テニスは互いが接触しないスポーツで、選手が対戦相手の身体を傷つけるようなシーンを観客が見ることは稀である。特に、テニス界を代表するようなスター選手同士の試合では起こらないはずなのだが、2013…

テニスは互いが接触しないスポーツで、選手が対戦相手の身体を傷つけるようなシーンを観客が見ることは稀である。特に、テニス界を代表するようなスター選手同士の試合では起こらないはずなのだが、2013年の「ATP1000 モントリオール」でそれは起こった。しかも、テニス界のレジェンド、ラファエル・ナダル(スペイン)とノバク・ジョコビッチ(セルビア)の試合でのことだ。ウェブメディア Essentially Sportsがその時のことを振り返っている。【実際の映像】ナダルのショットがジョコビッチの顔面を直撃

それは準決勝だった。二人は初めの2セットを分け合い、最終セットでも激しいラリーの応酬を繰り広げた。この激闘の最中に、1本の驚きのショットが生まれた。ナダルがジョコビッチの顔面に、強烈なバックハンドを打ち込んでしまったのだ。

ゲームカウントは6-4、3-6、2-2(30-30)で、ナダルのサービスゲームだった。闘争心溢れる二人の選手は、白熱のラリーをベースラインで打ち合った。そしてナダルがバックハンドでスライスのドロップショットを打つと、ジョコビッチはネットへダッシュし、追い付いて返球することができた。

だが次のナダルの返球は、危険なショットになってしまった。バックハンドで打った球が、ジョコビッチの顔面を直撃してしまったのだ。思わぬことに驚き、ナダルはすぐに謝罪した。しかし、トップシードだったジョコビッチは憤慨を隠せなかった。

結局その激闘は、6-4、3-6、7-6(2)でナダルが勝利。敗戦後、ジョコビッチは次のように試合を振り返った。

「僕たち二人が対戦する時はいつも、観客にとって見応えのあるスリリングな試合になる。お互いにものすごく勝ちたいと思ってるから、ハイレベルな戦いになるんだ」

現在までに彼らは55回対戦、ジョコビッチの29勝26敗だ。二人は繰り返しテニスファンに手に汗握る試合の数々を見せてくれている。将来も、こんなライバル関係を見られるチャンスはたくさんはないだろう。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2013年「ATP1000モントリオール」でのナダル(左)とジョコビッチ(右)

(Photo by Matthew Stockman/Getty Images)