本来なら「ウィンブルドン」が行われている予定だったこの時期。今年は新型コロナウイルスの影響のため行われていないが、ATP(男子プロテニス協会)が、過去の同大会での名場面を振り返っている。【実際…

本来なら「ウィンブルドン」が行われている予定だったこの時期。今年は新型コロナウイルスの影響のため行われていないが、ATP(男子プロテニス協会)が、過去の同大会での名場面を振り返っている。【実際の動画】3日かかって行われたイズナー対マウ【実際の写真】テニス史上最長の試合を記念したプレート

今回振り返っているのは、今後破られることがない、テニス史上最長の試合となった2010年大会の男子シングルス1回戦のジョン・イズナー(アメリカ)対ニコラ・マウ(フランス)だ。

1試合が終了するのに3日を要し、スコアは6-4、3-6、6(7)-7、7-6(3)、70-68、合計試合時間は11時間5分にも及んだ。

初日はセットカウント2-2となった時点で日没サスペンデッドとなり、残りは翌日へ順延に。ここまでの各セットが決まるまで要した時間は、それぞれ32分、29分、49分、64分、合計2時間54分と既に長いものの順調に進んでいた。

しかし第4セットが終了した時点で、両者の合計ブレーク数はわずかに2つ。また当時「ウィンブルドン」では、最終セットのタイブレークが導入されていなかった。

このルールが原因で、第5セットは途方もなく長いものとなる。まったくチャンスがないわけではないが、両者緊張感を保ちながらキープを続け、ブレークが発生しなかった。その結果、ゲームカウント59-59で2日目も日没サスペンデッドを迎えることになる。2日目の試合時間は7時間6分に及んだ。

そして3日目にようやくその時が訪れる。ネットに出たマウの横を抜くパッシングショットを決めたイズナーが勝利を掴み、終止符を打った。

この長さのため、他の数字も普段の試合では考えられないものに。サービスエースはイズナーが113本、マウが103本。合計183ゲームでブレークはわずか3ゲーム(両者合わせて168ゲーム連続キープ)、総ポイントは980ポイントにも及んだ。

この試合が行われた18番コートには、これを記念したプレートが飾られている。

ちなみにイズナーとマウは皮肉なことに、2011年大会の1回戦でも激突。その際は7-6(4)、6-2、7-6(6)でまたもイズナーが勝利したが、試合時間は2時間3分と抑えられた。

ただイズナーは2018年大会の準決勝でも死闘に直面。6時間36分の死闘の末、6(6)-7、7-6(5)、7-6(9)、4-6、24-26のスコアでケビン・アンダーソン(南アフリカ)に敗れた。

この2試合をキッカケに2019年大会から、最終セットで12-12となった場合、タイブレークを導入することが決まった。

これについてイズナーは「試合の勝者にとっては休息できるほか、次の試合のために控えている選手や、フルスケジュールのために有料で試合を見ているファンにも利益がある」とコメント。

またジョン・マッケンロー(アメリカ)も「アスリートとしての限界を極める戦いというのは、見ていて感動するものはあるけれども、2010年にイズナーが70-68となった時に、ルールを変えるべきだった」とコメントしている。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2010年「ウィンブルドン」でのイズナー(左)とマウ(中央)

(Photo by David Ashdown/Getty Images)