中国・上海で開催されている「上海ロレックス・マスターズ」(ATP1000/10月9~16日/賞金総額545万2985ドル/ハードコート)のシングルス準々決勝で、ノバク・ジョコビッチが惨憺たる第1セットを克服し、3-6 7-6(4) 6-…

 中国・上海で開催されている「上海ロレックス・マスターズ」(ATP1000/10月9~16日/賞金総額545万2985ドル/ハードコート)のシングルス準々決勝で、ノバク・ジョコビッチが惨憺たる第1セットを克服し、3-6 7-6(4) 6-3でミーシャ・ズベレフ(ドイツ)を倒してベスト4に進出した。

 序盤のジョコビッチは反応が遅く、グラウンドストロークが不正確で、第1セットだけで18本ものアンフォーストエラーをおかした。反して世界ランキング110位のズベレフのアンフォーストエラーは、わずか4本だけだった。

 ジョコビッチは第2セットで本来のプレーを取り戻し始めたが、ズベレフは、サーブ&ボレーでプレッシャーをかけ続け、ジョコビッチにミスを強いた。

 ジョコビッチはタイブレークに入ってようやく試合をコントロール下に置き、7-4で手際よく奪取。そして第3セットで早めにブレークを果たすと、あとは自分のサービスをキープして手堅く勝利をつかんだ。

 「正直言って、試合の出だしからいい感じでボールを打つことができていなかった」とジョコビッチ。「僕は足が思うように動かなくて、ベースラインでじっと立っているようだった。彼は、僕を望むところに置いたことになるね。彼は戦い続け、集中していた。全力を尽くしていたし、勝利まであと数ポイントというところにいた」。

 6本のダブルフォールトを含め、合計37本という多くのアンフォーストエラーをおかしたにも関わらず、ジョコビッチは落ち着きを保っていた。観客席のコーチを睨んだり、自分に向かって叫んだりする代わりに、彼はミスをしたあとでも微笑み、ある時点では、歌をハミングしさえした。

 ジョコビッチはここ数週間、休息とともに生活によりよいバランスを与え、今季コート上で感じていたプレッシャーを減らそうと努めていると言っていた。準々決勝の試合後、彼が明かしたところによれば、その試みの一環として、試合中に落ちつきを保とうとしているのだという。そう、鼻歌を歌いさえして。

 「あれは試合の終盤だったな」と、彼はハミングについて言った。「かつてあったような、時々癇癪を起こす代わりに----あれは、もう完全に過去のことになったよう祈っているが----僕はハミングによってその怒りをメロディーに転換して、忘れようとしているんだ」。

 今大会で3度優勝経験のあるジョコビッチは、準決勝で第15シードのロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)と対戦する。バウティスタ アグートは、昨年の準優勝者で第9シードのジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)を6-3 6-4で退けて勝ち上がった。

 第2シードのアンディ・マレー(イギリス)は今週ずっと見せてきた鋭さと集中力を維持し、第11シードのダビド・ゴファン(ベルギー)を6-2 6-2で簡単に下した。

 「スコアは6-2 6-2だったとはいえ、厳しいポイントがたくさんある、肉体的に簡単ではない試合だった。第2セットでは気を引き締め、強くあり続けなければならなかった」とマレー。

 マレーは今大会のここまでの3試合でまだブレークを許しておらず、9月半ばからのここ9試合では1セットも落としていない。彼は先週のチャイナ・オープン優勝に続いての2大会連続優勝を目指している。

 準決勝でマレーはジル・シモン(フランス)と対戦する。シモンはこの日最後の準々決勝で、ジャック・ソック(アメリカ)を4-6 6-4 7-6(5)のフルセットで倒した。

 シモンとソックは2時間40分の激戦を通し、ふたり合わせて80本のウィナーを決めた。ソックは試合の序盤で優勢なプレーを見せていたが、コートの濡れた部分で滑って転び、手から出血するケガを負ったあと、第2セットの後半でプレーがぐらつき始めた。彼は続く2ゲームを落として第2セットを失い、シモンにカムバックを許してしまった。(C)AP