サッカーIQラボ〜勝負を決めるワンプレー~Questionエムバペは、ディ・マリアにパスが渡ったあと、どうプレーしたか? サッカー界の次世代のスーパースターの筆頭がキリアン・エムバペであることに、もはや異論はないだろう。現在21歳。すで…
サッカーIQラボ
〜勝負を決めるワンプレー~
Question
エムバペは、ディ・マリアにパスが渡ったあと、どうプレーしたか?
サッカー界の次世代のスーパースターの筆頭がキリアン・エムバペであることに、もはや異論はないだろう。現在21歳。すでにワールドカップ優勝を経験し、クラブでもモナコで1度、パリ・サンジェルマンで3度のリーグ優勝。その中でベストイレブン3回、得点王2回、年間最優秀選手賞1回受賞するなど、個人タイトル数も同世代の中では突出している。
ティエリ・アンリを輩出した育成組織の名門・クレールフォンテーヌ国立研究所出身のエムバペは、2013年にモナコに加入。2015-16シーズンにトップデビューを果たした。以来、類稀なスピードとドリブル、両足を巧みに操るシュートスキルを武器に、多くのタイトル獲得に貢献してきた。
今季のエムバペも得点王の活躍でチームにリーグタイトルをもたらし、その存在感は熟練したストライカーの風格さえ漂わせている。第19節アミアン戦でもその異彩を放った。
右サイドのディ・マリアにロングボールが入った。次の局面でエムバペはどんなプレーをしたのか
後半20分、右サイドにいたアンヘル・ディ・マリアが、左サイドからロングパスを受けた。それを見たエムバペはどうしただろうか。
Answer
右サイド裏に、パスを呼び込んでシュート
1秒先のスペースが見えていたのか。あるいはストライカーの本能で嗅ぎつけたのか。いずれにしても左サイドからディ・マリアへロングパスが飛んだ瞬間、エムバペは脱兎の如く駆け出していた。
エムバペはためらいなく右前のスペースへロングスプリント。縦パスを受けてシュートを決めた
エムバペが走る先は相手のDFハイタム・アレーサミの背後だった。右サイドでフリーのディ・マリアにボールが渡ると、そこへアレーサミが釣り出される。しかしマウロ・イカルディが待ち構えていたので、中央のDFバカイエ・ディバッシーは釘付けにされ、アレーサミが離れたエリアをカバーできない状態だった。エムバペがいち早く嗅ぎつけたのはこの隙だ。
エムバペがスライドの大きなスプリントで、アレーサミとディバッシーとのギャップに進入すると、ディ・マリアはそのスピードを殺さない柔らかな縦パスを送った。そこからディバッシーは慌ててイカルディのマークを捨てて追いかけるが、すでに遅かった。ボールと併走するエムバペは、右足のダイレクトシュートでニアサイドを打ち抜いた。
エムバペは、ボールが左サイドから右サイドへ移った瞬間の判断が誰よりも早かった。そしてトップスピードについていける者は誰もおらず、そのスピード感でも正確にシュートを放つだけのスキルと余裕があった。これが21歳のストライカーが見せつけたゴールである。