「全米オープン」は先日2020年の開催を発表した際に、車いす部門は行わないとしていたが、車いすテニスのトッププレーヤーであるディラン・アルコット(オーストラリア)をはじめとする多くのアスリートやファンからの抗議を受け、その決定を覆した。豪ニュースサイトSBS Newsが伝えている。【動画】審判員に衝突しながらスーパーショットを決めるオルコット

USTA(全米テニス協会)によれば、開催は「複数の車いすアスリートやITF(車いすテニスを統括する国際テニス連盟)と何度もリモート会議を重ねて」決定された。

4日間の車いす部門は、例年通りの日程で、男女シングルス、ダブルス、クアードシングルスとダブルスが行われる。エントリー数も例年通り。

オルコットは、今回の決定を受け「決定を覆し、車いすプレーヤーを“全米オープン”で戦わせてくれてありがとう。サポートしてくれた皆さんありがとう、これは皆さんのおかげです」とTwitterに綴った。

「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月31日~9月13日/ハードコート)は新型コロナウイルスが世界中に広まった後に最初に開催されるグランドスラムで、主催者は厳格な対策を示している。

USTAの声明では「車いすアスリートは“全米オープン”に参加するすべての選手と同じ健康・安全規則に従い、会場への入場は9月7日からとなる」となっている。

車いす部門が行われないと発表された時、アルコットは、「“全米オープン”は車いす部門なしで開催すると発表。選手は何も相談されていない。2度の優勝者で世界1位の僕は、相談される資格があると思っていた。だが不運にも僕は歩けない、それが問題なのか。むかつく差別だ」と、USTAを批判していた。

彼はさらにTwitterに「頼むから僕が身障者だから“リスクが高い”とか言うな。確かに僕は身障者だ、だが病気ではない。僕が身障者だからといって、僕が僕の人生とキャリアにおいて何をするかを健常者が決めるのは、差別以外の何物でもない」と吐露。

これにやはり車いすテニス選手のアンディ・ラプソン(イギリス)や、元世界王者のアンディ・マレー(イギリス)も賛同。ラプソンは「またもやテニスの主催者たちのお粗末なリーダーシップが明らかになった。僕が車いすに乗っているから、シングルスとダブルスのタイトル防衛のチャンスを与えられないのか。この決定が覆らなければ、差別としか言いようがない」と述べた。

IPC(国際パラリンピック委員会)は「新型コロナウイルスのパンデミックにより、世界中のスポーツイベント主催者が数々の困難に直面していることは理解している。だがそのことが、一部の選手たちを差別したり、すべての選手に出場機会を与えない言い訳に使われるべきではない」と述べていた。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2019年「全米オープン」でのオルコット

((Photo by Emilee Chinn/Getty Images)