クライマックスシリーズ・ファーストステージで敗退した巨人。クリーンアップ候補として覚醒が期待された26歳の大田泰示外野手はポストシーズンでの出場はなく、プロ8年目のシーズンを終えた。■今年躍進の広島&DeNAの共通点は… クライマックスシリ…

クライマックスシリーズ・ファーストステージで敗退した巨人。クリーンアップ候補として覚醒が期待された26歳の大田泰示外野手はポストシーズンでの出場はなく、プロ8年目のシーズンを終えた。

■今年躍進の広島&DeNAの共通点は…

 クライマックスシリーズ・ファーストステージで敗退した巨人。クリーンアップ候補として覚醒が期待された26歳の大田泰示外野手はポストシーズンでの出場はなく、プロ8年目のシーズンを終えた。

 今季はプロ入り後最多62試合出場し、打率.202、4本塁打、13打点。本塁打、打点はキャリアハイだったが、寂しい数字だけが残った。2年連続でリーグ優勝を逃した巨人。打線は最後まで坂本、阿部に頼る状態が続いており、5年前から変わらない風景だった。

 一方、今年躍進した広島とDeNAの共通点として20代の野手レギュラーが多かったことが挙げられる。

 例えば広島。同学年の3人がチームを引っ張っていた。26歳の5年目・菊池涼介内野手がリーグ最多の181本とヒットを量産。8月7日の巨人戦では9回2死から同点本塁打を放ち、チームの逆転勝利に貢献しただけなく、巨人に引導を渡した。27歳の3年目、田中広輔内野手は開幕から全試合出場。菊池とともに安定した二遊間を誇った。同じく27歳の9年目・丸佳浩外野手は今季自己最多の20本塁打、90打点。昨年の不振から打撃フォームを改造するなど猛練習で復活。彼らの存在があったからこそ22歳の新星・鈴木誠也、ベテラン新井貴浩も力を発揮できたのだろう。

 また、DeNAの筆頭は今季本塁打・打点の2冠のタイトルを獲得した筒香嘉智外野手で、1991年生まれの24歳。1年目ながら124試合に出場した戸柱恭孝捕手も1990年生まれの26歳で、CS進出に大きく貢献した。梶谷隆幸外野手、宮崎敏郎内野手も今年28歳の1988年生まれ。打率3割近くまでアベレージを上げたショートの倉本寿彦内野手も1991年1月生まれと20代中盤の選手である。

■大田は高校時代のライバルたちが躍進

 筒香、倉本に関しては神奈川の名門・東海大相模出身の巨人・大田にとってはライバル的な存在だった。2人とも横浜高出身で、共に神奈川の高校野球を盛り上げたスラッガー。倉本は大田と同学年、筒香は1学年下にあたる。筒香がルーキーだった2010年のイースタン・リーグで大田は打撃タイトルを競った。本塁打は筒香26本、大田21本、打点は筒香88打点、大田70打点。新人大砲に「2軍タイトル」を許したが、大田も本塁打と打点でリーグ2位の好成績を収め、将来の4番候補として期待を抱かせたほど。

 あれから6年。筒香は44本塁打、110打点でセ・リーグ打撃2冠王。侍ジャパンの4番候補に成長した。倉本も成長著しい。一方の大田はポストシーズンへの出場がかなわず、「みやざきフェニックス・リーグ 2016」に参戦。チームに長野久義、亀井善行ら実績十分の外野手がいるとはいえ、ここまでレギュラーとして活躍したシーズンはない。今では智弁学園で高校通算73本塁打を放った2年目の岡本和真内野手に期待が集まるようになってきている。

 大田だけではなく、巨人は1990年生まれの橋本到外野手、立岡宗一郎外野手。1989年生まれの小林誠司捕手、中井大介内野手、藤村大介内野手らがエースの菅野智之(89年生まれ)と一緒に中心になっていかなくてはならない。巨人の20代レギュラーは坂本と小林しかいない。その小林も安泰とはいえない。常勝軍団復活のためには、潜在能力が高い選手たちの覚醒が待たれる。