トップ8によるエリート大会「WTAファイナルズ」(10月23~30日/シンガポール/賞金総額700万ドル/室内ハードコート) で、肉体的に疲労しているはずのスベトラーナ・クズネツォワ(ロシア)がディフェンディング・チャンピオンのアグネツ…
トップ8によるエリート大会「WTAファイナルズ」(10月23~30日/シンガポール/賞金総額700万ドル/室内ハードコート) で、肉体的に疲労しているはずのスベトラーナ・クズネツォワ(ロシア)がディフェンディング・チャンピオンのアグネツカ・ラドバンスカ(ポーランド)に対してさらに体力を消耗させる戦いの末に7-5 1-6 7-5で勝利をおさめた。 試合の終わりのラドバンスカのサービスゲームでマッチポイントをしのいだクズネツォワは、最終的に6-5からのラドバンスカのサービスゲームで3度目のマッチポイントをものにして勝利をつかんだ。 「ある時点で私はただ、なるがままにコート上に倒れて、人々に私をここから連れ出してもらう用意ができていた」とクズネツォワは声援を送った観客たちに言った。「私はただ、ここにとどまって食い下がろうと努めていたの」。 クズネツォワはこのトップ8による年末の大会への出場権を手に入れた最後のプレーヤーだった。先の土曜日に彼女がモスクワでタイトルを防衛したとき、つまり今大会が始まる1日前に出場が決まったのだ。 クズネツォワは2009年以来のWTAファイナルズ出場権を追い続けたへとへとになるような4週間を過ごしたあと、日曜日の午後にシンガポールに到着し、そしてすぐに試合をプレーした。
クズネツォワは中国で3大会に出場したあと、それからモスクワの大会にワイルドカード(主催者推薦枠)で出場した。 奇妙なことにクズネツォワはラドバンスカとの試合中、第3セットでワンブレークされ、1-2とリードされているときのチェンジエンドで突然ハサミを取り出し、結んだ髪の一部を切り落とした。切り落とされた彼女の髪は、試合の残りを通して椅子の上に残されたままだった。 試合後、髪を切ったことについて聞かれたクズネツォワは、「すごく邪魔になっていたのよ」と答えた。「フォアハンドを打っているとき、いいショットを打つたびに髪が目に当たっていたの」。
彼女はまた、こうも言い添えている。
「私は考えたの。今、何が重要なの?いずれ伸びる髪の毛?それとも試合?」 ファンにとっては見慣れない光景だったとはいえ、クズネツォワはコート上で髪を切った最初の選手ではない。アンディ・マレー(イギリス)も2015年末のロンドンでのATPファイナルズの際、ラファエル・ナダル(スペイン)に敗れた試合の最中に前髪を切っている。またボリス・ベッカー(ドイツ)も1988年にイワン・レンドル(現アメリカ)に対するウィンブルドン準決勝での勝利の過程で、前髪をカットしている。 クズネツォワにとって、それはうまくいったようだ。彼女はその即興の散髪のあと、すぐにラドバンスカのサービスをブレークしたからだ。しかし第5ゲームでふたたびサービスをブレークされると、彼女はエンドチェンジの際に今度はタオルに顔をうずめて泣いているように見えた。 2-4と再度リードを奪われはしたが、それでもクズネツォワは降伏することなく這い上がって、セットと試合をものにしたのである。 ドラマは2番目の試合でも続いた。1セットを落とし、さらにワンブレークされていたカロリーナ・プリスコバ(チェコ)が第3セット2-5からカムバックしてガルビネ・ムグルッサ(スペイン)を6-2 6-7(4) 7-5で倒したのだ。
ムグルッサは5-2の40-30のときに一度だけマッチポイントを握ったが、最後の24ポイントのうち20ポイントを取ったプリスコバにとどめを刺すことはできなかった。
「挽回勝ちすることができて、とてもうれしいわ」と、今週シングルスとダブルスでWTAファイナルズ・デビューを飾ったプリスコバは言った。「これは、毎日起こるようなことじゃない」。 これでホワイトグループはクズネツォワとプリスコバが1勝0敗、ラドバンスカとムグルッサが0勝1敗となった。(C)AP