「明日へのエールプロジェクト」の一環で、学生とアスリートが今とこれからを一緒に語り合う「オンラインエール授業」。第5回目の講師は、「フクヒロ」の愛称で親しまれ、女子バドミントン日本代表で、数々の国際大会で成績を残し、今年の全英オープンで初優…

「明日へのエールプロジェクト」の一環で、学生とアスリートが今とこれからを一緒に語り合う「オンラインエール授業」。第5回目の講師は、「フクヒロ」の愛称で親しまれ、女子バドミントン日本代表で、数々の国際大会で成績を残し、今年の全英オープンで初優勝。世界ランキング2位(2020年3月時点)のダブルス、福島由紀選手・廣田彩花選手ペア。全国高校バドミントン部の現役部員や顧問の先生など約70名が集まり、今のリアルな悩みや質問に答えた。

福島先輩と試合ができたのが嬉しかった(廣田)

まずは二人の挨拶から配信はスタート。「自分もちょっと緊張しています」と切り出す福島選手(以下、福島)と「みなさんの意見をもらいながらやっていきたい」と対話への期待感を表した廣田選手(以下、廣田)。「たくさんのことを吸収してこれから頑張りたい」と反応し、意欲を見せた高校生もいた。スタートに際し、手を振ることを促されると約70人の生徒・教員の熱気が画面いっぱいに見て取れた。

最初の話題は、二人の高校時代の活動について。「(高校生活は)ほとんどバドミントンの練習しかしていなかった。5時半から朝練、夜も練習漬けだった」(福島)、「将来は考えていなかったけど、インターハイに集中していた」(廣田)と振り返ると、インターハイ当時、二人が実際にシングルスで対戦していたというエピソードを披露。「(廣田は)ネットインとオンラインばかり打ってくるのでいやらしかった」(福島)と笑みをこぼすと、「福島先輩と試合ができるのが嬉しくて全力で臨んだが、力及ばなかった」(廣田)と、惜しくも敗れた当時を振り返った。

そのインターハイについて、「中止になってしまって、努力してきたことが試せなかったことが悔しい」とコメントした女子生徒。「部活の時間が(今は)短い。短時間で効果的な練習方法は?」という質問には、「練習以外の時間はランニングや体幹のトレーニングなどがいいと思う。せっかく体育館が使えるなら、短い時間でもとにかくシャトルをたくさん打つこと。不安な気持ちもやはり羽根を打たないと」(福島)と実践の大切さを語った。

「一本取れば流れが変わる」あえて前向きに考える(福島)

後半は、テンポよく質問や回答が飛び交う積極的な内容に。

「タブルスでペアとうまくいかない時はどうしたらよいか」という高校生の悩みには、「福島先輩に聞いてもいいですか?」(廣田)と笑顔でバトンタッチする場面も。「パートナーとうまくいかないことは私も経験しているからよくわかります。(本音を)聞いてみたり、好きなものや私生活の話をしたり、難しいと思うけど(一歩踏み込んだ)コミュニケーションを取ってみてほしい」と対話の大切さを伝えていた。

「よく試合や団体戦で、この一点を取られたら負けるというところで緊張してしまう。瀬戸際でのプレッシャーに勝つには」という切実な質問が出ると、「団体戦の最後に回ってきたら、負けたらどうしようか、よりも、自分が勝てばチームが勝てる、ヒーローになれると考える」(福島)とコメント。「一本取れば流れが変わる。(自分は)基本ネガティブなのがわかっているので、あえてポジティブな方の『どうしようかな』という風に考えています」と前向きなマインドセットも促していた。

高校生に今日の感想を求めると、「こんないい機会がもらえてよかった。(二人が高校生の当時)部活後も自主練をされていたり、強くなりたいという意志を感じたりできた。バドミントンだけでなく意識を強く持っていきたい」と、バドミントン以外の部分でも刺激を受けた様子を話していた。

最後は、約70人の生徒・教員が、福島選手・廣田選手を中心に記念撮影。全員で勝利のガッツポーズをイメージし、オンラインエール授業を締めくくった。あっという間の1時間、記念撮影の後は笑顔があふれ、誰からともなく拍手が起こった。

授業後の「アフターセッション」で高校生の本音を語り合う

福島選手・廣田選手とのオンラインエール授業後に、高校生・顧問の先生たちだけの「アフターセッション」を開催。授業でのエールを受けて、今のリアルな想いを自由に語り合った。

授業後の感想を聞かれると「大会がいくつもなくなって、引退試合になるような大会もなくなった。気持ちの切り替えもなかなかうまくいかなかった。話が聞けて、ここからは勉強に切り替えて、また将来バドミントンを楽しみたいと思う」と意識が変わった様子を伝える生徒や、「部活ができないとか受験のこととか、みんなが不安な中で、こういった機会を作ってもらって、自分たちを励まそうとしてくれていることが嬉しかった。バドミントンはやっぱり、こうやって人とつながれるのが嬉しい」と想いを共有できる機会に感謝している生徒も印象的だった。

顧問の先生の貴重な声も聞かれた。「インターハイがなくなって選手たちもいろんな思いで過ごしているのがわかった。また、それを支える顧問や自治体の人たちも残念に思っているのではないかと思っている」と先生ならではの視点で話しながら、「今日話を聞いて、本当に部活に真摯に向き合っていて、部活がライフワークなんだなとあらためて思った。これからそれを支えていくのが私たちの課題ですね」と、教員として決意を新たにしたようだった。

今回のオンラインエール授業への参加のきっかけの話題になると、顧問の先生から参加してみないかと誘いを受けた生徒や、ちょうど定期試験が終わったタイミングでサプライズとして先生から紹介されたなど、先生側から励ましの意味を込めて促されている様子も垣間みられた。

今後もさまざまな競技によって配信される「オンラインエール授業」。

これからも、全国の同世代の仲間と想いを共有しながら、今のやるせなさ、不安感を少しでも前向きにしていけるエールを送り続ける。