「伊藤美誠&石川佳純 緊急出演!心に残る涙の激闘ウラ側SP」として、5月30日に放送された「卓球ジャパン!」。東京オリンピック代表の石川佳純と伊藤美誠がリモート出演し、それぞれの名勝負を取り上げ、DEEP解説を行った。

石川佳純がベストゲームに選んだのは、「最後の最後まで諦めないことの大切さを教わった」と語る、世界卓球2009女子シングルス2回戦の帖雅娜(香港)戦。今なお卓球ファンの間で語り継がれる、球史に残る大逆転劇だ。


この世界卓球2009で初めてシングルス代表に選ばれた当時16歳、世界ランク99位の石川佳純。1回戦を突破し、続く2回戦で世界ランク10位の帖雅娜と対戦した。

試合はスタートから完全に相手のペースで、ゲームカウント0-3、第4ゲームも3-9と絶体絶命のピンチに陥る。このまま敗退か......と誰もが思ったところから、石川が覚醒! 3-9から驚異の7連続ポイントで逆転して第4ゲームを奪い返すと、第5、第6ゲームも石川が取って、勝負の行方は第7ゲームへ。



白熱の最終ゲームを見ながら、石川本人が当時の心境を語った。

「流れ的には私(が有利)だと思うけど、前半は一点一点取りながらというゲームだったので、精神的にはまだまだ苦しくて、挽回したけど、ここで負けたら意味がないので、1点ずつ粘ろうという気持ちでやっていました」

序盤で3-5とリードを許したものの、チェンジエンドから一気に流れを引き寄せたのは石川だ。

「この時は"ゾーン"に入れていたので、ラリーでも次が読めてきて、体も自然に動いていて、しっかりこの流れに乗っていけば、勝てるんじゃないかな、と絶好調の状態だったと思います」

伝家の宝刀、3球目フォアドライブもバシバシと決まり、さらにリードを広げていく。

「サービスがすごく効いていたんです。最初は全然効かなかったけど、4ゲーム目に相手がちょっと緊張し始めたところから効いてきました」

しかし、あと2点となった9-5から3失点。9-7の場面では、あまくなった相手のレシーブに対する3球目フォアドライブでミスが出てしまい、「今のは、"あぁ、ミスっちゃった!"と思いました(笑)。ストレートかミドルに打っていれば決まっていたのに、ちょっと欲張ってバックに打ってしまった......」と27歳の石川も思わず悔しい表情を見せた。


とはいえ、さすが石川と思わせるのが、次の1本、9-8でのサービスエースだ。

「初めてナックルサービスを出したんです。ずっと横回転を入れていたけど、まっすぐの縦回転にしました」。気持ちが折れかねない失点の直後でも冷静にサービスを変えられるあたり、当時から石川の勝負強さは光っている。番組MCで、この世界卓球に出場していた先輩の平野早矢香も「そこで変えられるのがすごい!」と大絶賛。

最後は帖雅娜のバックドライブがオーバーし、石川が飛び跳ねながらのガッツポーズを披露すると「うわー、ピョンピョン出た!」とMCの武井壮も、若かりし石川のキュートな姿に興奮していた。


世紀の大逆転勝利で会場を沸かせた石川は、続く3、4回戦も勝利し、初出場でベスト8入り。準々決勝では、この大会の覇者、張怡寧(中国/アテネ五輪、北京五輪金メダル)と対戦し、敗れたものの1ゲームを奪う健闘を見せた。

「準々決勝で張怡寧選手と対戦することができたことがすごく嬉しかったです。この舞台で活躍したいと、初めて真剣に思えた、今でもすごく思い出深い大会です!」

また武井からの「当時のプレーを見てどうですか?」と言う質問に対しては「今とはスピード感が違いますね」と石川。「(現在とは)ボールが違って、この時は回転が強いので強いボールをパーンと打つのはなかなか難しかった。今の方が早い段階で強いボールを打つので、変わった部分は大きいです」とプレースタイルの変化も解説。

ちなみに、気になる近況については、卓球の練習もできており、比較的コロナウイルスの影響を受けずに過ごせているとのことなので、ひと安心。ただし、今までやらなかった料理に挑戦したせいなのか「体重が4キロほど増えてしまった......」と苦笑いを見せる場面も。

そして、最後には東京オリンピックへの思いも語った。


「やっぱり厳しい競争なので、その中で自分を鍛えて、レベルアップしていくことが、今までもそうだし、これからも大切だと思うので、来年に向けて、もっともっと練習を積み重ねて、レベルアップして、あの舞台に立ちたいなと改めて思います。手に入れたいものは......金メダルです!」

東京オリンピックでの、手に汗握るドラマティックな"石川劇場"に期待しよう。


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