プロテニスツアーの運営者たちはこの新型コロナウイルスのパンデミックの中で、なんとかテニスを再開する方法はないか探っている。その方法の一つが、無観客試合の開催だ。それについて世界ランキング1位の…

プロテニスツアーの運営者たちはこの新型コロナウイルスのパンデミックの中で、なんとかテニスを再開する方法はないか探っている。その方法の一つが、無観客試合の開催だ。それについて世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)の意見をウェブメディアEssentially Sportsが報じた。【動画】アメリカで先日行われた無観客試合の様子

ジョコビッチは、競技としてのテニスを空っぽのスタンドの前でプレーすることは考え難いと述べた。だがシーズンを再開するには、それが唯一の方法かもしれないことも認めた。

「空っぽのスタンドの前でプレーすることは、正直言って考え難い。でもそれがテニスの現実となるかもしれない。ツアーを再開したければ受け入れるしかないし、少なくとも試合ができるなら、いろんな制限下でプレーするしかない」とジョコビッチはテニス・レジェンドのグスタボ・クエルテン(ブラジル)に語った。

「理想的かと言えば、もちろん違う。僕自身のことを言えば、自分だけのためにテニスをしているんじゃない。自分と、家族のためだ。テニスは多くの喜びを与えてくれるし、テニスが大好きだ。もちろん練習もする。練習の時には、いつも人に見てもらいたいとは思わないからね」

だがテニスは、他のすべてのプロスポーツと同じように、そのスポーツを愛する人々、テニスを愛する人々とアスリートを結びつける、とジョコビッチは説明した。つながること、連帯感。それがスポーツを見る人々に喜びを与える。彼は選手と観客が互いに与え合う相乗効果は魔法のようだ、と話した。

32歳のジョコビッチは、それがスポーツを美しいものにする、と述べた。それが彼のモチベーションになり、より責任を感じ、より集中させる。けれども今は、スポーツは無観客の方向へ進んでいるようだ。

「テニスを他のチームスポーツなどと比較した場合の今の状況での利点は、例えば国内での大会を開催したり、地域レベル、あるいはある大陸で国の間の人々の行き来が可能になれば、大陸レベルでの大会を開催したりすることが可能な点だ」とジョコビッチは続けた。

「選手たちは個人で参加するから、そういった大会が可能になる。コンタクトスポーツじゃないから、ソーシャルディスタンスも守れるし」

新型コロナウイルスの感染拡大により、プロテニスツアーは3月の初めに突如中断され、再開のめどは立たないままだ。だが世界各地でエキシビション大会が企画され、選手たちは無観客でプレーしている。公式大会も、制限された条件の中でまもなく再開されるかもしれない。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2020年「全豪オープン」でのジョコビッチ

(Photo by Matt King/Getty Images)