日本SailGPチームに参加する渡部雄貴選手が、時速50ノットを越える怪物ボート「F50」を紹介しています。特に今シーズンから採用されることになった強風用、微風用ウイングセールの詳細やボートの組み立て方などは興味深く、時間のかかる力作業なのが分かります。SailGPの魅力が増すレポート「SailGP ピットからの景色」は、第6回まで掲載されているのでぜひお読みください。バルクヘッドマガジンでは一部を抜粋して紹介します。(BHM編集部)

渡部雄貴(1995年生まれ)。2019年まで東京五輪を目指しナクラ17級で活動。昨秋から自身のセーリングスキルをあげるべく日本SailGPチームに参加しサポートを務める。レポートは欄外リンク先から御覧ください
【鎌倉大仏の1.8倍】このウィングは高さが24mもあるんです。最初見た時は「ウヒョ〜デカっ」と驚きました。因みに鎌倉の大仏は台座入れて「13.35m」。ビル8階と同じくらいの高さのウィングセールとジブによって時速100kmに近いスピードを生み出します。
【船の心臓】遠くから見ると一見シンプルに見えますが、覗いて見ると、、、「とっても複雑」。これはハルとハルの間(中央)にある「ポッド」と呼ばれる船の心臓部です。油圧やバッテリー、電気関係のシステムが集約されています。様々な信号が送られたり溜めた油圧を各パーツに送り出しています。(下写真黄色矢印部分)
船の心臓部分となるポッド
【ステアリング】ヘルムスマンが操作するステアリングには、6個ボタンが付いていてメインフォイルのレーキアングル調節に加え、その感度やディファレンシャル(水中翼の左右差)を調節する事が出来ます。足元のフットスイッチには、ダガーボードアップ、ダウン、ピッチプラス、マイナスがあり、どんなに揺れてても、的確に操作しながら走らせています。
【船のパイロット】写真はフライトコントローラーのポジションです。このポジションは飛行機で例えると主翼と水平尾翼のコントロール担当で、垂直尾翼がヘルムスマンの担当となります。ここには専用のコントローラーがあって、コントローラーの両サイドをクルクル回しながらダガーとラダーのレーキを調節しています。ここで重要になるのは風上側のラダーレーキアングルです。ラダーによってライティングモーメント(船を起こす力)を強める事でスピードに繋がるからです。もし、風上側のラダーが水中から抜けてしまったら、ライティングモーメントが一気に減少して遅くなり、上マーク付近ではオーバーヒール沈する確率が増えます。そしてもし、高く飛び過ぎてダガー(メインフォイル)が横滑りを始めたらそこから一気に浮力を失ってクラッシュします。簡単に見えて楽そうなこのポジションは実はとても重要でプレッシャーが掛かる役なんです。