飛ばし屋・渡邉彩香が復活「自分からドライバーを取ったら何が残るんだと…」 新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れていた女子ゴルフの開幕戦、アース・モンダミンカップ最終日が29日、無観客試合として千葉・カメリアヒルズCC(6622ヤード、パー7…

飛ばし屋・渡邉彩香が復活「自分からドライバーを取ったら何が残るんだと…」

 新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れていた女子ゴルフの開幕戦、アース・モンダミンカップ最終日が29日、無観客試合として千葉・カメリアヒルズCC(6622ヤード、パー72)で行われた。4打差4位で出たツアー通算3勝の渡邉彩香(大東建託)は68の通算11アンダー。首位で並んだ鈴木愛(セールスフォース)とのプレーオフを1ホール目で制した。近年苦しんできた26歳が大逆転で2015年11月の樋口久子Pontaレディス以来、1702日ぶりの復活優勝を果たし、優勝会見に臨んだ。

 渡邉は4、8、12番でバーディー。15番で1つ落としたが、16、17番の連続バーディーで持ち直した。鈴木とのプレーオフでは、1ホール目にスライスラインのバーディーパットをねじ込んだ。パターを持った左を突き上げながら笑顔を咲かせ、鈴木は拍手を送って称えた。

 Zoomによるオンラインの優勝会見では、質問をする記者一人ひとりが「おめでとうございます」と祝福。久々に顔を合わせた渡邉は「あー、ありがとうございます!」「お久しぶりです」などと感謝を伝え、丁寧に質問に答えた。

以下、オンライン会見の主な一問一答。

――心境は。

「嬉しいです(笑)。もう勝てないかなと思った時期も正直あったので、今回開幕戦で勝ったのが正直嬉しいです。(ホールアウト直後のインタビューで)ここ数年苦しかったですよねって言われた時に、みんなの顔が浮かんでちょっと泣いてしまいした」

――調子は。

「調子は凄くよかったです。4日間通じてショットがよかった。オフにずっとショットを調整していましたが、日に日によくなった。長く勝っていなかったので、まだ調子がよくなったばかりであまりガツガツしても空回りすると思っていた。欲を押さえてワンショット、ワンショット、オフにやったことをやると意識してやった」

――プレーオフになった時の心境は。

「プレーオフ自体初めて。これまで苦しんでいたし、まさかいきなり開幕戦でこうなるとは。プレーオフになって初めて『優勝したい』という意識が出た」

――プレーオフで最後のパットを打つ心境。

「下りのスライスラインだったけど、自分の一番好きなラインだった。入れるとかそういうことより、自分の好きなラインだと思って打った」

――優勝の瞬間は。

「嬉しいのとずっとたくさんの人が気にかけて応援してくれていたので、それに応えられたというホッとした気持ちでした」

――どこで苦しんでいた。

「ドライバーを中心にティーショットで苦しんでいた。持味はドライバーで、そこを思い通りにできなかったのが不調の要因。自分はフェードヒッターなので、どんな状況でも左に出して右に曲げるということを意識した。本来の開幕時期よりもいい状態だった。いつ始まってもいいように準備してきました。今週は凄く気持ちよくドライバーを打てました」

苦しい時に「他の選手も『ナイスだったね!』って声をかけてくれた」

――苦しい時、ゴルフを辞めようと思ったことは。

「辞めようと思うことはなかった。勝てないんじゃないかと思うことは正直ありました。チームのみんな、家族、ファン、選手も凄く気にかけてくださった。ちょっとでも私がいいプレーをすると、『ナイスだったね!』って声をかけてくれた。そういう人達に感謝したい。家族には八つ当たりをしたし、迷惑をかけた。家族に(喜びを)伝えたいですね」

――一番つらかった時期は。

「厳しかった時期はやっぱり去年、一昨年の2年間ですかね。若い選手が出てきたことよりも、自分が気持ちよく打てないこと。自分からドライバーを取ったら何が残るんだと思っていた。リオに結局行けなくて、その中でこうしたい、ああしたいとか自分に足りないことばかり考えた。フェードの幅を狭くしたいとか、そういうのが迷いになった。ホステス大会で不甲斐ないプレーをして、プロとして本当に失格だなと思っていた」

――去年の夏にドライバーを入れない決断を下した。

「ドライバーを抜いて私に何が残るんだろうと思っていた。ドライバーが好きな気持ちは変わらないので、入っているとどうしても打ちたくなる。そこでまたマイナスなイメージがつくというのが繰り返した。一回抜いて、ドライバーを休憩させてもう一回やろうというところでした」

――自粛期間はどうやって練習を。

「お世話になっている地元のゴルフ場でお客さんがいなくなってから練習をさせてもらったり。いつも通りの量ではなかったけど、いい状態だったのでそれを落とさないようにやっていました」

――今は惜しくもリオ五輪出場を逃した時期。

「元々、東京五輪は目標にしていた。今は代表までかけ離れているけど、来年に伸びてもしかしたら運がついているのかもしれない。そういうのも目指して頑張ろうと思う。リオを逃してからその悔しさを晴らしたいとずっと思っていた」

――今大会のコロナ対策について。

「万全にしてくださっていることを感じていた。もちろん自分も対策していたし、試合も安心してプレーできた。握手したりできなかったですけど。(1日の雨天順延の影響については)雨で中止になるかもしれないと思っていたので、最終日をプレーできただけでも嬉しいです」

――今後の練習は。

「この感じを鈍らせないように地元で変わらずに一生懸命やりたい。試合になったらこうなっちゃうという感覚もあったので、それを修正したい」(THE ANSWER編集部)