180センチ、82キロのバランスが取れた体つきは、入学当初からほとんど変わっていない。「『入学時は細かった』という印象…
180センチ、82キロのバランスが取れた体つきは、入学当初からほとんど変わっていない。
「『入学時は細かった』という印象はないですね。動きも周りの選手とは違っていて、入学してすぐに『レギュラーとして起用できる』と思いました」
NTT西日本で監督を務め、NHKの高校野球中継の解説でもおなじみだった高岡第一の村本忠秀監督は、中家諒(外野手/右投右打)についてこう絶賛する。1年春の県大会でいきなり「1番・レフト」としてスタメンに名を連ねたが、村本監督はその理由を説明する。

1年春からレギュラーとして活躍してきた高岡第一・中家諒
「当てはめるところがなくて1番に座らせたんです。でも、それが見事にはまって。たしか、その大会で5割以上の打率を残したんじゃないですかね」
夏には背番号7となり、不動の1番打者となった。初球から積極的にバットを振り、芯を外しても内野手の間を抜けていく。
「もともと振る力はありました。どんどん振っていけるから野手の間を抜けていくのかなと……」(村本監督)
積極性のあるバッティングは3年間変わらず、パワーも身につけていった。今年春の時点で高校通算本塁打は20本を超えた。中家は自身のバッティングについてこう語る。
「芯でとらえた時の打球の速さと飛距離には自信があります。今年になってから右中間に打つことを心がけて、甘いボールをしっかりとらえられるようになりました」
冬場は速いボールに対応できるよう、マシンのスピードを上げ、体が開かないように逆方向を意識して打つ練習を繰り返してきた。だが、春先に行なった大学との練習試合ではなかなかバットに当たらず苦悶した。それでも打席に立つと独特のオーラを放つ。
「理想は低い弾道の打球です。その延長でホームランが出ればいいかなと思っています。ホームランを狙ってしまうと、かえって打てなくなるので……(笑)」
もうひとつ、中家がこだわるのが確実性だ。昨年秋の北信越大会は初戦で星稜(石川)と対戦し、エース・荻原吟哉から2安打を放ったが試合は敗れた。
「甘い球をしっかりとらえ切れませんでした。自分は外を攻められることが多いんですけど、そこをしっかり右中間に持っていけるかが課題です。それに、あの試合は2安打しましたが、三振も2つしたので……最終回に走者を置いた場面で打席が回ってきたんですけど、甘い球を仕留めきれず三振してしまったんです。追い上げる展開だったので、自分が打っていたら流れが変わったかもしれない。そこは悔いが残りました」
ちなみに、中家は投手としてのポテンシャルも高い。中学時代は高岡ヤングという硬式のクラブチームに所属し、おもに投手としてプレーしていた。
高校入学後もマウンドに立つ機会があったが、現チームには田中誠央と佐伯成優という140キロ台中盤をマークするダブル右腕がおり、中家の出番はなかなかない。それでもインコースを強気に攻められるピッチングが持ち味で、村本監督も「投げられるなら登板機会を与えたい」と”二刀流”にも積極的だ。
さらに、中家は学業も優秀で、特別進学コースの文武両道である。村本監督は「よくウチに来てくれた」と感謝する。
「地元の県立の進学校に合格できるだけの学力を持っています。彼は模範生で、学校案内のパンフレットは中家が表紙になっていて、中のページにもところどころ出てきます。普通なら進学校に行くと思うのですが……」
中家が高岡一を選んだのには、ちゃんとした理由がある。
「(社会人野球で実績のある)村本監督の指導を受けたかったからです」
その尊敬する村本監督と甲子園を目指していたが、新型コロナウイルスの影響で2月下旬から思うように練習ができず、予定していた練習試合もことごとく中止となった。そして5月20日には、夏の甲子園大会の開催中止が決定。集大成の場に立つことができないまま、高校野球に終止符を打たなければならなくなった。それでも中家は気丈に語る。
「去年まで当たり前に野球ができていたけど、今年は練習もなかなかできないなかで、野球ができるだけでもありがたさを感じています」
夏の富山県大会は中止になり代替大会の開催が予定されているが、ひとりでも多く、中家のあの力強いバッティングを見てもらいたい。