世界ランキング6位のステファノス・チチパス(ギリシャ)が、コーチであり彼をトップ選手へ押し上げた功労者である父アポストロスさんについて、感動的なエピソードを紹介した。チチパスは、父が下流家庭に…

世界ランキング6位のステファノス・チチパス(ギリシャ)が、コーチであり彼をトップ選手へ押し上げた功労者である父アポストロスさんについて、感動的なエピソードを紹介した。チチパスは、父が下流家庭に生まれ、テニスを専門とするに至った経緯を明かしている。ウェブメディア Essentially Sportsが報じた。アポストロスさんは息子を感情面で支え、コーチとしての指導も行うなど、チチパスを世界最高のテニス選手の一人にするためにいくつもの役割を果たしてきた。チチパスはSNSに父の感動的な物語を投稿し、父が払ってきた犠牲や直面してきた苦労を一人称で語った。

「私はとても遠いところから出発した。プロアスティオというギリシャのカルディツァ地方北部にある小さな村だ。農業を生業とする下流家庭に生まれた。家族は私を含む4人の子供たちを育て、食事を与えるために努力していた。子供の頃は多くを与えてはもらえなかった。自宅の庭で兄とテニスをするのは毎日の日課だった」

チチパスは、父がビヨン・ボルグ(スウェーデン)とジョン・マッケンロー(アメリカ)に憧れていたことを明かした。彼はいつも勉強していた。当時は、それが知識に接近し深く理解するための最良の方法であった。教育は将来を左右する。彼はいつもそのことを認識しており、数年後にスポーツ科学の大学で学ぶこととなった。

「私の夢の1つが叶った。そこで私は本当のテニスに初めて出会った。その瞬間から、私は夢中になった。勉強する中で、先のことを考え、また日に日に上達することができることを願って、テニスを専門とすることを決めた」

「その結果、地元の大会や公式戦に出場するようになった。アテネで開催されたWTAのプロ大会で現在の妻と出会ったのは、それからほどなくしてのことだった。そこから私のテニスとの関りと進化が、文字通り“離陸”したのだ」

チチパスは、父の夢は完璧さに到達することだと明かした。テニスは最高の自分を実現するために無限の学びを与えてくれるものであり、ある種の心理療法のように作用する。アポストロスさんは、夢に描いた人生を生き、今も夢を叶え続けている。それはあらゆるテニスコーチの夢でもある。

「私は子供たちのコーチを務め、プロテニスの最高水準に達している。そのことが、私の旅路をこの上なく特別なものにしてくれた。未来に何が待っているかはわからないし、知りたいとも思わない。なぜなら、重要なのは今を生きることを置いて他にないからだ」

「人生が私にもたらしてくれたものにとても感謝している。新しい一日が来るたび、私は社会のため、愛する人たちのため、そしてテニスというスポーツのために貢献するという使命を負っているのだ」と、チチパスは父の物語を締めくくった。

チチパスは間違いなく、父が彼のためにしてきた努力や払ってきた犠牲に感謝しているだろう。父の指導の下で、彼はあらゆる障害を乗り越え、テニス界での地位を確立したのだ。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2019年「ATP250エストリル」優勝したチチパスと家族

(Photo by Pedro Fiúza/NurPhoto via Getty Images)