ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチ率いるラグビー日本代表は10月28日、来週から本格的に活動するツアーメンバー32名を発表。11月5日には東京・秩父宮ラグビー場で2015年ワールドカップ4強のアルゼンチン代表とテストマッチ(国際間の真剣勝…

 ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチ率いるラグビー日本代表は10月28日、来週から本格的に活動するツアーメンバー32名を発表。11月5日には東京・秩父宮ラグビー場で2015年ワールドカップ4強のアルゼンチン代表とテストマッチ(国際間の真剣勝負)をおこない、以後は欧州遠征に出かける。

 昨秋のワールドカップで3勝したメンバー31名中、今度のリストに名を連ねたのはわずか12名。故障や「諸事情」が重なっての結果だ。特に強化責任者の薫田真広・男子15人制ディレクター・オブ・ラグビーが「チャレンジになる」と語るのは、密集戦やセットプレーの軸となるLOの選手。3名が選ばれたが、テストマッチ経験者は今年4月に代表デビューを果たした谷田部洸太郎のみ。日本代表初の100キャップ(テストマッチ出場数)まであと2と迫った大野均は、コンディション不良のため参加を見合わせた。

 そんななか期待されるタレントの1人が、フィジー出身のアニセ サムエラだ。身長198センチ、体重118キロの30歳。今季から日本最高峰トップリーグのキヤノンへ移籍し、背番号4を背負っている。

 前年度までは8シーズン、国内下部リーグのトップイーストに所属する日野自動車でプレー。すでに国内居住3年以上という代表資格はクリアしており、日本国籍も持っている。

 持ち味は勤勉さ、さらにはスクラムでの押し込みだ。持ち場の2列目から伝える馬力は、最前列のPR、HOに伝播。元ナミビア代表PRであるギデオン・レンシングFWコーチが就任2年目というキヤノンのスクラムを、より向上させている。

「いやぁ、凄いですよ、プッシュ。重さもある選手なので、僕らのスクラムを支えてくれる1人であることは間違いないです」

 チームのHO庭井祐輔主将も、こんなふうに語る。どうやら、攻撃面でも頼りになるようだ。

「キャリー(突進)も激しいですし、独特のステップも踏む。(厳しい局面へ積極的に)行こうという気持ちも持っています。ゲインを想定できる選手なので、チームとしては(アニセにパスすれば)次の攻撃のことを考えられるという効果もあります」

 今回のジャパンには、トップリーグで開幕8連勝中のヤマハから長谷川慎FWコーチがスポットコーチとして参加。FW8人が鋭角な塊を作る独自のスクラムを、ナショナルチームに落とし込む。ここで重要になるのは、やはり2列目以降からの強い「プッシュ」である。

 アニセは10月23~25日、都内での代表候補合宿に参加。実戦形式の練習では、堀江翔太、立川理道両主将のいるチームに加わっていた。プレーの起点での「プッシュ」が魅力のランナーに、出番が回りそうだ。
(文:向 風見也)