「明日へのエールプロジェクト」の一環で、学生とアスリートが授業を行う「オンラインエール授業」が開講。初回の先生として登場したのは、プロボクサーでWBA世界ミドル級王者の村田諒太選手。全国高校ボクシング部のキャプテン(部の代表)約50名が集まり、今のリアルな悩みや質問に答え、熱い想いを語りかけた。

「悔しさがあったから続けられた」目標を前向きにとらえるメッセージ

村田選手の挨拶から番組はスタート。冒頭ボクシングを始めたきっかけなどの話から、今の状況についての話になると、「インターハイが中止になってしまった人の気持ちが少しわかる」と共感。過去インターハイで5冠を取るも「嬉しくはなく悔しい思い出だった」とコメント。同時期に6冠を取っていた粟生[あおう]隆寛選手(元世界二階級制覇チャンピオン)を挙げ、6冠目のチャンスをかけた大会に出場できなかった過去を伝えながら、「6冠を取れなかった悔しさがあったから、目標を違うことにおいてその先のチャレンジができた」と語りかけた。

「村田さんだったら(この状況を踏まえて)どうしていましたか?」という質問には、「みなさんのことを考えると一つの答えにするのは難しいですけど」と前置きしたうえで、「もし僕が高校3年生だったら大学には行くつもりだったので、次の目標に切り替えていたと思う。インターハイに出られなくても、全日本を狙う、というように」とし、前向きなマインドチェンジを促した。

高校3年生からの「逃げたり、挫折したりした時の立ち直り方」との質問には、「結局は僕もものすごく特別でいたかったんだと思う。ボクシングしかすがるものがなかったから、だからこそ続けていこうと思った」と返答。等身大の心情をストレートに伝えた。

「自分の財産になった」高校生に届いたこれからのエール

番組の後半では、高校生のリアルな本音がさらに垣間みえる内容に。

「同じような生活になりがちなこの状況で、気分転換になっていることは?」という問いに対しては、「人と会わない分、普段以上に家族と一緒にいる時間が大事」とコメント。「今ある関係でできることをやってみること。両親に感謝の気持ちを伝えてみるのもいいかもしれない。僕も伝えてみました。母親に『産んでくれてありがとうな』と伝えたら、まんざらでもなさそうだった」と笑みを浮かべた。

「インターハイがなくなって残念。(試合や将来のことなど)これから何を目標にしてやっていけばいいでしょうか」という繊細な質問には、「この質問が来ると困るなと思っていました…」と本音を一言。「その答えは存在しない、というのが本音。でも、物事のよかった悪かったはあとから判断できること。インターハイがなくて悔しい思いをしたから今があると思えるかどうかは、未来の自分にかかっているんだと思う」とやるせない想いを抱える高校生にエールを送った。

「夢の選手である村田さんの話が聞けて、自分も応援されるような選手になりたい」との高校生の感想には、「一つの出来事もどう捉えるかという個人の判断次第。(インターハイが中止になった)今の状況もそうだと思う。これからも自分にとっていい判断をして、成長して先に進んでほしい」と語り、うなずく高校生も見られた。

最後に、村田選手と約50人のキャプテンがファイティングポーズを取り記念撮影をしたところで番組は終了。1時間という短い時間ではありながら、当面の目標がなくなったり、人と会えないことでの不安があったりする、高校生のやるせない気持ちを何とか言葉で伝えたい、そんな村田選手の想いが「自分の財産になった」と静かに語る高校生の一言に詰まっていた。

授業後に、高校生の本音を語り合う「アフターセッション」を実施

村田選手の授業後に、キャプテンたちだけの「アフターセッション」を開催。村田選手の授業でのエールを受けて、今のリアルな想いを語り合った。「村田さんのような選手の話をリアルタイムに聞けて本当に嬉しい」「行動に移していきたい」など、村田選手との番組の感想が出る中で、「名言」や「刺さった言葉」などの話題も聞かれた。

「悔しがっている暇はない」
「簡単なことを毎日やるのが難しい」(輪島功一さんの言葉を引用)
「すべては現在から見た過去」
「物事はどう捉えるかの判断だけ」

など、番組中に村田さんがメッセージを送った数々の言葉に心を動かされたという反応も。

また、同世代の高校生が集まったことで、減量に関する話題や、「自主練をする時一人だとゆるみがちになる」悩みに対して「モチベーションを保つ方法」や「練習の仕方」をアドバイスする場面もあった。「自分と同じだと思い、いいなと思うことが多かった。自分としてもやってみたいと思う」と、前向きになった姿も見られた。

この初回を皮切りに、約30種の競技によって配信される「オンラインエール授業」。
今後も今の状況のやるせなさ、不安感を少しでも前向きにしていける高校生が増えることを切に願う。