「オープン球話」連載第24回 八重樫さんが選んだヤクルトのベストナイン>>歴代ベストナインを選んだ記事はこちら>>【…

「オープン球話」連載第24回 

八重樫さんが選んだヤクルトのベストナイン>>

歴代ベストナインを選んだ記事はこちら>>

【堀内恒夫、江川卓、斎藤雅樹……、巨人歴代ベストピッチャーは?】

――以前、八重樫さんにお伺いした「八重樫幸雄が選ぶ歴代ベストナイン」が大反響でした。そこで、今回からは「球団別歴代ベストナイン」をお尋ねしたいと思います。事前に考えていただきましたが、選考は難しかったですか?

八重樫 いろいろな顔が浮かぶので、やっぱり難しかったですよ。打順も一緒に考えたのでなおさら。でも、懐かしい顔を思い出したり、最近の選手の成績を調べたり、いろいろ楽しかったけどね。


松井秀喜(左)と高橋由伸(右)はベストナインに入るのか

 photo by Sankei Visual

――では、「歴代ベストナイン編」の記念すべき第1回は、先日球団6000勝を達成した巨人からお願いします! ポジションごとに伺いましょうか。まず、投手部門は?

八重樫 ピッチャーは1980年代の江川卓とか、1990年代の斎藤雅樹とか、いいピッチャーはいろいろいるけど、僕にとってはV9時代の堀内恒夫さんが、ジャイアンツの歴代ナンバーワンピッチャーですね。ストレートはとにかくスピンが利いていて、縦のカーブがものすごくよく曲がっていた。現役晩年にはスライダーも投げていたけど、全盛期はストレートとカーブだけで完全に抑えていましたから。

――「縦のカーブ」とは、いわゆるドロップのように曲がりが大きいカーブですね。

八重樫 そうですね。一瞬、バッターのあごが上がってしまうような感じで、一度上に行ってからグンと落ちてくる。そんな軌道の変化球でした。確かに江川もいいピッチャーでしたよ。打とうと思ったら、もうボールが来ている。スピードガン以上にスピンがかかったボールはやっぱり”怪物”でした。でも、現役として活躍した期間が短かったですからね。長い間、巨人のエースとして活躍した期間を考えると、やっぱり堀内さんかな?

――斎藤雅樹さんには手も足も出なかった印象が強いですが。

八重樫 そうだよね。斎藤も長い期間、巨人のエースとして活躍したので、堀内さんとどちらにするか迷いました。桑田真澄、槙原寛己の三本柱の中では斎藤雅樹がいちばん安定感があったしね。ただ、斎藤の時代は野球が変わり始めて、データ分析の結果、抑える時代になってきたけど、単純に自分の能力だけで抑えていた時代の堀内さんは本当にすごかった。「V9」という結果も伴っていた時代のエースということで、僕の中ではやっぱり、堀内さんが歴代ベストピッチャーですね。

――なるほど、ではキャッチャーは?

八重樫 これはやっぱり、阿部慎之助でしょう。あれだけ打てるキャッチャーは慎之助だけですよ。僕は指導者として阿部と対戦したわけだけど、インコースも、アウトコースも、どんな球でも理想的なスイングでとらえることができる。本当に理想的なバッティングをしていました。そういう意味ではONの後を打つ五番打者でも務まりますよ。

――じゃあ、捕手としてのインサイドワークというよりは、打者としての選出ですか?

八重樫 いやいや、彼は「打撃の人」のイメージが強いけど、30代になる頃にはキャッチャーとしても円熟期にさしかかって、インサイドワークがうまくなっていった印象があります。確かに森祇晶さんもV9を支えた名捕手だったけど、2000年代を支えたのは慎之助だし、バッティングとトータルで考えたら慎之助ですね。

【ONは別格。現役で唯一ベストナイン入りしたのは?】

――では、内野陣を伺います。

八重樫 巨人の場合は、ふたつのポジションが最初から埋まっていますからね(笑)。



1978年のヤクルトのユマキャンプで、ガンマン風の格好で撮影した八重樫氏(写真:本人提供)

――確かに(笑)。一塁は王貞治さん、三塁は長嶋茂雄さん。「ON」のふたりは満場一致というところですね。

八重樫 そこは不動ですよ。迷ったのはセカンドだけど、パッと浮かんだのは篠塚和典。でも、そうなると原辰徳がどこにも入らなくなる。原は基本はサードだけど、入団時にはセカンドも守っていたから、篠塚にするか、原にするか、すごく悩んだよ。

 でも、篠塚のすごいところは、バッティングはもちろんだけど、守備の際のポジション取りが絶妙だったんです。打者によって、カウントによって、おそらく自分の判断で思い切って守備位置を変える。で、実際にそこに打球が飛ぶ。それは本当にすごかった。ということで、セカンドひと筋で頑張った篠塚を選びたいですね。

――なるほど。では、ショートは誰でしょう?

八重樫 歴代では広岡達朗さんもいるし、僕が対戦した中では河埜和正もいたけど、歴代ナンバーワンショートは坂本勇人じゃないかな。ショートに関しては迷わなかったですね。それぐらい坂本はいい選手ですよ。高校から入ってすぐに活躍して、歴代最年少2000安打達成を狙える選手。「腰が高い」「不安定だ」など、いろいろ批判はあるけど、それでも20代の間ずっとレギュラーとして守り続けたのは立派ですよ。

【意外な顔ぶれが並んだ歴代外野手部門】

――では、外野手部門の3人をお願いします。

八重樫 外野手に関してはV9時代からふたり、最近の選手からひとりを選びました。僕にとって、真っ先に浮かんだのはやっぱり柴田勲さん。とにかく守備位置が広かった。バッターとしてもスイッチヒッターで足が速くて、イヤな一番打者でしたよ。1980年代の松本匡史も足の速い一番打者だったけど、柴田さんのほうが「コスい」というか、隙を見せたら、すぐに走られるイヤな選手でしたね。ということで、まずは柴田さん。

――残りのふたりは?

八重樫 V9時代の末次利光さんと、高橋由伸かな? 末次さんはチームバッティングがうまいんです。右バッターが軸を崩さないで逆方向に打つ。いわゆる進塁打の走りが末次さんだったんじゃないかな? 対戦相手として、とてもイヤだった。そして、由伸のバッティングは歴代選手の中でも有数の技術の持ち主ですよ。大きいものも打てるし、アベレージバッターでもあるし。彼の技術は、僕はすごく好きでした。

――外野手で松井秀喜さんが入っていないのが衝撃です(笑)。さて、これでベストナインが出そろいました。打順はどうなりますか?

八重樫 一応、こんな順番を考えたんだけど、やっぱり難しかったね(笑)。

1.柴田勲(中)
2.末次利光(右)
3.王貞治(一)
4.長嶋茂雄(三)
5.阿部慎之助(捕)
6.篠塚和典(二)
7.高橋由伸(左)
8.坂本勇人(遊)
9.堀内恒夫(投)

――おぉ、やっぱり強そうですね(笑)。今回、悩んだ点はどの辺りですか?

八重樫 ジャイアンツの場合はスター選手が多いでしょう。松井秀喜、原辰徳、中畑清、高田繁さん、このあたりが入れられなくて悩みましたね。難しかったけど、いろいろ過去を振り返るきっかけにもなりましたよ。

――では、これから毎回、球団ごとの「歴代ベストナイン」を伺っていきます。引き続き、よろしくお願いいたします!

八重樫 はい、わかりました。僕も楽しみです!

(第25回につづく)