NBAは再開にあたり、ユニフォームの背中に配した選手個人の名前を、社会的なメッセージに置き換えることを検討しているようだ。

 NBAの休止期間、アメリカではさまざまな問題が起きた。リーグを中断に追いやった新型コロナウイルスとの格闘はもちろんのこと、無惨にも白人の元警官に殺害されたジョージ・フロイド氏の死は、黒人に対する暴力や構造的な人種差別の撤廃を訴える「ブラック・ライブズ・マター」運動をグローバル規模へと発展させ、世界に意識を変えるきっかけを与えた。

 日夜騒がれるパンデミックと「ブラック・ライブズ・マター」運動は、NBAとは切ってもきれない問題である。NBPA(NBA選手会)の部長を務めるカイリー・アービング(ブルックリン・ネッツ)は今月、選手80名が参加したとされる電話会議において、黒人差別に世界的な注目が集まっている今、リーグを再開すべきではないという否定的な意見を発したとされている。これにはドワイト・ハワード(ロサンゼルス・レイカーズ)をはじめ、一部選手や活動家が同調し、一時はリスタートに暗雲がたちこめた。

 一方で、NBAが歩みを止めることは、メッセージを発信する場を失い、黙ることに等しいという意見も存在する。オースティン・リバース(ヒューストン・ロケッツ)は、NBAの興行収入を「ブラック・ライブズ・マター」運動の活動支援に当て、このムーブメントをより大きく、継続させることができると考えている。また、全選手がアービングと同等の大型契約を結んでいるわけではないことを指摘し、1年間休養を取ることができない選手もいると反論した。

 このように選手それぞれの社会的正義に応えるべく考案されたアイデアが、ユニフォームに各々のメッセージを配置することだった。選手会長のクリス・ポール(オクラホマシティ・サンダー)は、『ESPN』に対して「NBAでプレーする選手たちが現在訴えかけているさまざまな社会問題に焦点を当てたい」とコメント。「I can’t breathe」といった「ブラック・ライブズ・マター」運動のスローガンなどをジャージに掲げれば、放送では多くの視聴者がそのメッセージを目にし、また一歩、問題解決につながるというわけだ。

 NBAが再開後は、選手たちのジャージにも注目が集まる。

文=Meiji