新型コロナウイルスの影響で開幕が延期されていたF1がいよいよ幕を開ける。本来の初戦だった3月のオーストラリアGPがフリー走行開始直前に中止となり、7月3日開幕のオーストリアGP(レッドブルリンク、5日決勝)が新たな第1戦に設定された。 リ…

 新型コロナウイルスの影響で開幕が延期されていたF1がいよいよ幕を開ける。本来の初戦だった3月のオーストラリアGPがフリー走行開始直前に中止となり、7月3日開幕のオーストリアGP(レッドブルリンク、5日決勝)が新たな第1戦に設定された。

 

リモート会見したホンダの浅木泰昭PU開発責任者

 

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 レッドブルとのコンビでチャンピオンを狙うホンダは6月23日にリモート会見を開き、パワーユニット(PU)開発責任者の浅木泰昭氏からも「もう2位を目指すという目標はないので(今季の目標は)シリーズチャンピオン。最低でもメルセデスと互角のパワーユニットを目指す」と自信の発言が飛び出した。

 オーストリアGPは昨季、ホンダがF1復帰後初めて優勝したグランプリだ。2015年にマクラーレンと組んで7年ぶりにF1の世界に飛び込んだが、PUがエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッド方式に変わり、その前年からPUを供給していた既存のメルセデス、フェラーリ、ルノーの3社に大きく水をあけられていた。

 流れが変わったのはマクラーレンと決別してから。実際は相手から三くだり半を突きつけられた形だが、その後はいったんは内定していたザウバーとの提携が白紙になり、最終的に行き着いた先がレッドブルのジュニアチーム格のトロロッソ(今季からチーム名をアルファタウリに変更)。18年からPUを供給し、昨季からレッドブルとの2チーム供給体制に拡大された。

 今季の開幕戦ではいきなり優勝の可能性がささやかれる。昨季の戦績をみると、ホンダのPUは他メーカーと比較すると空気が薄い高地でのレースでの相性がいいのだ。

 昨季はオーストリアGP、ドイツGP、ブラジルGPと3勝したが、オーストリアGPを開催するレッドブルリンクは標高約660メートル、ブラジルGPのインテルラゴスサーキットは標高約800メートル。予選最速タイムをマークしたメキシコGPも会場のエルマノスロドリゲスサーキットは標高約2300メートルの高地にある。

 

今季のレッドブル・ホンダのマシン(ホンダ提供)

 

 空気が薄いと空気流入量が減るため平地よりもターボなどの威力が生かされず、馬力も落ちる。しかし、昨季のPUには、航空機エンジンも手掛ける「ホンダジェット」の知見が封入されており、燃焼効率などではメルセデスとガチンコ勝負ができた。

浅木氏も「メルセデスと並ぶ、という目標に近づいたと実感することができたのは(昨季の)ブラジルGPの最終ラップ」と言う。

このグランプリではレッドブルのマックス・フェルスタッペン(オランダ)が優勝したが、注目は2位に入ったトロロッソのピエール・ガスリー(フランス)。最終コーナーでメルセデスのルイス・ハミルトン(英国)に並ばれるも、パワー勝負となった最後のストレートで相手を抑えた。2018年以前ではあっさりと抜かれてもおかしくなかったという。

 

ホンダが公表したパワーユニット競争力推移

 

「このレースではパワーユニットの観点ではメルセデスに決して負けていない。対等に戦えたと評価できた」と技術者の視点からも決してマグレではなかったことを強調した。だからこそ、今季の開幕の舞台となるオーストリアGPについては「ターボの効率も含めて同等に戦えたサーキットだ。メルセデスは昨年のようなことはなくてしっかり対策してくるだろうし、期待と不安が半々ぐらいだ」と優勝の手応えをつかんでいるという。

ホンダが最後に開幕戦を制したのは1991年のアメリカGP。当時マクラーレンのアイルトン・セナ(ブラジル)がもたらした。まずは29年ぶりの開幕Vをさらい、チャンピオン争いの主役をもぎ取る。

[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)

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