-Future Heroes 一覧はこちら-  米軍の普天間基地の敷地内にある宜野湾ポニーズのグラウンド。チームは35年の歴史を誇る沖縄県初の中学硬式野球クラブだ。知名朝雄現総監督が設立し、これまで運天ジョン・クレイトン(元日本ハム投手)や…

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米軍の普天間基地の敷地内にある宜野湾ポニーズのグラウンド。チームは35年の歴史を誇る沖縄県初の中学硬式野球クラブだ。知名朝雄現総監督が設立し、これまで運天ジョン・クレイトン(元日本ハム投手)や宮城大弥(2019年オリックスドラフト1位)、勝連大稀(2019年ソフトバンク育成ドラフト4位)らを輩出。今夏にはポニーリーグの全日本選手権で9年ぶり5回目の優勝を飾った。

 そのチームでエースを務め、11月22日から行われるU-15アジアチャレンジマッチ(愛媛県で開催)に出場するのが大型右腕のマーガード真偉輝だ。

マーガード真偉輝(まーがーど・まいき)・・・2004年9月14日生まれ。沖縄県沖縄市出身。184cm87kg。右投右打。中学3年生。

 ミドルネームはキアン。ひときわ目立つ中学生離れした体格は、183cmあるアメリカ人の父、168cmある日本人の母の影響もあるが、中学入学後から毎日1リットル飲み始めた牛乳や、毎日8時間から9時間という睡眠も関係していそうだ。身長は3年間で16cmも伸びた。どちらも「身長を伸ばすため」としながらも、「牛乳が好きですし、夜10時くらいになると自然と眠くなるので」と自然体なのも頼もしい。

 兄の影響で小学1年時から軟式野球を始め、中学では「強いチームと聞いたので」と宜野湾ポニーズに入団した。

 最初は練習についていくのも必死なほどだったが、日本一そして侍ジャパン入りを果たすまでになった。3年間の成長を問うと、「味方がエラーをしても引きずらなくなりました」と話し、「味方がエラーしても抑えるのがエース」とコーチに言われたことが大きかったという。

 また、冬場の走り込みと体の成長で最速138キロまでに成長。変化球はカットボール、スライダー、カーブ、スプリットを投じる。

 数多くの選手たちを見てきた知名総監督は「宮城も中3で138キロを投げていましたが全然違う」と話す。「宮城はほとんど無失点の試合ばかりでしたが、まだマーガードは打たれる」と評価する。練習に取り組む姿勢なども甘いと愛情ゆえに厳しい。一方で今回の侍ジャパンでの活動を好機にして欲しいと知名総監督は期待をかける。

「宮城は帰ってきてから、より自覚が出て本当に変わりましたからね。周りに上手い選手がたくさんいて、彼らが皆“目標はプロ”と話すので宮城もそこを目指すようになりました。マーガードもあれだけの体格がありますから、良い機会にして欲しいです」

 マーガードもまた侍ジャパンの活動に向けて「全力を出して、周りから学べることを学んで高校野球に繋げたいです」と意気込む。
 将来の目標は「プロに行くことです」と、きっぱりと答える。高校も沖縄を飛び出し、北陸地方の強豪校に進む希望を持っている。

 この恵まれた体格を生かすも殺すも本人次第。侍ジャパンのユニフォームに袖を通し、格好の腕試しの場に全力で挑む。

まだ粗削りながら力強い球を投じるマーガード

文・写真=高木遊