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 2014年夏には全国制覇の経験がある福知山成美女子野球部。今年の夏はU-18日本代表でも活躍したエースの左川楓(3年)が4試合を1人で投げぬいて、チームを4強に導いた。

 しかし、新チームでは左川のような絶対的エースはいないが、5人の投手で力を合わせる作戦に様変わり。8月の女子硬式野球ユース大会では2試合を無失点に抑えるなど、投手王国ぶりを見せつけた。

【左から藤井亜子、中塚依莉、楠本とも子、山口舞桜、三浦ひより】

 ストレートに勢いのある楠本とも子(2年)、制球力のある藤井亜子(1年)、テンポの良さが持ち味の三浦ひより(1年)の右投手3人が先発を任されることが多い。彼女たちが試合を作り、横手投げの中塚依莉(2年)と落差のあるカーブを武器とする山口舞桜(2年)の左腕コンビがリリーフでマウンドに上がるのが主な必勝パターンだ。

「いい意味で浮いていた。信頼感があって、誰からも頼られるようなピッチャーでした」と中塚は先輩の左川について語る。追いかける背中がなくなる不安はあったが、それぞれが「自分がやらないといけない」という自覚を持つようになった。

【中塚依莉】

 エースになりたいという気持ちは投手であれば誰もが抱く感情だが、競争から足の引っ張り合いが生まれることはない。「絶対的なエースがいないから、自分たちが任されたところで責任感を持って全員でプレーしたいと思います」と話す山口をはじめ、彼女たちは自らの役割を全力で全うしている。

【山口舞桜】

 新チームで初の公式戦となるユース大会では準決勝まで勝ち進んだ。「1人では勝ち上がることができない。他のピッチャーがいるから勝ち上がれています」と楠本は複数投手の力を合わせて戦い抜いたことを強調する。

【楠本とも子】

 出身は楠本が徳島県、中塚が兵庫県、山口が奈良県、藤井が愛知県、三浦が静岡県とバラバラだ。それでも「野球になったらまとまる」(中塚)とお互いを高めあいながら日々の練習に取り組んでいる。

 さらに2年生が率先して練習を引っ張る姿を見せることで、「先輩からいつも盛り上げてくれるので、思い切ってやれる」(藤井)と1年生もノビノビとやれる空気が生まれているのも福知山成美の強みだ。

【藤井亜子】

 3月の全国高等学校女子硬式野球選抜大会ではユース大会の4強を超える優勝を目指す。春に向けて、5人に今後の抱負を語ってもらった。

【長野恵利子監督の話を聞くピッチャー陣】

楠本「試合の流れを作って、チームを勝ちに導けるようなピッチングをしていきたいです」

中塚「春夏連覇をするためにはピッチャーが一番、重要なポジションとなってきます。しっかりと抑えられるように頑張っていきたいです」

山口「自分は中継ぎや抑えが任されることが多いので、任された回をしっかりと0で抑えられるようにしていきたいです」

藤井「登板する機会があれば、チームのために投げられるようにしたいです」

三浦「どんな場面でも頼ってもらえるようなピッチャーになるためにこの冬は一生懸命頑張りたいと思います」

 これまでも古谷恵菜(埼玉アストライア)や黒永桃花(レイア)など数多くの好投手を輩出してきた福知山成美。来年は5人の鮮やかな継投策に注目だ。

【三浦ひより】

記者:馬場 遼