ブンデスリーガ第27節、再開2週目が終了した。2部のドレスデンの選手に感染者が出たため、先週のハノーファー戦に続き、フュルト戦も延期されたが、それ以外のカードは予定どおり行なわれた。2戦連続で先発を外れ、去就が注目されている大迫勇也(ブレ…

 ブンデスリーガ第27節、再開2週目が終了した。2部のドレスデンの選手に感染者が出たため、先週のハノーファー戦に続き、フュルト戦も延期されたが、それ以外のカードは予定どおり行なわれた。



2戦連続で先発を外れ、去就が注目されている大迫勇也(ブレーメン)

 前節のホッフェンハイム戦で、ハグやハイタッチで感情表現をしての反感と批判を呼んだヘルタ・ベルリンは、ウニオン・ベルリンとのダービーで4-0と大勝。選手たちは、今回は距離を取りながら喜んでいた。

 また、ボルシアMGはホームにレバークーゼンを迎え、試合は1-3で敗れたが、観客席を観客の写真で埋め尽くしたことが話題になった。これはファンたちが考え出したプロジェクトで、年間シート保持者なら誰でも、いつも座っている席にその写真を置ける。アウェーチームのサポーターも、19ユーロで写真を席に置くことができた。ただし、無観客試合に反対する「幽霊試合(=無観客試合)反対!」「ファンのいないサッカーなんて意味がない」などという横断幕も客席に掲げられていたのは、サポーターたちの意地もあったのだろう。

 日本人選手に目をやると、1部の長谷部誠、鎌田大地(ともにフランクフルト)、大迫勇也(ブレーメン)の3選手ともベンチスタートとなった。このうち鎌田はバイエルン戦の71分から、大迫はフライブルク戦の64分から出場し、ともに無得点。長谷部の出場はなかった。長谷部に関しては23日、1年間の契約延長と、引退後にクラブのアンバサダーとして残ることが発表されている。

 一方、2部ではシュツットガルトの遠藤航がフル出場。1アシストしたものの、キールに2-3で敗れている。ハノーファーは4-2でオスナブリュックを下し、原口元気は1ゴール1アシストの活躍を見せた。ザンクトパウリの宮市亮はダルムシュタット戦にフル出場しているが、チームは0?4で敗れている。

 ブレーメンはアウェーでフライブルクに0-1で競り勝った。ブレーメンにとっては2020年に入ってこれが2度目の勝利。勝ち点を21としたが、自動降格圏の17位から浮上することはできず、最下位のパーダーボルンとの勝ち点差は3。ひとつ上のフォルトゥナ・デュッセルドルフは勝ち点24で、15位のマインツは27と。厳しい状況が続く。

 大迫勇也は再開後の2試合、ともにベンチスタートとなった。ブレーメンは前線3枚のうち、レオナルド・ビッテンコート、ミロト・ラシカはほぼ固定で出場しており、残る1枚を大迫、ジョシュ・サージェント、ダヴィー・ゼルケの3人で争っている。ここまで大迫4得点、サージェント3得点、ゼルケ1得点と、FWとしてはいずれも物足りない。第27節を終えた時点でフォルトゥナと並んで18チーム中最少タイの29得点しか挙げられていない要因はここにあると言われても仕方がない。

 2018年7月にブレーメンに加入した大迫は、2022年までの契約を残しているが、今季序盤から放出の噂が流れ始めた。地元紙『ヴェザークーリア』などによると、大迫はフロリアン・コーフェルト監督のお気に入りの選手だが、本人がプレミアリーグを志向しているという。また、大迫は東京五輪に出場することを望んでおり、もし出場した場合は2020-21シーズンの序盤はクラブに合流できないことから、チーム作りにはマイナスになるとも報じられていた。

 ただ、大迫にプレミアリーグへの志向があるのは確かだが、現実的なことを考えるタイプでもある。「何がなんでもイングランドへ」と固執することはないと見られる。そして東京五輪の延期により、来季への影響はなくなった。それでも放出や退団の噂が絶えないのは、実はブレーメンの財政難によるところが大きい。

 クラブが2部に落ちた場合、市場価値の高い主力から放出するのは当然だが、2部落ち以前に、クラブの経営自体が危機に立たされている。すでにリーグ戦中断の影響で3000万~5000万ユーロ(約36~60億円)の損害が発生していると言われている。雑誌『シュピーゲル』によれば、クラブは4月、ドイツ復興金融公庫への融資の申し込みが可能となる申請をしたと明らかにしている。大迫、ラシカらが移籍報道に名を連ねるのは、そんなクラブの台所事情の苦しさの表れだ。

 逆風はそれだけではない。ブレーメンは試合時の警備費用の負担を巡ってブレーメン市との関係が悪化。さらに試合開催に関する権限を持つブレーメン州の内務大臣ウルリッヒ・モーラー氏の存在も、さながら「内なる敵」となっている。

 再開初戦となったレバークーゼン戦の試合前、『ビルト』紙は「危険なのは(レバークーゼンの監督)ピーター・ボスか、それともモーラーか?」と茶化した記事を掲載していた。5月の練習再開では、モーラー氏の許可がおりず、他の多くのクラブに1日遅れることとなった。今回のブンデス再開にあたっても、無観客のスタジアム周辺にファンが集まったら試合は中止にすると宣言しており、そもそも再開自体についてもけっして好意的に見ているわけではないようだ。

 大迫の去就とともに、ブレーメンの今後が気になる終盤戦となっている。