サッカーIQラボ〜勝負を決めるワンプレー~Questionウーデゴールは、どこへパスを出したか? 今季、レアル・ソシ…
サッカーIQラボ
〜勝負を決めるワンプレー~
Question
ウーデゴールは、どこへパスを出したか?
今季、レアル・ソシエダはラ・リーガ4位につけ、2012-13シーズン以来のチャンピオンズリーグ出場権獲得に向けてし烈な争いを演じている。その躍進の中心にはひとりの若き天才がいる。ノルウェー代表の21歳、マルティン・ウーデゴールだ。
ウーデゴールは2014年にストレームスゴトセトで15歳118日という若さでプロデビュー。創造性あるプレーでノルウェーの神童と謳われた。16歳になると数多のビッグクラブからオファーが殺到するなか、レアル・マドリードが獲得に成功した。
しかし、鳴り物入りで加入しながらトップチームに定着できず、レンタルでの武者修行に出る。過大評価の烙印を押されたウーデゴールだが、オランダで着実に才能を磨いた。そして今季レアル・ソシエダで公式戦28試合に出場し、7得点8アシストとその力を証明している。

前線には3人の味方が。
第6節アラベス戦は、その創造性を象徴するシーンが生まれる。前半19分、ウーデゴールが中盤で前を向くと、前線には味方が3人いた。このあと、ウーデゴールはどこへパスを出しただろうか?
Answer
オヤルサバルへのスルーパスでアシストした
ウーデゴールには3つのパスコースがあった。きっとどこに出してもパスは成功していただろう。その中でウーデゴールが見ていたのは、ポルトゥへのスルーパスでもなく、ウィリアン・ジョゼへのクサビのパスでもなく、ミケル・オヤルサバルへのスルーパスだった。

ウーデゴールは、オヤルサバルへのスルーパスを選択。ゴールをアシストした
この時、アラベスDFのマルティン・アギレガビリアは違うことを考えていた。ウーデゴールが右サイドから中へボールを運ぶと、アギレガビリアは一瞬首を左右に振り、オヤルサバルの存在に気がついた。
オヤルサバルへワイドに展開するとみたアギレガビリアは、すぐにそこへ対応するため、中央に向けていた体をサイドへ開こうとした。しかし次の瞬間、予想とはまったく違うところへボールが放たれた。ウーデゴールが選択したのは、ロドリゴ・エリーとアギレガビリアの間を抜くスルーパスだったのだ。
ただ、パスが出た瞬間も、アギレガビリアはまだ大丈夫だと思っていたはずだ。ボールが向かったエリアは、GKフェルナンド・パチェコのテリトリーだからである。ところが、ウーデゴールが放ったパスはあまりに絶妙だった。パチェコが飛び出すより早くボールに追いついたオヤルサバルが、ギリギリで先に蹴りこみ、ボールはゴールへ流れていったのである。
少しでもボールが内側のコースなら、あるいは少しでもパススピードが遅ければパチェコがキャッチし、少しでも外側のコースならボールはDFにカットされていたかもしれない。そのどれも寸分の狂いもなく、完璧にオヤルサバルの足元にボールが届けられた、ウーデゴールの神業的アシストだった。