毎週、相手はしている。きょうはそれ(対策に基づくプラン)を実行できた。ボールを最後まで(ミスなく)継続できたので」

 作戦遂行は、ハイパント攻撃にも見られた。SO田村がラインアウトから受けた球を高く蹴り上げ、味方がその弾道を追う。再獲得。急きょSOイーリを欠いた神戸製鋼にあって、HO木津武士は舌を巻く。
「うまい作戦だな、と」

 ハーフタイム直前に敵陣中盤左のスクラムから「逆目」を突いたNECは、NO8ジョージ・リサレのトライなどで32-12のスコアで後半を迎える。ここから神戸製鋼は優勢だったスクラムと持ち前の優雅な攻めで追い上げるが、14分に24-32と追い上げてからまた失速する。

 痛かったのは、後半25分のワンシーンだ。
 自陣22メートル線エリア右。SHアンドリュー・エリスらの防御で奪った自軍スクラムを崩す。実はスクラムを組む直前、最前列3名のうち2人を入れ替えていた。
 代わり端の1本。入ったばかりだったHO金井健雄は「僕らのなかでは押していたけど、取られた」。ここでSO田村がペナルティゴールを決め、再逆転を狙う神戸製鋼はラインアウトでも失敗を重ねる。歯車の狂いが、星取表の「波乱」を読んだ。(文:向 風見也)