ブンデスリーガ最終節。1部はバイエルンの優勝がとっくに決まり、ロベルト・レヴァンドフスキの得点王も確実、最下位はパーダーボルンで確定という中で、注目ポイントは16位、17位争いに限られていた。

 結果は、前節まで自動降格圏の17位だったブレーメンがケルンに勝利し、16位だったフォルトゥナ・デュッセルドルフはウニオン・ベルリンに敗れて順位が逆転。2月の第21節以来、一度もひっくり返らなかった16位と17位が最後の最後で入れ替わり、ブレーメンが2部3位とのプレーオフに進出することとなった。



ブンデスリーガ最終節ケルン戦で、2ゴールの活躍を見せた大迫勇也(ブレーメン)

 その翌日には2部の最終節が行なわれ、ブレーメンの対戦相手は、クラブ史上初めて1部にチャレンジするハイデンハイムに決まった。

 2部は2位シュツットガルトが勝ち点58、3位ハイデンハイムが同55、4位ハンブルガーSVが同54と、3チームが3位になる可能性があったが、3チームとも敗れるなんともしまらない結果となった。

 ブレーメンファンはハンブルガーとのノルトダービーがプレーオフで実現することを望んでいたのだが、願いは叶わなかった。ハンブルガーの公式SNSは「ホームで(最終節の対戦相手)ザントハウゼンを倒せないのだからプレーオフに行く資格はない。ハイデンハイムおめでとう。がっかりしたと言うことさえできない」と、情けないチームを突き放した。

 無観客で行なわれたブレーメン対ケルン戦では、スタジアムに併設されたファンショップ前に、およそ50人のサポーターが集結したという。携帯電話やラジオ、インターネットで試合の情報を集め、それに合わせて声援を送った。試合後にはパトカーが現れ「距離を保って!」と警告したが、自動降格を免れた喜びを前に、聞く耳を持つ者はいなかった。

 ブレーメン情報でおなじみのウェブサイト『ダイヒシュトゥーベ』は「たいした人数じゃないんだから、問題にするほどじゃないでしょう」とサポーターを擁護した。17位にいた時間が長く、もはや諦めの境地にいたブレーメンファンたちにとっては、喜びもひとしおだろう。

 試合は6-1でブレーメンの完勝だった。先制点と5点目は大迫勇也が決めた。

 先制点は22分。ペナルティエリア近くからマキシミリアン・エッゲシュタインが強烈なシュートを放つと、これが大迫の足もとに入る。大迫は慌てず、右足でサイドネットに突き刺した。5点目は58分だった。テオドル・ゲブレセラシエの右クロスを、中央に走り込んだ大迫が右足ダイレクトで叩き込んだ。

『ダイヒシュトゥーベ』は採点で、大迫に単独トップの1をつけ(最高点1、最低点)、「最初にふたつのシュートをミスしたが、重要な先制点を決めた。存在感がありつつ遊び心のあるプレーを見せた。5点目は(遊び心なく)確実に決めた」と、なぜかミスに言及しながら称えた。

 手放しでは褒めてくれないあたりが、大迫を評価しながらも、同時に、ファンが大迫をある種スケープゴートのように非難する声を伝えてきた同サイトらしい表現だ。

 大迫はケルン時代の7得点を超える、ブンデスでは年間最多の8得点を挙げ、チームのプレーオフ進出に大きく貢献した。

 大迫自身にとっても重要な1試合となったはずだ。フロリアン・コーフェルト監督に信頼されながら、決定的な仕事をしきれず、ケガや代表招集による空白、コンディション調整に苦しみ続けた大迫にとって、ブレーメンに加入して初めて、本当に納得できた試合かもしれない。

 もちろん、プレーオフに勝つまでは残留は確定ではない。ただ、プレーオフは一般に1部クラブのほうが有利だと言われる。理由のひとつはスケジュール。1部は土曜日に、2部は日曜日に最終節を終える。入れ替え戦の第一戦は翌週の木曜日に行なわれる。中3日と中4日で疲労度はだいぶ違うだろう。

 もうひとつは心理的なプレッシャー。1部のチームは初戦をホームで、2戦目をアウェーで戦う。先にホームで勝って勢いづくと、有利に2戦目を迎えられるという。ただ、今年に関しては応援がないため、ホームの優位性がどの程度あるのかは未知数だ。

 最後に2部のチームがプレーオフに勝って昇格を決めたのは2011-12のフォルトゥナ・デュッセルドルフで、この時はヘルタ・ベルリンを初戦のアウェーで破り、2戦目のホームで引き分けた。

 コーフェルト監督は、勝利にも手綱を緩めない。

「プレッシャーの中で早い時間帯に4得点できたことはすばらしかった。プレッシャーは高いままで、集中して戦えば、1部に残留する可能性はある。ただ、いまはまだ何も成し遂げていない」

 1980-81シーズン以来の2部降格を免れるべく、古豪ブレーメンが最後の力を振り絞る。