「三菱 全日本テニス選手権91st」(本戦10月22~30日/2846万円/東京・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/ハードコート)の本戦5日目は、男女シングルス3回戦と男女ダブルス2回戦・準々決勝および混合ダブルス1回戦などが…
「三菱 全日本テニス選手権91st」(本戦10月22~30日/2846万円/東京・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/ハードコート)の本戦5日目は、男女シングルス3回戦と男女ダブルス2回戦・準々決勝および混合ダブルス1回戦などが行われた。
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2年前の全日本チャンピオンである江原弘泰(日清紡ホールディングス)が、今大会の山場とにらんだ第7シードの今井慎太郎(東通産業)との3回戦を制してベスト8入りを決めた。
第11シードの江原は6-2 7-5で勝利した瞬間に歓喜の雄叫びを上げたことについて、「ドローを見てここで負けるかもしれないという思いもあったので、かなりうれしくて」とその理由を語った。
昨年の大会では準決勝で腹筋を痛めて途中棄権し、その後もその腹筋の故障を引きずり回復に時間がかかった。復帰した夏以降もなかなか成績が出せずに、自信を取り戻せずにいたという。
それでも、「僕にとってはこれがあるからテニスをしているというくらい、自分のテニス人生にとって大事な大会」と言う全日本に向けて気持ちを高めてきた。
「フルセットで勝った2回戦、そして今日とかなり自信になっているので、準々決勝をいい形で臨める。もう1回勝てば、またセンターコートに立てる。たくさんのテニスファンに見てもらえる週末になんとか残ってアピールしたい」と、全日本にかける意気込みを口にした。
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連覇をねらう第2シードの内山靖崇(北日本物産)は前日の3回戦で第16シードの井藤祐一(ライフ・エヌ・ピー)を破った望月勇希(中央大学)を相手に貫禄のプレーを見せ、6-1 6-4で退けた。
「ノンプレッシャーでぶつかってくる学生とやるのは嫌ですね。プロとやっているほうが気持ち的には楽」と笑ったが、それでも危なげないプレーで相手を圧倒するところはさすがだった。
この日行われた3回戦でのベストマッチは、第5シードの竹内研人(北日本物産)が大学2年の古田伊蕗(早稲田大学)を3-6 6-0 7-6(5)で破った一戦だろう。
2回戦で“壁のよう”と評されるストローク力をいかんなく発揮してシードを破った古田は、この日もラリー戦で格上の竹内を追い詰めた。第1セットを6-3で奪い、第2セットを失ったもののファイナルセットはタイブレークへ。タイブレークは5-2までリードして勝利まであと2ポイントとしたものの、竹内に5連続ポイントを許してビッグウィンを逃した。
「本当に悔しい。一番大事なところで取り切れなかった。勝ちを意識して攻められなかった。攻めようと思ったが、焦りもあって早くポイントを終わらせようとしてしまった」と肩を落としたが、「自分は今までフューチャーズで審判などをやっていて強い選手の試合を見てきただけだったけど、自分のストロークやプレーでも通用するとわかった」と、悔しさの中にも手応えも得た。
この経験は、間違いなく大きな財産になるはずだ。
快進撃が続いた学生の中でベスト8入りしたのは、昨年のインカレ室内優勝者の諱五貴(明治大学)。第9シードの岡村一成(ストライプインターナショナル)を6-0 6-4のストレートで破り、「ベスト16の昨年以上」と掲げた目標のさらに先へ勝ち進んだ。
卒業後の就職が決まっている諱は、「とにかく楽しむことだけを考えてプレーしたい」と、無欲で次の一戦に向かう。
また、前日の雨のため延期となっていた2回戦では、第8シードの志賀正人(GODAIテニスカレッジ)が予選勝者の守谷総一郎(MTSテニスアリーナ三鷹)を6-4 4-6 6-0で下して3回戦進出を決めている。
(テニスマガジン/ライター◎田辺由紀子)