スポルティーバ厳選! 
高校野球 47都道府県の注目選手
岩手編

 好投手が生まれる県として定着しつつある岩手県において、今年の注目は花巻東の松本遼大(りょうだい)と盛岡大付の大久保瞬の両右腕だ。



サイドスローから最速145キロを誇る盛岡大付・大久保瞬

 本格派の松本は、滝沢二中時代は軟式野球部に所属し2番手投手だったが、高校入学当初から期待され続けた選手だった。上背を生かし、柔らかさも兼ね備えた投球フォーム。1年秋には同校の大先輩である菊池雄星(マリナーズ)や大谷翔平(エンゼルス)といった歴代の好投手たちが背負った出世番号「17」をつけて、東北大会のマウンドに立った。

 だが、2年生になると成長曲線は緩やかになり、夏の甲子園ではベンチ外に。同年秋の東北大会では登板機会こそあったが、エースナンバーを背負うことはなかった。

 ところが、ひと冬越えて急成長。体重増加に加え、精神面もたくましくなり、エースになるという自覚も芽生え、チーム内の信頼を勝ち取った。全国で唯一、新型コロナウイルスの感染者が出ていない(6月28日現在)岩手では4月から学校生活が再開され、練習試合も県内限定で行なわれてきた。

 そんななか、松本は投手陣の柱として登板機会を増やしエース格に成長。140キロ中盤に迫るストレートはまだまだ伸びしろがある。周囲からは「指先の感覚がすぐれている」と評価されるように、スライダー、フォーク、チェンジアップの変化球も一級品になる可能性を秘めている。大化けの予感漂う本格派右腕のいっそうの飛躍が楽しみだ。

 一方、サイドハンドの大久保も今年に入って急成長したひとり。出身は神奈川で南加瀬中時代は横浜港北ボーイズのエースとして活躍。当時から横手投げで、高校入学当初は”かわすタイプ”の投手だった。

 1年秋の東北大会でベンチ入りを果たすと、そこから頭角を現して2年秋には背番号10ながらエース級の活躍を見せる。東北大会の弘前東高との試合では14奪三振の完封勝利。ナチュラルにシュート回転するストレートはとくに右打者に有効で、2種類のスライダー、シンカーも丁寧に投げ分ける。また、昨年秋の公式戦が終わってからカーブを身につけ、投球の幅がさらに広がった。今年に入り球速は145キロまで伸びるなど、大久保の進化はまだまだ続く。

 ほかには、盛岡四高の長身左腕・山﨑諒は緩急を武器に打たせて取るピッチングが身上で、旧チームから登板機会が多い。昨夏の岩手大会4回戦では大船渡高の佐々木朗希(現・ロッテ)と投げ合うなど、経験値の高さも魅力だ。

 また、140キロを超えるストレートが魅力の高田高の佐藤真尋(まひろ)も注目のひとりで、県立校にも好投手が揃っている。

 野手では、スケールの大きい打撃が魅力の花巻東・水谷公省(こうしょう)に注目だ。2年時から主軸を担い、昨年夏はチームの4番として甲子園の舞台にも立った。とくにインコースのさばきがうまく、相手投手の威力あるストレートにも差し込まれないリストの強さとバットコントロールを兼ね備える。

 昨年秋の東北大会は大会直前に足首を痛めてメンバー外となったが、その悔しさを糧に冬場はトレーニングに励み、体はひと回り大きくなった。神奈川の強豪校・横浜隼人高の水谷哲也監督を父に持つ左の長距離砲は、岩手の地で確実に成長した。

 同じく花巻東の清川大雅は、広角に打ち分けるバットコントロールが秀逸な右の好打者。投げても140キロを超すなど、投打で非凡なセンスを感じる好選手だ。

 例年、強打をウリにする盛岡大付の注目株は、捕手で4番の塚本悠樹と今年に入って急成長した板橋健太郎だ。

 塚本は昨年秋の東北大会準決勝で仙台育英の好投手・向坂優太郎からホームランを放った右の強打者。板橋は181センチ、85キロと恵まれた体格を誇り、50メートルを6秒台前半の脚力もあり、今年はリードオフマンとしてチームをけん引する。

 このほかに野手では、昨年夏に練習試合で”佐々木朗希からホームランを打った男”として注目された盛岡一高の高橋怜大(れお)、ショートの守備に定評があり主将としてチームをまとめる一関学院の佐藤颯弥(そうや)などが、注目選手として岩手の夏の高校野球を盛り上げる。