10月20日、「2016年プロ野球ドラフト会議」が行われ、パ・リーグ6球団には育成ドラフトも含め全62人の選手が指名された。1巡目では今ドラフトで最も注目を集めた創価大・田中正義投手に5球団が競合。■1巡目の単独指名には今夏優勝・今井(作新…

10月20日、「2016年プロ野球ドラフト会議」が行われ、パ・リーグ6球団には育成ドラフトも含め全62人の選手が指名された。1巡目では今ドラフトで最も注目を集めた創価大・田中正義投手に5球団が競合。

■1巡目の単独指名には今夏優勝・今井(作新学院)、藤平(横浜)の2人

 10月20日、「2016年プロ野球ドラフト会議」が行われ、パ・リーグ6球団には育成ドラフトも含め全62人の選手が指名された。1巡目では今ドラフトで最も注目を集めた創価大・田中正義投手に5球団が競合。抽選の結果、福岡ソフトバンクが交渉権を獲得した。また、桜美林大・佐々木千隼投手には外れ1位では異例とも言える5球団が集中。千葉ロッテが当たりくじを引き当て、ここ数年続いている複数指名でのパ・リーグの強さを見せつけた。

 高校生では今春のセンバツ、今夏の選手権と甲子園に出場した選手たちの去就も注目された。1巡目では埼玉西武が夏の優勝投手・作新学院高の今井達也投手を、楽天は横浜高の藤平尚真投手をそれぞれ単独指名。夏の甲子園で一気に評価を高めた今井投手は伸びのあるストレートが持ち味であり、9月のU-18アジア選手権では背番号18を身につけた。

 埼玉西武の甲子園優勝投手の入団と言えば、1998年ドラフト1位の横浜高・松坂大輔投手(当時は西武)、現役では2014年ドラフト1位の高橋光成投手が思い出される。将来のエース候補として、その右腕に大きな期待が掛かる。

 他にも、埼玉西武の4位では2年時に春夏と甲子園に出場し、チームの切り込み隊長として活躍した鈴木将平選手がいる。今夏は静岡大会で敗れるも、侍ジャパンU-18にも選出され3番打者を任された。走攻守三拍子揃ったプレースタイルで「ポスト秋山」を狙う。

■育成に定評の日本ハムは1位・堀(広島新庄)を含む4人の高校生を指名

 楽天に指名された藤平投手は、千葉市リトルシニア時代、侍ジャパン15U(当時)に選ばれ将来を嘱望されていた。横浜高では2年秋に急成長を遂げ、一躍ドラフト上位候補に躍り出る。高校最後の夏となった今夏は名門横浜高のエースとして、同校3年ぶりの甲子園出場に貢献。甲子園でもその実力を発揮した。U-18アジア選手権では2度目の侍ジャパン入りを果たし、「高校BIG4」の一角として君臨した。今度は侍ジャパントップチームでの活躍が見たいところだ。また、楽天8位指名の京都翔英・石原彪(つよし)選手は藤平投手と同じく15Uでプレー。プロで再びチームメイトとなる。

 田中投手、佐々木投手と2度のくじ引きを外した北海道日本ハムは、広島新庄高の左腕、堀瑞輝投手を指名。今夏の甲子園では2試合連続完投勝利を挙げた左腕は、特にU-18アジア選手権で輝きを放った。準決勝の韓国戦、決勝の台湾戦とリリーフで好投しドラフト上位候補に浮上した。北海道日本ハムは堀投手だけでなく、今春のセンバツで注目を集めた大阪桐蔭・高山優希投手を5位で指名。東京ヤクルトに1位指名された寺島成輝投手との2枚看板で今夏の甲子園に出場した履正社・山口裕次郎投手を6位と、3人の高校生左腕を指名する。また、最後の9位では中京高のスラッガー・今井順之助選手を指名と「スカウティングと育成」に定評のある同球団らしい高校生の指名を見せた。

■田中正義を引き当てたソフトバンクは、ドラフトした4人のうち2人が高校生

 田中投手を引き当てた福岡ソフトバンクは、春夏甲子園でいずれもベスト4に入り、侍ジャパンU-18でも正捕手を担った秀岳館高の九鬼隆平選手を3位で指名。4位では、今春のセンバツに出場した青森山田の内野手・三森大貴選手を指名。育成ドラフト3位の八戸学院光星・田城飛翔(つばさ)選手は、まずは首脳陣にアピールし、支配下登録を目指す。

 今季、最下位に終わったオリックスは3位で花咲徳栄高の岡崎大輔選手を指名。オリックスには今季、先発出場の機会を増した若月健矢選手という同校の先輩がいる。花咲徳栄高の中心選手としてともに活躍を見せた広島2位指名の高橋昂也投手に負けないほどの活躍を見せたい。

 そして、6位でオリックスに指名されたのは敦賀気比高の山崎颯一郎投手。189センチの長身投手であり、緩急をつけた投球で打者を翻弄する。敦賀気比高では昨年の平沼翔太選手(北海道日本ハム)に続き2年連続のプロ入りだ。

 今年も甲子園という大舞台に出場し、記憶に残る数々の活躍を見せた高校生たちが各チームに指名され、プロとして新たなスタートを切る。今後のパ・リーグを支えていくであろう若き新星の成長と活躍を願い、これからもじっくりと見守っていきたい。

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

「パ・リーグ インサイト」武山 智史●文