12日からセ・パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージが始まる。パ・リーグは、レギュラーシーズン2位のソフトバンクがファーストステージで3位ロッテに2連勝。日本ハムとの決戦に挑む。■最大11.5ゲーム差がひっくり返った両…

12日からセ・パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージが始まる。パ・リーグは、レギュラーシーズン2位のソフトバンクがファーストステージで3位ロッテに2連勝。日本ハムとの決戦に挑む。

■最大11.5ゲーム差がひっくり返った両チームの対戦「日ハムは広島以上に盤石」!?

 12日からセ・パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージが始まる。パ・リーグは、レギュラーシーズン2位のソフトバンクがファーストステージで3位ロッテに2連勝。日本ハムとの決戦に挑む。

 レギュラーシーズンでは、日本ハムが最大11.5ゲーム差をひっくり返し、球史に残る大逆転リーグ優勝を飾った。一方、ソフトバンクは怪我人が続出したことも響き、リーグ3連覇を逃した。両チームが激突するCSファイナルステージでは、何がポイントとなるのか。

 ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーした野球解説者の野口寿浩氏は「日本ハムが待ち構えている形だが、もしかしたら広島以上に盤石かもしれない」と、セ・リーグと同様にペナントレース覇者が有利だと予想。では、ソフトバンクが勝ち抜くためには、ポイントはどこになるのか。

 CSファイナルステージで最も重要と言われるのは初戦。6回戦制で4勝を挙げたほうが日本シリーズ進出となるが、日本ハムには1勝のアドバンテージが与えられているだけに、ソフトバンクは絶対に落とせない。

 しかし、相手の先発は球界No.1右腕の大谷。昨季は4試合で防御率6.58と打ち込んだソフトバンク打線だったが、今季は4試合で防御率1.26と抑え込まれている。野口氏は「大谷は去年の課題をしっかり潰してきた。本当にすごいですよ」と感心する。そして、「ソフトバンクは(負傷の)和田が本当に間に合わないとしたら、痛すぎます」とした上で、初戦の先発・武田がキーマンになると指摘した。

■日ハム大谷を第1戦の先発に据えた意味とは

「ソフトバンクは平均したら大谷から1試合で1点しか取れないということなので、武田はデータ上はゼロに抑えないと勝てない。投げる方のキーマンは武田でしょうね。日本ハムにアドバンテージが1つある分、初戦は本当に重要になってきます。もし逆であれば、初戦で大谷にやられても『並んだ』というだけで2戦目からが重要になりますけど、今回は勝たないといけませんから、厳しいですよね。

 大谷は1試合目で投げ終わったら、2試合目からDHに入るでしょう。2試合目からDHで使いたいというのも、1試合目で先発させる理由だと思います。あとは、ソフトバンクには調子の悪い選手もいるとはいえ、ロッテに2連勝してきた勢いは間違いなくあるはずなので、それを受け止められて横綱相撲をされてしまうと、3連敗で終了というのもあると思います。栗山監督はそれも狙って初戦に大谷を持ってきたという気もします。いろんな意味で、初戦は大谷がベストという感じだったのでしょう」

 ソフトバンクにとって、まずは大谷攻略が最大のテーマとなる。そして、2戦目以降も先発投手陣が重要な役割を担うことになりそうだ。野口氏は「(ファーストステージで先発した)千賀、バンデンハークが出てくるまでの先発ピッチャーも鍵になりますよね」と言及。さらに、「中田、摂津といった経験者は、シーズンの成績がそのままCSに当てはまる感じはしません。こういうところでポッと出てきて、ピシャっと抑えて涼しい顔をして帰っていく、ということがあり得ますから。中田は2戦目あたりにいくとして、工藤監督のことだから摂津も先発の1人に選ぶでしょうね」と予想した。

 ただ、日本ハムは大谷の後にも先発転向でブレークした増井、昨季新人王の有原、そしてメンドーサ、高梨らが控えている。

■ソフトバンクは好調の今宮の打順が鍵に?

「セ・リーグもパ・リーグもCSファイナルで共通しているのは、エースを使ってしまった後だから、初戦が3番手のピッチャーになるということ。ただ、DeNAと違って2連勝で突破したソフトバンクは先発の枚数がいる中で1人温存できた。最低でも最初の2試合で1勝して1勝2敗の流れを作れば、流れが逆になっていく。日本ハムは4番手、5番手のところで、ソフトバンクはエース、2番手と出していくことになる。その形にどうもっていけるか。最初の2試合を1勝1敗でいければ、可能性はあります」

 一方、打線はどうか。ペナントレース後半は右手薬指骨折で離脱していた主砲の柳田は何とかCSに間に合わせたものの、2試合で8打数無安打3三振と当たりが出ていない。一方で、4番の内川は初戦でソロ本塁打を含む2打点を挙げるなど、8打数4安打と好調。さらに、8番に入っていた今宮が2試合連続2打点と存在感を見せている。

「柳田がどのくらい打てるか。一人だけ見切り発車のような状態でCSに入ってきたので、ファーストステージは手探りの部分はあったと思います。内川は放っておいても何本かヒットを打つでしょうから、そこで打線がつながるかどうかが重要ですね。内川の前にランナーを出せるかどうか。

 あとは、こういう短期決戦にはシリーズ男、ラッキーボーイが必要不可欠なので、今宮の存在はいいですよね。ただ、ファイナルステージでの打順は難しいところです。本当に内川、今宮しか(打てない)という雰囲気になっているのであれば、今宮を2番に入れるなどして2人を近づけたほうがいい気がします。そうすれば、4回の打順の流れの中で1回か2回はそのコンビで点が取れるようにはなる。でも、難しいのは打順を変えたら打てなくなるということもあるでしょうし、今のいい流れが変わってしまう可能性もありますからね」

 工藤監督がファーストステージの結果を踏まえてどのように打順を組んでくるかも、ポイントの1つになる。

 野口氏は「やはり日本ハムが余裕をもって待っているというのが大きい。特に、こっちは経験豊富なチーム。セ・リーグの広島は1位で待ち構えているのは初めてですから、それは両リーグで違う部分ですよね」と、日本ハムが「盤石」との答えを出した。そんな中で、ソフトバンクはキーマンが存在感を見せ、“番狂わせ”を起こすことができるのか。今季もレギュラーシーズンでは熱戦の多かった両チームだけに、好ゲームが期待できそうだ。