先週アメリカのカリフォルニア州ローリングヒルズで、テニスのエキシビション大会が行われた。この会場のサーフェスは、アメリカで時々見られる緑色のクレーコートだ。テニス関連ニュースサイトTennis.comが伝えている。出場したのはATPで10回…

先週アメリカのカリフォルニア州ローリングヒルズで、テニスのエキシビション大会が行われた。この会場のサーフェスは、アメリカで時々見られる緑色のクレーコートだ。テニス関連ニュースサイトTennis.comが伝えている。出場したのはATPで10回優勝を遂げている世界ランキング45位のサム・クエリー(アメリカ)や、17歳の新星ザッカリー・スバイダ(アメリカ)ら南カリフォルニアを拠点とする選手たちだ。大会は終始スポーツマンシップにあふれた、なごやかな雰囲気で行われた。

準決勝の最初の試合で、エルネスト・エスコビード(アメリカ)が第1セットのタイブレーク6-5でサーブしようとした時、2度ボールがポケットから飛び出してしまった。エスコビードが言うには、ロックダウン中毎日最低でも2・3時間はワークアウトしていたので、脚に筋肉がついてショートパンツがパンパンになってしまったらしい。

それでエスコビードは審判に、対戦相手のクエリーのポイントでいいと言ったが、クエリーは「やり直しでいいよ」と言い、さらに自分のショートパンツを貸そうかと申し出た。

その後準決勝を勝ち進んだクエリーは、決勝でブランドン・ホルト(アメリカ)を破って優勝を遂げた。ホルトは、デニスレジェンドの一人であるトレーシー・オースティン(アメリカ)の息子だ。

ホルトが決勝に出たのには、運も味方していた。グループステージでのポイントでは、マルコス・ギロン(アメリカ)に敗れていたのだ。だがホルトはこの会場のほんの数マイル先、ホルトが言うには「直線距離なら車で3分」のところに住んでいた。それで日曜日に世界63位のブラッドリー・クラン(アメリカ)がウォームアップ中に背中を痛めて棄権した時、すぐに会場に駆けつけることができたのだ。

22歳のホルトは朝食のバナナパンケーキを慌ててつめこむと、準決勝では見事なプレーで世界102位のギロンを撃破。「朝食で摂ったカリウムが良かったんだな」と語った。

ホルトの好調は決勝でも続き、大本命だったクエリーから第1セットを奪い、マッチタイブレーク10-8と最後まで粘りを見せた。「第1セットはタイブレークでやられた。何とか第2セットを取り返して、マッチタイブレークは楽しかったよ。いくつも素晴らしいポイントがあって、最後の1ポイントは運だったと思う」とクエリー。

この大会は各セット4ゲーム先取、第3セットは10ポイントタイブレークという方式で、ロックダウン中にまったく試合ができなかった選手たちには適した方法だった。

クエリーは語った。「ロックダウン中はテニスができなかったから、この方法は体にやさしい。今、かなり肩にきてるよ。長い間こんな風にサーブしてなかったからね」

このコートのオーナーといくつかの地元のスポンサーから、賞金総額1万ドル(約107万円)が提供された。大会の模様はFacebookで配信されている。

※為替レートは2020年5月19日時点

(テニスデイリー編集部)

※写真は2020年「ATP250アデレード」でのクエリー

(Photo by Paul Kane/Getty Images)