読者の方々に向けてメッセージをいただきました【提供・ビックカメラ】

我々の日常を一変させた新型コロナウイルス。立教大学ではオンライン授業の実施や部活動・サークル活動の禁止など、様々な感染拡大防止対策が行われている。しかし、3ヶ月経った今でも予断を許さない状況であるのには変わりない。安心して、心の底からスポーツを楽しむことができない今だからこそ、スポーツの力が試されるのではないか。置かれている現状をどう受け入れ、切り替えるべきか。立大OGであり、20km競歩において東京五輪代表内定を獲得した岡田久美子(ビックカメラ=2014年度卒)さんにお話を伺った。
※取材は全て電話で行いました

練習メニューも食生活もコロナに対応


雨の中レースに挑む岡田選手【提供・ビックカメラ】

−実際コロナウイルスの影響はどれくらい受けているのか
緊急事態宣言が発令されてから、ジムなどが全て休館してしまっているので練習もあまりできていないのが現状ですね。予定していた試合もかなりなくなってしまっています。
-できる範囲でトレーニングを
家でできるトレーニングとかを行なっています。
−実際に外に出て練習は難しい状況
人が少ないところを選んだりとか、最近ではジョギングをしている方も増えてきたので時間はしっかり選んで行うようにしています。あと、この時期にたくさん歩いてしまうと免疫力の低下などが少し怖いので、普段は20㎞競歩を専門としているのですが、今の時期は10kmにしたりしています。
−食事などにも気を遣っている
今までは国立スポーツ科学センターっていうところで食事をとっていたので、バランスとかを自分で管理するっていうことはそこまでなかったんです。でも最近はそこも休館していて、3食分のバランスを自分で考えているので大変です。野菜だったりフルーツを取り入れながら、体重の変化とかも今までの経験を生かしながらやっています。
−自粛中でも簡単にできるオススメのトレーニングは
どうしてもこの期間は背中が丸まって、姿勢が悪くなると思うんですね。そういう時に棒を持って万歳したり、後ろに回したりして肩甲骨をほぐしてあげると姿勢がよくなるのでオススメです。

相次ぐ延期や中止 盛り下がる学生スポーツ界にエール


懸命にゴールを目指す岡田選手【提供・ビックカメラ】

−高校総体や全中、学生の引退試合等の発表を知って
自分が同じ立場だったら本当に立ち直れないと思います。でも、この経験が今すぐって言うのは難しいかもしれないけど、いつか生きる時が来るって信じてやるしかない。私自身も、2017年頃に入院して、長い間競技を離れた時期があったんですね。その時に自分の競技に対する気持ちだったりとか、周りで応援してくれる人やサポートしてくれるスタッフの存在により気づくことができたんです。だから本当に今すぐに切り替えるっていうのは無理でも、これから競技を続けない人もいるかもしれないけど、いつかこの経験が生きる時が来るって信じていて欲しいなと思います。
−東京五輪の延期も発表されたが心境は
「延期が早く決まった安心感」と「少し余裕ができたっていう安心感」があります。私自身、延期の話が出始めた時に「早く決まって欲しい」っていう気持ちが強かったので、早めに決めてくださってホッとしました。また、準備期間が出来たものだと前向きにとらえています。新たなトレーニングを取り入れ、最高のパフォーマンスが出来るように取り組んで参ります。

最後の晴れ舞台が奪われていく一方で、新天地に飛び込めない学生も増えている。新入生歓迎活動の中止を受け、各部がSNSでの発信に力を入れているが、オンライン上で競技の楽しさを伝えることの限界が見え始めた。

−大学で部活動に所属することの意味
もし大学の4年間がなかったら今も競技を続けてるか分かんないです。大学入学まではかなりストイックに練習をしてしまって、体を壊してしまったりっていうのも多かったんですけど、大学に入ってから食事のことだったり体のことだったりを聞けて、自分自身もすごく成長することができました。
あと、当時は競歩選手がいなくてすごく不安だったんですけど、競技関係なしに受け入れてくれる仲間ができたのもすごく大きかったです。大学4年間で経験したこと、得たことっていうのが確実に今の自分につながっていると思います。
−高校時代に長距離から競歩に転向した時の心境は
もともと自分がやっていた種目でも目標とかは持ってやっていたんですけど、性格がかなり負けず嫌いなんです。なので、種目関係なしに「何かで一番になりたい」っていう気持ちがすごく強かったので、競歩を勧められて挑戦してみようかなと思いました。

コロナ禍で試されるアスリートの発信力


ガッツポーズをし、笑顔でゴールテープを切る岡田選手【提供・ビックカメラ】

−今、スポーツ界には何ができるのか
こういう時、アスリートの人たちが発信することってすごく影響力が大きいと思うんです。やっぱりスポーツは人に元気や勇気を与える力があるっていうのはもちろんなんですけど、今は実際にスポーツをして誰かに届けることはできないのでSNSであったり、こういった形で取材していただいて発信したりすることが大事になってくるのかなと思っています。
−選手同士でそういった話はするのか
競歩という種目自体の知名度がまだ高くないと思うので、この機会に自分たちの種目について情報発信をしてみなさんに知ってもらおうっていうのは話したりします。
−書いてくださったメッセージの「意志あるところに道は開ける」というのは
私が大事にしている言葉でやっぱり誰かから言われてやるのと、自分で意志を持ってやるのって全く違うと思うんですね。こんな状況ではあるんですけど、しっかり自分の意志を持って何かに取り組むっていうのはすごく大切なことだと思います。

岡田久美子(おかだ・くみこ)
1991年10月17日、埼玉県生まれ。熊谷女子高校時代に、当時の顧問の勧めで長距離から競歩に転向。2008年と2009年にはインターハイ連覇、立大時代に出場した日本インカレでは4連覇を果たした。卒業後はビックカメラに入社し日本選手権優勝、世界選手権25位。さらに2016年の日本選手権でも優勝し、リオデジャネイロオリンピック代表に選ばれ16位という結果を残した。また、2019年5月に5000m競歩で日本新記録の20分42秒25で6連覇し、同年6月にはスペインで行われた国際競技会で20km競歩において1時間27分41秒で日本新記録をマーク。そして、今年の2月16日には1時間29分56秒で日本選手権6連覇を達成し、東京オリンピック代表内定を獲得した。

この度はお忙しい中、貴重なお時間を割いて取材に応じてくださり誠にありがとうございました。先が見えず不安な日々が続いておりますが、益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

(5月14日 取材・編集 藤部千花)