新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、F1のストーブリーグにもきしみを呼んだ。シーズンが開幕できない状態で、フェラーリでエース格を務める元王者、セバスチャン・ベッテル(32)=ドイツ=が今季限りでチームを離脱することが12日に公表された。 …

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、F1のストーブリーグにもきしみを呼んだ。シーズンが開幕できない状態で、フェラーリでエース格を務める元王者、セバスチャン・ベッテル(32)=ドイツ=が今季限りでチームを離脱することが12日に公表された。

 

今季限りでフェラーリを離脱するセバスチャン・ベッテル(鶴田真也撮影)

 

 

 それに呼応する形でフェラーリは14日に現マクラーレンのカルロス・サインツ(25)=スペイン=と来季から2年間の選手契約を結んだと発表。現ルノーのダニエル・リカルド(30)=オーストラリア=がサインツに代わってマクラーレン入りすることも決まった。

 ストーブリーグとは次のシーズンに向けたドライバー人事争いのことで、本来はシーズン終盤の秋口以降に本格化されることから「ストーブ」という言葉を用いているが、F1の場合は新シーズンの車両設計が始まる6、7月に佳境を迎える。

 チームも開幕5、6戦の選手のパフォーマンスを見て契約交渉をする。契約発表は資金力が潤沢な強豪チームから行われることが多く、弱小チームの場合は冬場に入ってようやく人事がまとまる。

 ところが今年の場合は1度もレースをしないまま、フェラーリが来季のラインアップを決めた。現レギュラーで22歳のシャルル・ルクレール(モナコ)とサインツのコンビで、平均年齢24.5歳(来季の3月開幕時点)はチーム史上最年少となるという。

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ウインターテストで走行するフェラーリの今季型車(チーム提供)

 

 ベッテルを切り捨てた理由としては「費用対効果」と言わざるを得ない。レッドブル時代に4連覇を果たしたが、フェラーリ入りした2015年以降は14勝を挙げながらチャンピオンを獲得できなかった。昨季に限っては移籍1年目のルクレールにシリーズポイントで下回り、勝ち星も1つ少ない1勝にとどまった。

 今季の年俸も4000万ドル(約43億円)で、6000万ドル(約64億円)を誇るメルセデスの王者ルイス・ハミルトン(英国)に次ぐ高給取り。開幕が7月に遅れることで、全22戦で設定されたシーズンは15戦程度に短縮される見通しで、各チームとも減収は否めない。

 特にフェラーリは1000人近くのF1専従スタッフを抱えており、財政的に逼迫(ひっぱく)する恐れがある。そこでベッテルには大幅減俸となる1300万ドル(約14億円)の単年契約を提示。事実上のリストラを言い渡したようなもので、交渉が決裂したという。

 本人はチームを通じて「チームと僕は、今季終了以降に共に過ごしたいという共通の欲求がもはやないことに気づいた」とコメントした。ルクレールとサインツの来季年俸は合計でも2000万ドル(約21億円)程度とみられ、ベッテルが現状維持で残留した場合と比較すると32億円近くが浮く計算だ。

 新型コロナウイルスによる経済への打撃は大きく、他チームも台所事情は火の車だ。ベッテルはメルセデス入りを狙っているとされるが、高額の年俸がネックとなって、来季のシートを失う事態にもなりかねない。

[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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