現役ボクサーで歴史に名が残るのは? 数多くの名王者が生まれてきたボクシング界。現役選手の中でも、歴史に名を残すような「偉大なボクサー」はいるのだろうか。「どの現役ボクサーが偉大と呼ばれるに相応しいか」と興味深い特集を組んでいるのは、米ボクシ…

現役ボクサーで歴史に名が残るのは?

 数多くの名王者が生まれてきたボクシング界。現役選手の中でも、歴史に名を残すような「偉大なボクサー」はいるのだろうか。「どの現役ボクサーが偉大と呼ばれるに相応しいか」と興味深い特集を組んでいるのは、米ボクシング専門メディア「ボクシングシーン.com」だった。

 記事ではまず、現在のボクシング界で「グレイト(偉大)」という形容詞は多用され過ぎていると指摘。ボクシング界のみならず、他競技を含めても現役選手で将来的に「偉人」と記憶される選手は一握りと分析している。

 元WBC&IBF世界ヘビー級王者ラリー・ホームズの「ファイターを偉大たらしめるものはどんな相手を倒したか」という持論を紹介。シュガーレイ・ロビンソン、ジョー・ルイス、モハメド・アリ、シュガーレイ・レナードらの例を挙げて、偉大なファイターの証明が必ずしも無敗である必要はないと指摘している。

 過去3年間の引退選手で「偉大」と呼ぶに相応しいのは50戦無敗のフロイド・メイウェザー(米国)、元4階級制覇王者ロイ・ジョーンズ(米国)、元4階級制覇王者のミゲール・コット(プエルトリコ)、元3団体世界ヘビー級王者ウラジミール・クリチコ(ウクライナ)の4人と認定している。

 さらに現役選手で「偉大さのスタンダードに明確に合致している」と認定されたのは6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(フィリピン)だ。オスカー・デ・ラ・ホーヤ、コット、メイウェザーら殿堂入り級の強豪相手に13勝4敗1分けという戦績も高く評価されている。

 エロール・スペンス・ジュニアとテレンス・クロフォード(ともに米国)という現在のウェルター級戦線の覇者については対戦相手の役不足を指摘した上で、「まだ偉大さを証明できていない」と注文。3団体統一ライト級王者でPFPの一角のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)については、「偉大さに向けた不可欠な才能、勤勉さ、態度の持ち主」と評価する一方で、わずか15戦というプロキャリアに加え、「最も素晴らしい相手がゲイリー・ラッセル・ジュニア」と対戦相手の物足りなさを感じているようだ。

ガルシア、ゴロフキン、ウシクらとともに井上の名も

 また4階級制覇王者のマイキー・ガルシア(米国)については「とても優秀なファイターだが、彼の戦績の中に名刺代わりの試合が存在しない」。ミドル級世界王者のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)は「試練を迎えるまで偉大に見えた」とそれぞれ指摘している。元クルーザー級4団体統一王者のオレクサンドル・ウシク(ウズベキスタン)はワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)優勝が評価されたが、ヘビー級への転向第1戦は「凡庸」と酷評されている。

 WBAスーパー&IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)の名前も、かつてのPFP1位でWBA世界スーパーフライ級王者ローマン・ゴンザレス(ニカラグア)とともに登場している。

「ナオヤ・イノウエとローマン・“チョコラティート”・ゴンサレスも偉大さの議論の対象となっている。しかし、イノウエは最も注目された試合で、下り坂のノニト・ドネア相手に苦しんだ。そして、ゴンサレスも昇級後、問題を抱えている」と寸評を加えている。

 一方、4階級制覇王者のカネロこと、サウル・アルバレス(メキシコ)については「誰が偉大と呼ばれるべきか、複雑な問題だが、カネロ・アルバレスはこのリストに入るだろう」と分析している。今後のキャリアの中でボクシング史に残るような輝かしい実績を残す選手が一人でも多くあらわれることを期待したい。(THE ANSWER編集部)