「三菱 全日本テニス選手権91st」(本戦10月22~30日/2846万円/東京・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/ハードコート)の本戦4日目は、男子シングルス2回戦と女子シングルス3回戦および男女ダブルス2回戦が…

 「三菱 全日本テニス選手権91st」(本戦10月22~30日/2846万円/東京・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/ハードコート)の本戦4日目は、男子シングルス2回戦と女子シングルス3回戦および男女ダブルス2回戦が行われた。

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 本戦4日目の女子シングルスは、第11シードの二宮真琴(橋本総業ホールディングス)が第5シードの波形純理(伊予銀行)を6-3 6-4で破るなど、ランキング下位の選手が上位勢を破る波乱が相次いだ。

 二宮といえば、今年9月のジャパンウイメンズオープン(WTAインターナショナル/ハードコート)で青山修子(近藤乳業)と組んだダブルスでWTAツアー初優勝を果たしているが、ダブルスでのその飛躍がシングルスにもいい影響を及ぼしているようだ。

「ダブルスではストレートアタックなど事前に決めて打つことが多いので、それがシングルスにも生きている。今はラケットを振り切るということをテーマにしているのですが、その意味で今日はここ最近で一番ラケットを振れていたかなと思います」

 2007年の大会では準優勝を果たすなど経験豊富な34歳の波形に対してリターンから積極的に攻め込み、チャンスではダブルス仕込みのネットプレーでポイントを畳みかけた。

 全日本でのベスト8入りは自身最高成績だが、「成績はあまり気にしていない。それよりも自分のテニスをすること。それができたことが勝ちにつながったと思う」と二宮。準々決勝では、第1シードで昨年女王の桑田寛子(島津製作所)と第15シードの宮村美紀(フリー)の勝者と対戦する。

 また、第14シードの喜島瑞乃(フリー)が第4シードの岡村恭香(ストライプインターナショナル)に6-3 6-3のストレートで勝利。「武器であるフォアハンドに回り込んで、フォアハンドで決めるというイメージ通りの展開ができた」と、20歳の喜島は会心の勝利を振り返った。

 喜島はジュニア時代は全国大会の実績はほとんどないが、プロを目指して一般大会などに挑戦して2014年にプロ転向。昨年の大会では2回戦敗退だったが、今大会は昨年の成績をさらに上回り8強入りを果たした。「近い目標は全日本で優勝すること。日本人としては通過したい大会。チャレンジャーとして一戦一戦挑戦していきたい」と、目標に向けて意気込みを語った。

 また、3回戦進出の中で唯一のノーシード選手である馬場早莉(フリー)は第9シードの田中優季(メディカルラボ)に対して第1セットをタイブレークで失ったあと、第2セットの雨の中断を挟んでの逆転勝ち。

「どうせ負けるなら自分のプレーを最後まで貫こうと思った。しつこく打ち続けよう、しっかりラリーをしよう」と気持ちを切り替え、フルセットの接戦を6-7(1) 6-4 6-2で制した。

 予選から勝ち上がってきた馬場にとって大会前の目標は「昨年のベスト16を上回ることだった」と語り、まずは当初の目標をクリアした。

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 一方、第2シードの加藤未唯(佐川印刷)は18歳ながら第16シードの清水綾乃(高崎テニスクラブ)を6-4 6-4で退け、準々決勝へ駒を進めている。

 加藤の全日本での最高成績は2年前のベスト8。『全日本』という大会について「プレッシャーは感じていないけれど、知らない選手も多くてプレーヤーズラウンジに居づらい」と試合後の記者会見で笑いを誘ったが、「70%の出来だった」という初戦から、3回戦の出来は「80%」に。全日本初優勝へ向けて調子も上向きと言っていいだろう。

(テニスマガジン/ライター◎田辺由紀子)