セ・リーグのCSファイナルステージ初戦は、リーグ覇者の広島がシーズン3位のDeNAに5-0で快勝した。■エース左腕がCSファイナル初戦で圧巻の完封、勝因は「ジョンソン以外にない」 セ・リーグのCSファイナルステージ初戦は、リーグ覇者の広島が…

セ・リーグのCSファイナルステージ初戦は、リーグ覇者の広島がシーズン3位のDeNAに5-0で快勝した。

■エース左腕がCSファイナル初戦で圧巻の完封、勝因は「ジョンソン以外にない」

 セ・リーグのCSファイナルステージ初戦は、リーグ覇者の広島がシーズン3位のDeNAに5-0で快勝した。

 ファーストステージでシーズン2位の巨人を破り、勢いに乗っていたDeNAだったが、広島の先発ジョンソンが9回3安打無失点6奪三振3四球と圧巻の投球。DeNAに二塁を踏ませることなく、付け入るスキを与えなかった。打線も1番・田中が3安打、3番・丸が先制打を放つなど、上位打線が機能して効果的に得点を重ねた。

 最大の勝因は、やはりジョンソンだろう。ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーした野球解説者の野口寿浩氏は「ジョンソン以外には(ポイントは)ないですね。あのピッチングをされたら打てない。素晴らしかった」と、絶対的エースの投球を手放しで絶賛した。

 ジョンソンの状態の良さは、立ち上がりから明らかだったという。初回、左腕は珍しく2つの四球を出したが、梶谷を併殺に仕留めるなど無失点で切り抜けた。この2つの四球に、好調さが凝縮されていたと野口氏は指摘する。どういうことか。

「初回に際どいコースをボールと判定されて、2つ四球を出しました。それでも集中力を切らすことなく冷静に投げ続けていた。2回の投球を見た時に、DeNAが打てるとしたら、ラッキーホームランくらしかないだろうと思いました。あの2つの四球で崩れず、2回以降は四球を出さなかったのは、状態が良かったという証拠。ボールが狙っていたところに行っていたという証拠ですよ。スピードもいつも以上で、150キロも出ていた。本当にいいピッチャーです」

■打線は初回の田中のヒットで「勇気づけられた」、DeNAは「良くない負け方」

 2つの四球は審判との相性の問題だった。狙ったところに投げ込んだ結果、ボールと判定された。それならば、この日の審判がストライクと判定するコースに投げるよう、微修正すればいい。そして、2回以降はその投球を見事に実践した。それだけ絶妙のコントロールがあり、150キロの速球を投げることの出来る左腕を打ち崩すのは、至難の業だ。

 また、打線については田中の初回のヒットが大きかったという。リードオフマンは初回にDeNA先発モスコーソから二塁打を放った。得点にはつながらなかったものの、ファイナルステージからCSに登場した広島の選手たちを「勇気づける一打」になったというのだ。

「あれで『いつも通りにいける』『シーズン通りに野球を出来る』と選手みんなが思ったと思います。チームを勇気づける一打。そんな感じに見えました。広島は(ファイナルステージで)待ち構えている立場をこれまで経験していませんが、あれで『よし行ける。普段通りに今年の強かった広島の野球ができる』と感じたはずです」

 広島は2回に丸、新井の連続タイムリーで2点を奪うと、7回には田中と菊池の連続タイムリーで2点を追加。8回には代打エルドレッドのタイムリーも飛び出し、試合を決めた。レギュラーシーズンから活躍を続けてきた選手の活躍で快勝した。

 一方、DeNAは先発モスコーソが6回まで2失点と力投したものの、続投した7回に2点を失い、苦しくなった。野口氏は「先発ピッチャーの選択は仕方ない。ローテの上から考えて1、2、3番目はファーストステージで投げていたから使えなかったわけですし。ただ、6回に打席に立たせたのは少し疑問ではありました。継投で何とかしていくかと思いましたけど、それを選ばずにああいう形(7回に2失点)になったので、負け方としてはあまり良くなかったかなと思います」と指摘する。

 また、巨人とのファーストステージで野口氏が「少し調子が狂ってしまっている」と不安視していた主砲・筒香は、この試合でも4打数無安打。左手薬指骨折で強行出場した梶谷は2安打と気を吐いたが、患部の状態は気になるところだ。

■DeNAが巻き返すために必要なのは打線の奮起

「筒香は、ジョンソンが素晴らしかったということを差し引いても、状態は良くないですね。不安を感じさせる打席の内容でした。(右飛に倒れた第4打席の)最後のカーブは抜けてきているボールでしたし、レギュラーシーズン中だったら捉えていたと思います。

 梶谷もかなり痛そうでした。ボールが当たる瞬間は、バットから手を離してしまっていた。ただ、本人もここで自分がいないことの大きさ、どれだけチームにマイナスかをわかっているでしょうから、強行出場しているのだと思いますけど…」

 中心選手2人の出来はDeNAの今後を左右するだけに、気になるところだ。

 初戦の敗戦は「5-0という点差以上に一方的に見えた」と野口氏は言う。では、DeNAが巻き返すことは出来ないのか。逆襲へのカギは、やはり打線になるという。

「空気を変えるには、打線が爆発するしかない。広島以上に打つしかないでしょうね。明日以降は、広島のどの先発投手が出てきても、今日のジョンソン以上のピッチングは出来ません。ジョンソン以上のピッチャーは出てこない。そう切り替えていくしかない。どうやって雰囲気を変えられるか。まずは何とか野村、黒田を叩けなければいけない。そうなれば、まだ分かりません。その先はローテーションが逆になります。DeNAはエース級が出てきて、広島のピッチャーは少し落ちていくという形になる。そう前向きに考える必要があります」

 1勝のアドバンテージを入れて、広島の2勝0敗となったが、まだ初戦が終わったばかり。DeNAは巻き返すことができるだろうか。