「外国人選手の登録枠が”5人”になると、DeNAはかなり有利になると思いますね」 ベイスターズのOBであり評論家の野村弘…

「外国人選手の登録枠が”5人”になると、DeNAはかなり有利になると思いますね」

 ベイスターズのOBであり評論家の野村弘樹氏は、今シーズンを睨み、そう断言した。



メジャー通算33本塁打のタイラー・オースティン

 コロナ禍により開幕が3カ月遅れた今シーズン。特別処置により外国人選手枠が”5人”と定められた。従来どおりベンチ入りは4人までで、出場は投手、野手とも最大3人だが、新たなルールの詳細はこうだ。

<今季の特例として「投手4、野手1」「野手4、投手1」を認める。ただし、「4:1」の運用以降は、それ以外の投手、野手の組み合わせは認めない。「投手4、野手1」「投手1、野手4」の内訳を選択したチームは、シーズン中に「投手3、野手2」「投手2、野手3」の内訳での運用はできない。

 たとえば、「投手4、野手1」の内訳を選択したチームが、その後に一方を2人に増やすには4人制を採用する必要がある。再度5人制を敷く場合は、「投手4、野手1」の内訳に限定される。4人制であれば従来どおり「3:1」「2:2」「1:3」の運用が可能となる>

 この特設処置により、俄然盛り上がりを見せるのがDeNAだ。

 今シーズンの外国人選手は、2年連続ホームラン王のネフタリ・ソト、ベテランのホセ・ロペス、160キロ超えの左腕エドウィン・エスコバー、セットアッパーのスペンサー・パットンという昨年までのメンバーに加え、メジャー通算33本塁打のタイラー・オースティンと安定した投球が持ち味のマイケル・ピープルズが新たに入団し、6人体制となった。

 オープン戦や練習試合を見るかぎり、どの選手も好調をキープし開幕を迎えようとしている。

 野村氏は、今季のDeNAは外国人選手がカギを握っていると断言する。

「”4”と”5”では戦力に大きな違いが出てくると思いますね。では誰を選ぶのか? まず野手ですが、ロペスとソトは実績を考えると絶対に外すことはできない。そして新加入のオースティン。再開された練習試合でのラミレス監督の起用を見るかぎり、開幕も間違いなくオーダーに入ってくるでしょう」

 オースティンは練習試合でロペスと並ぶチーム最多の3本塁打を放ち、ビッグインパクトを残している。

「課題と言われていた外への変化球やブレイキングボールにも対応していますし、なによりも結果を出しています。ただ、シーズンに入ってピッチャーが本気モードになった時にどうなのか? オープン戦は打ちまくっていてもシーズンに入るとまったく打てなくなる外国人は少なくないですからね。ただオースティンは学習能力があるように感じますし、適応する可能性は高いと思います」

 今季のDeNAは、1番・梶谷隆幸、2番・ソト、3番・オースティン、4番・佐野恵太、5番・ロペス、6番・宮﨑敏郎といったように長打力のある打者を揃え、得点力アップを狙っている。これを機能させるためにも3人の外国人野手は欠かすことはできない。

 となると問題はピッチャーである。ラミレス監督は練習試合で好投したピープルズのローテーション入りを明言しているが、野村氏の考えはこうだ。

「今季は開幕が遅れたことで連戦が続きます。たとえば、金曜日の試合が雨天中止になり翌月曜日に試合が組み込まれると9連戦になる可能性もあります。これまでのラミレス監督の投手の起用法を見ると、今季もおそらく先発ピッチャーの調子が悪いとみれば早々に降板させると思います。そうなるとやっぱりリリーフが非常に重要になる。おそらく、これまで以上にタフなブルペンになるでしょう。

 左のリリーフが少ないのでエスコバーは絶対に外せない。そしてパットンも貴重な存在です。野手3人だと起用できるピッチャーは1名なので、状況によってはリリーフのローテーションを組んでどちらかを登板させるか、あるいはベテランのロペスを休養させてエスコバー、パットンのふたりを同時に使うなど、ある程度ブルペンを充実させておかないと今季は本当に厳しいと思います。ピープルズに関しては、先発陣も決して盤石ではないので、いざというときのために準備をしてもらう。連戦によって外国人選手からもケガ人が出る可能性があるので、ピープルズにも十分チャンスはあると思いますよ」

 各外国人選手が能力を発揮することができれば、22年ぶりのリーグ優勝を引き寄せることができるはずだ。

 ただ今季は、誰も経験をしたことのない異例のシーズンとなるわけだが、DeNAはどのように戦っていけばいいのか。

「初めてのことばかりで正直言って想像もつきません。ただ120試合に加え、連戦になるのであっという間にシーズンが進んでいくと思うんです。ですから、序盤の30試合が大事になってくる。いかにスタートダッシュできるか。DeNAは毎年のようにスタートでもたつくので、そのあたりはどうなのか。

 また、オリンピックが延期になったことで横浜スタジアムの使用が可能になりました。DeNAはホームでの勝率が高いので(昨季は43勝28敗1分)、有利に働くと思います。ただ例年と異なるのは、しばらくは無観客試合だということ。はたして選手たちはモチベーションを上げて戦うことができるのか」

 まったく先の見えないシーズンではあるが、これまで奇策と批判を浴びても意外性のある選手起用などで結果を出してきたラミレス監督である。外国人選手のチョイスも含め、一体なにが飛び出るのか楽しみでもある。

「ラミレス監督も5年目ですし、昨年2位ということを考えれば優勝しか見ていないはず。どんな戦いをしてくれるのか、お手並み拝見ですね」(野村氏)