新型コロナウイルスの影響を受け、ラ・リーガが3月23日に無期限延期を発表し、すでに2カ月以上が経過した。その間、すべての選手たちが自宅での個人トレーニングを余儀なくされたが、6月半ばの再開を目指して各チームが再始動している。補強ポイントが…
新型コロナウイルスの影響を受け、ラ・リーガが3月23日に無期限延期を発表し、すでに2カ月以上が経過した。その間、すべての選手たちが自宅での個人トレーニングを余儀なくされたが、6月半ばの再開を目指して各チームが再始動している。
補強ポイントが浮き彫りになっているレアル・マドリード
そのような状況下でも移籍のニュースが尽きることはなく、レアル・マドリードについても様々な噂が飛び交っている。
レアルは現在、トップチーム25選手、Bチームのカスティージャ1選手、レンタル14選手の合計40選手を抱えている。財政面で新型コロナウイルスの影響を受ける今夏は、来季に向けて既存のメンバーを選定しつつ、バランスのいい補強を行なわなければいけない。
来季のレアルに最も必要とされるのは、得点を計算できるFWの獲得だろう。2018年のクリスティアーノ・ロナウド退団後、ゴール欠乏症に陥るチームは、昨夏は約3億ユーロ(約360億円)の大幅補強を敢行した。しかし、エデン・アザールはシーズンを通してケガに苦しみ、ルカ・ヨヴィッチは期待に全く応えられず、ロドリゴは勢いが止まっている。
今季の公式戦の得点数は、攻撃陣ではカリム・ベンゼマが19得点で、次点はDFのセルヒオ・ラモスが7得点だから、既存の選手たちもほとんど貢献できていない。
新たなFW獲得が必須だが、交渉は思うようにいっていない。クラブはパリ・サンジェルマンのキリアン・エムバペとドルトムントのアーリング・ハーランドを候補に掲げているが、両者が来季サンティアゴ・ベルナベウでプレーするには大きな障害がある。
ジネディーヌ・ジダン監督が強く求めるエムバペ獲得には、1億8000万ユーロ(約216億円)というサッカー界トップの莫大な移籍金が必要となる。そのためクラブは財政面を考慮し、狙いを来年にずらしたと報じられている。しかしパリ・サンジェルマンのスポーツディレクター・レオナルドが、契約切れとなる22年夏までエムバペを放出しない意向との話が出ているため、来年でも獲得は難しいと推測される。
今季の公式戦34試合41得点と、異常に高い得点力を誇るハーランドに関しては、ドルトムントが1億2000万ユーロ(約144億円)を超える高額の移籍金を要求すると見られている。契約は24年6月30日までだが、代理人のミノ・ライオラとドルトムントの間で、22年夏までは簡単に移籍させないという合意があるため、エムバペ同様に交渉は容易にいかないだろう。また獲得のライバルとして、パリ・サンジェルマンの名も出ている。
そのほかに、クラブはセンターバック(CB)とMFの補強を考えている。CBについて、ジダンはセルヒオ・ラモスとラファエル・ヴァランの欠場をカバーできる選手を求めている。それは、今季入団したエデル・ミリトンが、ジダンが希望した選手ではないうえに思うようなパフォーマンスを見せられておらず、DFのユーティリティプレーヤーのナチョ・フェルナンデスは、30歳とすでにベテランの域だからだ。
獲得候補として名が挙がるのは、ライプツィヒで急成長を見せるU-21フランス代表CBダヨ・ウパメカノ。契約解除金は6000万ユーロ(約72億円)で、バイエルンがすでに選手個人と契約合意したとの報道も出ているため、様子を見なければならない。
また、ジダンが中盤で求めるのは、メンバーの中で唯一代わりのいないカゼミーロのバックアップで、運動量豊富な選手だ。昨夏は、ジダンがマンチェスター・ユナイテッドのポール・ポグバ獲得に固執したが、高額な移籍金がネックとなり実現できなかった。それから1年近く経過した今、新たな最有力候補として、将来性豊かで、契約解除金が5000万ユーロ(約60億円)に設定されている、レンヌのU-21フランス代表MFエドゥアルド・カマヴィンガに狙いを定めている。
そのほか、ジダンが以前からお気に入りの、チェルシーのエンゴロ・カンテ、リールのブバカリ・スマレ、モナコのオーレリアン・チュアメニの名も出ている。
一方、放出候補として、FWのガレス・ベイル、ルーカス・バスケス、マリアーノ・ディアス、MFのハメス・ロドリゲス、ブラヒム・ディアス、DFアルバロ・オドリオソラ(バイエルンにレンタル移籍中)などの名前が現在挙がっているほか、ヨヴィッチにはレンタルの話が出ている。
ベイルは1450万ユーロ(約17億4000万円)の高額な年俸と、家族を含めてマドリードの生活を気に入っていることが移籍の障害となっている。最近ではデビッド・ベッカムが共同オーナーを務める、アメリカのインテル・マイアミ行きが噂されたが、代理人が完全否定した。ハメス・ロドリゲスについては、様々なクラブが興味を示すなか、アトレティコ・マドリード行きが濃厚と報じられている。
今冬、3000万ユーロ(約36億円)の移籍金で入団するも、EU圏外枠の問題でカスティージャに所属した18歳のU-23ブラジル代表MFレイニエル・ジェズス・カルヴァーリョは、来季プリメーラ(1部)のクラブへのレンタル移籍ですでに合意しているとのこと。しかし、具体的なクラブ名は明らかになっていない。
さらにジダンは、レンタル14選手の将来を決める仕事に取り組んでいるが、現時点で来季のトップチーム・オーディションに合格したと言われるのは、MFマルティン・ウーデゴール(レアル・ソシエダ)とDFアクラフ・ハキミ(ドルトムント)のみ。またレンタル期間切れでパリ・サンジェルマンに戻るGKアルフォンス・アレオラの代わりとして、アンドリー・ルニン(オビエド)に復帰の可能性がある。
セビージャですばらしい活躍を見せるDFセルヒオ・レギロンにも、トップチームに戻るチャンスがあるが、本人は左サイドバックにマルセロとフェルランド・メンディがいるため、来季もセビージャでのプレー継続を望んでいるという。
マジョルカでプレーする久保建英の去就については、ウーデゴールが抜けた後釜としてレアル・ソシエダ、もしくはベティスへのレンタルが濃厚というほか、パリ・サンジェルマン移籍との報道が出ているが、その信ぴょう性は疑わしい。
なぜならレアル寄りのスポーツ紙である『マルカ』や『アス』は、FWヴィニシウス、ミリトン、ロドリゴのブラジル人選手で占められるEU圏外枠の問題により、来季もレンタル移籍の可能性が高いと伝えるだけで、具体的なチーム名を出していないからだ。
マジョルカの地元メディアからは、現在18位と降格圏内で苦しむマジョルカがプリメーラに残留した場合、もう1年マジョルカ島で過ごすのがベストという意見が出ている。理由は、久保がチームにうまくフィットしてきた点や、サポーターのハートをしっかりと掴んでいることなどだ。
実際、久保はリーガ中断直前、地元メディアにアンテ・ブディミール、クチョ・エルナンデスとともに頭文字を取って「BCK」と名付けられ、「攻撃のトリデンテ(三つ又の矛)」としてマジョルカの攻撃をリードする選手のひとりとして高く評価されている。
レアルの獲得候補に挙がる選手のうち、ハーランドを除く全員がジダンと同じフランス人だ。そのため来季は現在所属するベンゼマ、ヴァラン、メンディ、アザール、GKティボー・クルトワを含め、フランス語圏選手の勢力がさらに強まることになりそうだ。