ロラン・ギャロス拡張計画におけるもっとも最近の躓きの中で、施設の建設が法廷の決断によってまたも停止させられることになった。これらの度重なる遅延が、2024年のパリ五輪招致に影響を与えるかもしれないと懸念されている。  …

 ロラン・ギャロス拡張計画におけるもっとも最近の躓きの中で、施設の建設が法廷の決断によってまたも停止させられることになった。これらの度重なる遅延が、2024年のパリ五輪招致に影響を与えるかもしれないと懸念されている。   フランスの最高裁が計画にGOサインを出した3日後、別の裁判所がこの再開発に新しい停止命令を出した。  フランステニス連盟は、疑わしい状況の中でとられたこの決断に憤慨させられており、すぐに判決を覆すよう法廷に要請するつもりであると話した。  「2024年までには、まだ長い道のりがあるが、今はこの裁判沙汰のごたごたから抜け出すべきときだ」とフランス・スポーツ大臣のパトリック・カネル氏は言った。「これはとても素晴らしいプロジェクトであり、我々がセール・ドートイユを破壊したがっていると言う者たちは、間違っている」。  5年前、フランステニス連盟が全仏オープンの会場を別の場所に移す代わりに、今ある場所にとどめ、リノベーションを行おうと決めて以来、ロラン・ギャロス拡張計画のプランは議論を呼び続けている。  様々な紆余曲折を経て2015年6月、パリ市長はフランステニス連盟に、ロラン・ギャロス会場をセール・ドートイユまで拡張する許可を与えた。多くの環境保護団体が計画の中止を求めて法廷に訴え、パリ行政裁判所が、ことが明確になるまで建設工事を停止するべしとの判決を下したのが2016年3月末。その後、先の10月3日に国務院が工事停止という前述の判決を破棄したため、プロジェクトと建築の仕事はすぐにでも再開されると信じられていた。ところがその3日後、今度は大審裁判所が、またも工事停止の判決を下したというのである。

 ロラン・ギャロス拡張に反対している環境保護団体は、植物園に新しい5000席のコートを新設することは植生にダメージを与えることになりかねない、と今も変わらず主張している。センターコートから数100m離れたところにある植物園の19世紀設立の温室には、多種の熱帯植物や地元の花々などが植えられている。

 このもっとも最近の工事停止の判決は、問題の植物園を設計した建築家ジャン カミーユ・フォルミージュの遺族たちがプロジェクトを中断させるよう要請したあと、10月6日の木曜日に下された。

 スタジアム改良計画の一環としてフランステニス連盟は、2020年までに(開閉式)屋根付きのセンターコートを建設することを予定している。予定の遅れはクレーコートのグランドスラム大会に影響を及ぼすだけでなく、2024年オリンピック招致にもネガティブな影響を与えかねない。

 オリンピック招致委員会は、この会場をオリンピックとパラリンピックの双方で、テニス、バスケット、ラグビー、5人制サッカーのために使う予定にしている。国際オリンピック委員会は来年に、開催都市を選出することになる。

 ロラン・ギャロスは拡張工事をしても四大大会の中ではもっとも会場面積が小さいが、伝統の場所を愛する人々の声を尊重し、移転ではなく同じ場所での改装と多少の拡張を行うことを決めた。新しいメディア・センターもこの会場の中に建設される予定になっている。  ロラン・ギャロスは毎年、8.5ヘクタールの会場に世界中から40万人の観客を迎えつつ、1928年から全仏オープンを開催し続けてきた。(C)AP