スポルティーバ厳選!高校野球 47都道府県の注目選手兵庫編 新型コロナウイルスの影響により毎年夏に甲子園で開催される「全国高等学校選手権大会」が中止となり、その代わりに、各都道府県は独自の代替大会を開く。兵庫では県独自の代替大会「夏季県高校…

スポルティーバ厳選!
高校野球 47都道府県の注目選手
兵庫編

 新型コロナウイルスの影響により毎年夏に甲子園で開催される「全国高等学校選手権大会」が中止となり、その代わりに、各都道府県は独自の代替大会を開く。兵庫では県独自の代替大会「夏季県高校野球大会」が7月18日よりスタート。白熱の試合が期待される中、注目選手を紹介する。



明石商の速球派右腕・中森俊介

 2018年夏から4季連続で甲子園への切符を手にした明石商。昨夏の甲子園で最速151キロを叩き出した右腕・中森俊介は順調な仕上がりだ。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で実戦から遠ざかったものの、その約3カ月は下半身強化などの練習を地道に続けてパワーアップ。速球にさらに磨きがかかり、独自大会では球速の自己ベストを更新する可能性がありそうだ。

 主将で左の強打者・来田涼斗(きた・りょうと)は6月末の練習試合で高校通算30号の本塁打を放ち、好調ぶりがうかがえる。中森と来田は、1年生の夏から大舞台を踏んできた投打の柱で、ドラフト上位候補とされている。

 明石商の選手層は厚い。2人のほか、昨夏からレギュラーで攻守の要となる遊撃手・井上隼斗、勝負強さに定評があり打線主軸を担う植本拓哉にも注目だ。さらに、左の強打者・福本綺羅(ひかる)は、狭間善徳監督が期待する2年生バッターで、長打力が高い。投手陣は、中森を救援する中野憂翔、根木郁光の右腕コンビも素材が光る。

 昨秋の県王者となった報徳学園は、最速142キロで多彩な変化球を操るエース右腕・坂口翔颯(かすが)が冬を越えて大きく成長。秋から昨年末にかけて肘の状態が思わしくなかったが、冬場は投げ込みを控えて体作りに徹した。下半身の安定感を得るとともに肘の不安も払拭したようだ。

 183センチの2年生左腕・久野悠斗は、長身から繰り出すストレートに角度があり、早くもプロから注目される逸材だ。昨秋は中軸を打った左打ちの下井田悠人ら2年生に好打者も多いが、冬を経て3年生のレベルアップが著しいため、「夏は3年生主体で戦いたい」と大角健二監督。強いキャプテンシーをもった俊足巧打の三宅雄雅や、三宅と同じく下級生時からレギュラーとしてチームを盛り立てた足立達希(たつき)らを筆頭にまとまりが良く、秋に続く県連覇を見据える。

 神戸国際大付は、この春から主将になった浅川駿斗や、勝負強さが光る柴田大成、広角に打ち分けるバットコントロールが魅力の笠松拓真ら右の好打者がそろう強力打線を組む。

 昨秋の近畿大会で先発した右腕・岡野翔海(しょうか)は、野手としてのセンスも高いが、冬場に投手に専念し、速球、変化球ともに磨きがかかった。「投手陣の柱ができたことが大きい」と青木尚龍監督。キレのある変化球をもつ左腕の山根慎平、昨秋エースナンバーをつけた同じく左腕の角谷優斗らが後ろに控える。

 昨秋、台風の目となったのが長田。16年センバツに21世紀枠として出場した進学校だ。県内の実力校を相手に好投を見せた技巧派左腕の中島大地は、ストレートこそ110キロ台だが、緩いカーブをはじめとした変化球を変幻自在に操り、的を絞らせない。エース右腕の谷憲一郎との2枚看板で秋は勝ち上がったが、中島が主戦級の活躍を見せた。昨年末、兵庫県選抜チームに選出された捕手・竜波駿平がチームの司令塔役として攻守を引き締め、バッテリーを中心に堅守で勝負する。

 神戸弘陵は、140キロ台の速球が武器の右腕・野島勇太が冬季トレーニングにより球威を増した。バッテリーを組む捕手・上林直輝のテンポのよいリードは見もの。上林はコンパクトにしっかり振り切る打撃も魅力だ。

 赤穂には抜群の安定感を誇る左腕の山本颯真(そうま)がいる。昨秋の県大会で3試合連続完封勝利を挙げた。打者の狙いや空気感を読みながら、キレのある変化球を厳しいコースへ投げ分ける好左腕だ。

 西脇工のエース左腕・東田健臣(けんしん)は鋭く曲がるスライダーと最速142キロの速球を巧みに放り、投げっぷりは豪快だ。強気に打者の懐を攻める投球術にはピッチャー特有の向こうっ気の強さを感じる。

 同じく速いストレートとキレのあるスライダーで勝負するのが、伝統校・東洋大姫路のエース右腕・柿本晟弥(せいや)だ。コロナ禍の休校期間で、体重が約7キロ増量し球に力強さが増した。腕の振りが鋭く、身のこなしのよさも目を引く。まだ荒削りな部分はあるが、「将来性は高く、楽しみな存在」と藤田明彦監督も太鼓判を押す。1年春からベンチ入りする右の巧打者・根来亮凪(ねごろ・りょうな)は、対応力が高く、コースに逆らわない打撃で安打を量産する。投打の逸材が名門復活の糸口をつかむか注目だ。

 歴史ある育英の主砲を務める西川凱斗のスイングの強さは一級品だ。1年夏からレギュラーを張り、中軸を打ってきた高いポテンシャルをこの夏に発揮できるか。昨夏から主戦級でマウンドに上がる石沢拓大は、キレ味鋭いスライダーを武器とするサイドスロー右腕で、コースを丁寧に突くピッチングが持ち味だ。

 神港学園は、走攻守三拍子そろった遊撃手・河村利毅がチームをけん引する。シャープに振り切る打力と足で揺さぶる走力は見もの。市川は、打ってよし、投げてよしの高い能力を見せる左投左打の前田衡が大黒柱。1年生の時から打線の主軸を任され、逆方向にも鋭い打球を飛ばすスイングが光る。