連載「強い子どもを育てる ミライ・アスリートの食講座」第7回 栄養・食事の観点からジュニア世代の成長について優しく指南す…
連載「強い子どもを育てる ミライ・アスリートの食講座」第7回
栄養・食事の観点からジュニア世代の成長について優しく指南する、「THE ANSWER」の保護者向け連載「強い子どもを育てる ミライ・アスリートの食講座」。サッカーJリーグ・アルビレックス新潟で栄養アドバイザーを務めている公認スポーツ栄養士・長谷川直子氏がわかりやすくアドバイスする。第7回は「ジュニア選手の食事と運動のバランス」について。
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小・中学生の選手や保護者向けセミナーでは「何をどれだけ食べればよいですか?」といった質問や、貧血や骨折対策に良い食事の相談をよく受けます。
成長期の子どもは、生命活動の維持と発育・発達に必要なエネルギー、そして栄養素を摂る必要があります。スポーツをする子どもはそのうえで、運動で消費する分のエネルギーや栄養素も必要。なぜならエネルギーや栄養素が不足すると、貧血や骨折などのケガを引き起こしやすくなるからです。
まずお伝えしたいのは、ジュニア(小・中学生)の選手は、必要な栄養素は食事で摂るのが基本、ということ。保護者の方から「どのサプリメントがオススメですか」「プロテインは必要ですか」といった質問を受けることも多いのですが、できれば高校生まではサプリメントに頼らず、どうやったら自分に必要なエネルギーや栄養素を食事で摂れるかを学び、経験してほしいと思います。
食事は生涯に渡り関わることです。特に小・中学生や高校生の選手にとっては、「勝つため」「強くなるため」だけでなく、バランスのよい食事とは何なのかを知る、調理技術や家族や友だちとの楽しい食事を経験するなど、正しい食の知識や経験を育てることが大切です。
近年の小・中・高校生選手は「必要量を十分に食べていない」が問題に
さて、冒頭で触れたように、成長期の選手は、生命維持、発育・発達、そして運動で消費するエネルギー、栄養素を食事で摂る必要があります。ところが近年の小・中・高校生選手は、「必要量を十分に食べていない」ことが問題に。特に、練習量が多すぎることで食欲が落ちてしまうケースが多いという報告があります。ですから「毎日しっかり食べているかどうか」に気を配ることが、最も重要です。
今では、栄養セミナーを定期的に実施しているチームもありますし、小・中学生でも栄養に関する本を率先して読み、知識を得ている選手もいます。とはいえ、実際に普段の食事に知識をいかせるかというと、難しいと思います。
特に小・中学生は、体が未発達な選手も多く、体格や体力にも個人差が大きいため、選手に合った食事の量も人により異なります。そのため、選手個々に合った運動量、食事量を、保護者、指導者、そして選手自身が一緒に考えていくことも必要です。
例えば、親子で一緒にスーパーやコンビニへ行き、補食の購入の練習をしてみる。指導者の方は遠征時や合宿先での食事、試合時などでお弁当を食べるとき、練習後の軽食の様子を観察し、モリモリ(しっかり)食べられているかに目を配るなど。クラブによっては、ご飯を用意して、みんなで自分の普段食べているご飯の量を計ってみたという例もあります。
食事内容や量について親子で相談する、指導者の方と食事ノートを共有するのもよいですね。子どもたちが適切な食事量を食べられる力を身につけられるよう、日々、サポートしていきましょう。それが、健やかな成長と運動や勉強で力を発揮できることにもつながります。(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)
長島 恭子
編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビューや健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌などで編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、サンマーク出版)、『カチコチ体が10秒でみるみるやわらかくなるストレッチ』(永井峻著、高橋書店)など。