気温の上昇に伴い、疲労感を感じていらっしゃいませんか?夏は、1年の中でも特に疲労がたまりやすい時期です。ただの疲れだと…

 気温の上昇に伴い、疲労感を感じていらっしゃいませんか?

夏は、1年の中でも特に疲労がたまりやすい時期です。ただの疲れだと放置してしまうと、「慢性疲労症候群」につながり、治療に時間がかかってしまうことにもなります。疲れやすい時期こそ、疲労を感じたときにすぐに回復されることと、疲労しにくい体質を作っていくことが大切です。

疲労回復のためにおすすめの生活習慣や、漢方をご紹介していきますね。

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1.夏は疲労が溜まりやすい!なぜ?

疲労の原因は様々ですが、大きく分けて肉体的疲労と精神的疲労の2つの原因に分けられます。

肉体的な疲労は、単なる運動後や重労働をした後以外にも病み上がりや貧血、甲状腺ホルモンといった内分泌ホルモンの乱れなどの原因が考えられます。

精神的疲労とは、人間関係などのストレスによる疲労を指します。これらは各々存在することもありますが、両方の原因が絡み合い、ひどい疲労感につながっていることも多く見受けられます。特に夏は、暑さで体力を消耗しやすく、睡眠が妨げられることも多いため、疲労がたまりやすい時期です。

2.疲労の症状をそのままにすると陥る「慢性疲労症候群」とは?

疲労をそのまま放置しておくと、心身ともに様々な影響をもたらします。

特に、日常生活が著しく損なわれるほどの強い全身倦怠感、慢性的な疲労感が休養しても回復せず6ヶ月以上の長期にわたって続く状態のことを「慢性疲労症候群」と呼んでいます。

極度の疲労感に伴い、微熱が続いたり、喉が痛い、頭痛などの風邪のような症状、また筋肉が重かったり体を動かそうと思ってもなかなか動かせない、脱力感がある、なんとなくやる気が出ないなどの症状が現れます。これは、 CDC(米国疾病対策センター)により 1988年に提唱されている世界で認知されているものです。(国によっては、ME(Myalgic Encephalomyelitis:筋痛性脳脊髄炎)と呼ぶところもあります。)

血液検査等で、感染症やホルモン異常がなく、躁鬱病などの精神疾患が否定される場合にこの診断が下されます。

こうなると、なかなか改善することは難しくなってきますので、疲労は、少し疲れたな、と感じる時期に改善しておくことがベストです。

3.疲労を溜めないために・・・スマホの使いすぎには注意!

まずはしっかりと休養することが挙げられます。

休みになると、リフレッシュしようと朝から晩まで出かける人を見受けます。精神的疲労に対しては、趣味を持ってリフレッシュすることは大変効果的ですが、毎回休みのたびに外出していると、肉体的な疲れを残してしまいがちです。ちょっと疲れていると感じた時は、家でゆっくりすることも心がけてください。

また、その際、朝寝坊はしないこと。規則正しく適切な睡眠をとりましょう。適切な睡眠とは、朝は決まった時間に起床、遅くとも平日との差は2時間以内に収めること、昼寝をする時は20分程度、室内の照明や温度に気を配ることも大切です。
また、スマートフォンの使いすぎは、脳疲労を及ぼしやすく、自分が思っている以上に頭を動かしていることに繋がるので、ほどほどにしてください。特に寝る前はスマートフォンから発する光により、適切な睡眠を妨げる原因にもなるので、使用しないこと。

食事は、暴飲暴食をせずに、体のエネルギーである「気」を補ってくれる食材を選ぶこと。具体的には、米や卵、肉、エビなどがオススメです。

よく、炭水化物ダイエットと称して、お米を全然食べない人も見ますが、これではなかなかエネルギーが出ません。少量でもいいので、摂取するようにしてください。

そのほかに体をほぐすようなストレッチやしっかり湯船に浸かることも疲れを取るには重要です。

4.疲労回復におすすめ!飲むだけでOKの漢方薬

①補中益気湯
別名「医王湯」とも言われるこの漢方は、疲れにはこれ!という代表的な漢方です。名前の通りに体の生命エネルギーである「気」を補ってくれる漢方です。人参や黄耆といった気を補給してくれる生薬や当帰といった血を補ってくれる生薬が入っています。また、この漢方の特徴は、升麻と柴胡という2つの生薬が入ることで「升提効果」と言われる落ちた気をあげてくれる作用が入っていることです。ちなみに、気だけでなく色々なものをあげると言われ、子宮脱にも効果があるというのは面白いですね。

②十全大補湯
さて、前にあげた補中益気湯は、普段元気な人が疲労感を感じている際の処方です。それに対し、術後や高齢者の方などかなり体力が落ちている人にオススメの漢方は、十全大浦湯になります。こちらは、疲労強く顔色も悪い、皮膚が乾燥していて寝汗をかくこともあるというような気も血もかなり不足している状態に用いられます。人参や黄耆といった気を補う芍薬に加え、芍薬と地黄の組み合わせにより血を補います。

③加味帰脾湯
上の二つとは少し系統が違い、これは精神的疲労が多い女性向けの処方です。些細なことが気になったり、色々考えてしまい、なかなか寝付けない、更年期障害を伴っている方にはぜひ試していただきたい漢方です。上2つと同様、気を補う生薬も入っていますし、その上で気を巡らしてくれる作用があるため、ストレスを軽減してくれる作用があります。生姜や朮も構成成分に含まれるので、胃腸にも優しい漢方です。

5.漢方薬のメリットとは?

さて、今回ご紹介した漢方薬は、疲労感に有効というものでしたが、イライラしやすい、痩せにくい、頭痛持ちである、胃がすぐに痛くなる、などの症状を、体質から根本的に改善したいときにも、漢方薬は効果的です。

症状を和らげるだけの対症療法ではなく、体質自体の改善に働きかけるため、根本的な解決につながるのが利点です。同じ症状を繰り返したくない方に向いてますよ。

食事や運動に気を遣っていてもなかなか改善しない、という場合は、医薬品として効果が認められた漢方の力を借りて、体質から改善するのが有効です。毎日飲むだけで効果を実感できるので、手間なく気軽に継続できるのも大きなメリットです。

ただし、漢方薬を選ぶ際には自分の体質に合ったものを選ぶ事が大切です。体質に合っていない場合は、効果が出にくかったり、逆に副作用が出ることもあります。購入時にはできる限り漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談ください。

自分に合った漢方薬が何か知りたいけど、近くに漢方専門薬局がない…という方には、インターネット上で漢方の専門家に相談できる、オンラインAI漢方もおすすめですよ。自宅に居ながらあんしんの価格設定で精度高く漢方がお試しいただけるとテレビでも話題になっています。

6.休んでも疲れがとれない場合は病院へ

一口に疲労といっても、理由は多岐にわたり、時には感染症やホルモン異常などが原因の場合もあります。休んでも疲れがとれない、睡眠障害や食欲不振の症状も出ている、という方は我慢せずに病院を受診することをお勧めします。

7.生活習慣の改善と飲むだけでOKの漢方で疲労知らずの体質を目指しましょう

生活習慣を整え、適度な運動とリフレッシュを心がけることで疲労を解消し、疲労をためにくい体質を作っていきましょう。

[文:あんしん漢方]


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<この記事を書いた人>
健康スポーツ医/漢方医/精神科医 木村好珠

木村 好珠

渋谷金王坂クリニック非常勤医、一般社団法人国際統合治療協会理事
医学部在学中より東洋医学を学び、精神科と東洋医学科が充実している慶應大学病院での勤務を経て、西洋薬の即効性等と漢方薬の根本的な治療をバランスよく使い分ける事を信条とする。
渋谷の漢方内科で非常勤医として勤務する傍ら、テレビや雑誌、インターネットテレビ、Webメディアなどで、精神疾患、心理学、生活習慣病など様々なテーマを精神科医・漢方医の立場で解説も行う。